腎臓病でも卵は食べていい?量の目安と食べ方【管理栄養士監修】
公開: 2026年9月3日
監修:
おいしい健康管理栄養士

「腎臓の数値が気になると言われてから、卵を食べるのをやめました」
そんな声を、ときどき耳にします。
でも、卵は「食べてはいけない食品」ではないのです。大切なのは、1日の食事全体の中で、たんぱく質をどのくらいとるかです。
この記事では、卵と上手につき合うコツを、おいしい健康の管理栄養士がお伝えします。
腎臓病になったら、卵は食べてはいけないの?
腎臓病だからといって、卵を食べてはいけないわけではありません。
ただ、腎臓の働きが弱まると、たんぱく質が体内で利用されたあとに生じる老廃物を、うまく処理しにくくなることがあります。そのため病期(ステージ)によっては、たんぱく質のとりすぎに気をつける必要があります。
でも、ここで見ているのは「1日のたんぱく質の合計量」。特定の食品をやめる、という話ではありません。卵を主菜に選べば、たんぱく質の量が見えやすくなりますし、料理の幅も広がります。
「これは食べていいのかな」と迷ったときは、食品そのものではなく「量」で考えてみてくださいね。
たんぱく質制限は、どのくらいが目安?
では、どのくらいを目安にすればよいのでしょうか。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2024」では、ステージごとに1日のたんぱく質摂取量の目安が示されています。
ステージ別 1日のたんぱく質摂取量の目安
ステージG1〜G2 過剰にならないよう注意する(1.3g/kg/日を超えないことがひとつの目安)
ステージG3a 0.8〜1.0g/kg/日
ステージG3b以降 0.6〜0.8g/kg/日
※「kg」は原則として標準体重(BMI 22で計算した体重)1kgあたりを指します
とはいえ、これはあくまで一般的な目安です。実際の指示量は、年齢や体格、腎機能、栄養状態などを見ながら決められます。
たとえば、サルコペニア(筋肉量や筋力が低下した状態)やフレイル(心身の活力が低下した状態)がある場合などは、たんぱく質制限よりも栄養状態を保つことを優先して、制限の程度を調整することもあります。
ですから、ご自身で判断して減らすことはせず、主治医や管理栄養士に確認しながら進めてくださいね。制限の進め方は腎臓病でたんぱく質制限が必要になったとき、気をつけたいことは?の記事でも紹介しています。
卵と上手につき合う3つのポイント
ポイント1 卵1個分のたんぱく質量を覚えておく
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、鶏卵(全卵・生)100gあたりのたんぱく質は12.2g、エネルギーは142kcalです。
Mサイズの卵1個(可食部およそ50g)にすると、たんぱく質はおよそ6g、エネルギーはおよそ71kcalです。
たとえば1日のたんぱく質の目安が50gなら、卵1個で約6gです。ほかの食事との組み合わせを考えるときの目安になります。
この「約6g」を目安として覚えておくと、1日のたんぱく質量を考えるときの参考になります。
ポイント2 1日の合計と、1食ごとの量を意識する
たんぱく質は、1日の合計量を基本に考えながら、1食ごとの量も意識してみましょう。
朝にゆで卵を食べたなら、昼か夜の主菜を少し控えめに。夜に魚をしっかり食べる予定があるなら、朝の卵は半分に。そんなふうに、前後で調整していけば大丈夫です。
組み合わせを考えるときのヒント
・卵料理に肉や魚を組み合わせるときは、それぞれの量を調整する
・卵を使った料理が重なっていないか見直す(卵とじ・茶わん蒸しなど)
・迷ったら、一度にすべて変えず、1食分から調整してみる
一度に全部を変えなくても平気ですよ。まずは、いちばん量が多い主菜から見直してみましょう。
ポイント3 エネルギーを確保することも大切にする
たんぱく質を控えると、食事全体のエネルギーもいっしょに減ってしまいがちです。
エネルギーが足りないと、体重が減ったり、筋肉量が落ちたりすることがあります。たんぱく質だけを減らすのではなく、必要なエネルギーを確保することも同じくらい大切です。CKD診療ガイド2024でも、たんぱく質制限を強める場合には十分なエネルギー摂取が必要とされています。
そこで頼りにしたいのが、たんぱく質を抑えながらエネルギーを補える工夫です。
エネルギーを補う工夫
・油を使った料理(炒め物・あえ物など)を取り入れる
・砂糖・みりんなどを使った味つけでエネルギーを補う
・ご飯などの主食を適量とり、エネルギー源を確保する
「減らす」だけでなく「補う」。この視点をもつと、食事づくりがぐっとラクになりますよ。
※カリウムやリンの制限が必要かどうかは、病期や検査値によって異なります。あわせて指示を受けている方は、主治医や管理栄養士に確認しながら進めてくださいね。
管理栄養士が選んだ、おすすめレシピ
卵を使ったレシピの中から、エネルギーも確保しやすいものを選びました。たんぱく質量を確認しながら、その日のほかの食事との組み合わせを考えて取り入れてみましょう。
豚肉とキャベツのオイスター炒め
卵を加えてボリュームを出した炒め物です。キャベツをたっぷり使い、油のコクでエネルギーも補えます。
レンジで厚揚げ卵とじ
電子レンジで作れる卵とじです。もう一品ほしいときにも便利。厚揚げも入るので、この日はほかの主菜を控えめにすると組み立てやすくなります。
豚バラ炒飯
卵を使った、主食と主菜がひと皿になった一品。油のコクでエネルギーがとりやすく、食欲がないときにも食べやすいメニューです。
おいしい健康アプリの活用法
毎日たんぱく質の量を数えていくのは、なかなか大変ですよね。そんなときに頼ってほしい使い方をご紹介します。
1. プロフィール登録で、パーソナライズ提案
慢性腎臓病(CKD)は、ステージ1・2・3a・3bと透析に対応しています(糖尿病性腎症は第1期〜第3期)。プロフィールで設定すると、その状態に合わせた食事基準でレシピや献立を見ることができます。
2. 食事記録で、栄養バランスを確認できます
食べたものを記録すると、たんぱく質・エネルギーに加えて、食塩・カリウム・リンの量も確認できます。毎食きっちり計算しなくても大丈夫。何日か続けてみると、いつもの食事のおおよその量が見えてきますよ。
卵も、量を考えながら楽しめます
食べるものを必要以上に減らしてしまうと、食事の選択肢が狭くなり、続けにくくなることがあります。
卵は1個で約6g。この目安を参考にしながら、1日のたんぱく質量の中で取り入れ方を考えてみましょう。
「食べない」から「量を考えて食べる」へ。少しずつ、ご自身のペースで整えていきましょう。
参考
日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」第8章 栄養
日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」
サルコペニア・フレイルを合併したCKDの食事療法検討ワーキンググループ(日本腎臓学会誌 2019;61:525-556)
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。たんぱく質の指示量は病期や検査値によって異なります。実際の食事内容については必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
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