痛風とお酒の関係|ビールだけ控えれば大丈夫?【管理栄養士監修】
公開: 2026年9月10日
監修:
おいしい健康管理栄養士

健康診断で尿酸値が高めと言われたとき、「ビールを控えなくちゃ」と頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
実際、「プリン体ゼロ」と書かれたお酒に切り替えた、という方も多いと思います。せっかく気を付けているのに、次の健診でも数値が変わらなかった——そんな経験はありませんか。
じつは、尿酸値とお酒の関係は「ビールかどうか」だけでは説明しきれません。プリン体の量だけでなく、アルコールそのものの影響にも目を向ける必要があります。
ここでは、おいしい健康の管理栄養士が、お酒と尿酸の関係をわかりやすく整理し、今日から試せる工夫をお伝えします。
痛風と尿酸値の関係とは
痛風は、血液中の尿酸が増えすぎることで、関節などに尿酸塩の結晶がたまり、強い痛みや炎症を起こす病気です。足の親指の付け根などに症状が出ることが知られています。
尿酸は、体の細胞や食べ物に含まれる「プリン体」という物質が分解されてつくられます。多くは尿や便として体の外へ出ていきますが、つくられる量が増えたり、出ていく量が減ったりすると、血液の中にたまっていきます。
血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」といいます。この段階では痛みなどの症状は出ないことがほとんどですが、そのままにしておくと痛風の発作や尿路結石につながることがあるとされています。
尿酸値が高い状態が続いている場合は、生活習慣を見直すだけでなく、医療機関で状態を確認することも大切です。そのうえで、まずはできそうなところから始めていきましょう。
「ビールだけやめれば大丈夫」とは言いきれない理由
「ビールにはプリン体が多い」というのは、まちがいではありません。ビールは原料の関係で、ほかのお酒に比べてプリン体が多めです。
ただ、お酒が尿酸値に関わる理由は、プリン体だけではないのです。
アルコールそのものが尿酸値に関わる、2つの働き
- ・アルコールの代謝によって、尿酸がつくられやすくなります。
- ・アルコールの代謝で生じる乳酸によって、腎臓から尿酸が排泄されにくくなります。
つまり、プリン体が少ないお酒であっても、アルコールを多く飲めば尿酸値に影響することがあると考えられています。「プリン体ゼロだから、いくら飲んでも安心」とは言いきれないのです。
お酒と尿酸値の関係を考えるときは、種類だけでなく、飲む量そのものにも目を向けてみましょう。ここから、具体的な目安を見ていきます。
お酒とのつき合い方、4つのポイント
ポイント1 1日の量の目安を知る
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、血清尿酸値への影響が少ないと考えられるお酒の量として、次の目安が示されています。
- ビール:500ml
- 日本酒:1合(180ml)
- ワイン:148ml
- ウイスキー:60ml
※上記は、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインで、血清尿酸値への影響を抑えるための目安として示されている量です。お酒を飲むと尿酸値が上がる可能性があるため、飲まないことが最も確実です。また、疾患や服薬状況などによって飲酒を控える必要がある場合があります。飲んでよい量については、必ず主治医にご確認ください。
「思ったより少ないかも」と感じた方もいるかもしれません。まずは、いつもの1杯がどのくらいの量か、確かめてみるところからで十分です。
なお厚生労働省も、飲む量を「純アルコール量」で把握することをすすめています。「純アルコール量」はパッケージに表示されているので、表示を見る習慣がつくと、純アルコール量の感覚がつかみやすくなりますよ。
ポイント2 休肝日を週2日以上つくる
ガイドラインでは、飲まない日を週に2日以上設けることがすすめられています。
毎日の習慣になっている方にとって、これはなかなかハードルが高いかもしれませんね。まずは「飲まない日」をつくることから始め、最終的には週2日以上を目標にしてみましょう。
炭酸水やお茶に置き換える、飲まない日はあらかじめ手帳に印を付けておくなど、続けやすい形を選ぶのがおすすめです。
ポイント3 おつまみは「組み合わせ」で考える
食事からとるプリン体は、1日400mgを超えないようにすることが目安とされています。
プリン体が特に多い食品としては、レバーなどの内臓類、干物、白子などが挙げられます。一方で、卵、豆腐、乳製品、野菜、いも類などは比較的少なめです。
プリン体の量は食品によって差があります。1日の摂取量が多くなりすぎないよう、プリン体を多く含む食品に偏らないことを意識しましょう。
とはいえ、プリン体の量だけで食品を選ぶのではなく、野菜や乳製品なども取り入れながら、食事全体を整えることが大切です。
おつまみを選ぶときは、揚げ物や塩辛いものに偏らないよう、冷ややっこ、枝豆、野菜のあえ物、海藻のサラダなどを1品加えてみてください。食べすぎを防ぐことにもつながります。
また、食べすぎや飲みすぎが続いて体重が増えると、尿酸値が上がりやすくなるとされています。エネルギーのとりすぎにも、あわせて気を配るといいですね。
ポイント4 水分と、野菜・海藻をいかす
尿酸は尿から排泄されるため、十分な水分を取ることも大切です。高尿酸血症・痛風では、尿量を1日2000ml以上に保つことが目安とされています。
お酒を飲むときは、水やお茶も一緒に飲むようにすると、水分補給になります。ただし、水を飲んだからといって、アルコールによる尿酸値への影響がなくなるわけではありません。
また、野菜や海藻、いも類などを取り入れることは、尿を酸性に傾きにくくする食事の工夫の一つです。特に尿路結石が気になる方は、こうした食品を日々の食事に取り入れることも意識しましょう。
一方で、果糖を多く含む甘い清涼飲料水は、尿酸がつくられる量を増やすとされています。飲むなら水やお茶、無糖の炭酸水を選ぶとよいですね。
※水分量に制限がある方へ 心臓や腎臓などの病気で水分量の制限を受けている場合は、自己判断で水分を増やさないようにしましょう。水分の取り方についても、主治医や管理栄養士にご確認ください。
尿酸値が気になるときのおすすめレシピ
お酒とのつき合い方が見えてきたら、次は食卓です。家でも作りやすく、おつまみにも副菜にもなる5品をご紹介します。
豆腐と鶏ひき肉の田楽
豆腐に鶏ひき肉のみそだれをのせて焼いた、食べ応えのある一品。山椒の香りがきいて、主菜にもおつまみにもなります。
電子レンジで とりチリ
電子レンジで作れる、ピリ辛味の主菜。フライパンを使わないので、作る日のハードルが下がります。
薬味たっぷり厚揚げ焼き
厚揚げを焼いて、薬味をたっぷりのせるだけ。香りで満足感が出るので、味付けが濃くなりすぎません。
豆腐ときゅうりの塩昆布あえ
豆腐ときゅうりを塩昆布であえるだけ。火を使わず、すぐできる副菜です。
たことオクラの酢の物
お酢とオクラのとろみでさっぱり。あと1品ほしいときの副菜に。
おいしい健康アプリは痛風の方の食事に対応
「わかってはいるけれど、毎日続けるのが大変」というのが、いちばんの本音かもしれませんね。そんなときに役立つのが、おいしい健康アプリです。プロフィールから「尿酸値が高い」や「高尿酸血症(痛風)」を登録でき、プリン体をとりすぎないようにするレシピや献立が表示されるようになります。食事の記録もでき、摂取したエネルギー量や塩分の量もグラフでわかります。
お酒を控えることから始めて、できることを一つずつ
尿酸値を指摘されたら、「もうお酒は飲めないのかな」と気持ちが沈んでしまうかもしれません。
まずは飲酒量を見直し、飲まない日をつくることから始めてみましょう。おつまみや水分、日々の食事も一緒に見直すことで、できることはあります。
おつまみに野菜を1品足す。お酒と一緒に水を飲むなど、無理のない範囲で意識してみましょう。
参考
- 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]」
- 公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」
- 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)
- 厚生労働省 健康づくりサポートネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。尿酸値の管理や治療、飲酒の可否については、必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
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