ここでは厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準」を元に、成人後期(50〜69歳)と高齢期(70歳以上)の基準を記載しています。高齢者は持病や身体活動レベルなどにも大きな個人差がありますので、個人個人の状況を十分に考慮して基準はあくまでも参考としてご活用ください。
「日本人の食事摂取基準」には「1日にどのくらいの栄養素を摂ったら良いか」が摂取範囲(推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量、上限量)として示されています。健康の維持・増進や欠乏症の予防のための摂取基準が推定平均必要量と推奨量です。推定平均必要量や推奨量を設定することができない栄養素については、目安量が設定されています。

(1)マクロ栄養素

マクロ栄養素とは多量に摂取され、主要なエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物(3大栄養素)で、いずれも生命の維持に重要な栄養素です。個人個人に必要なエネルギー量を、3大栄養素からバランスよく摂取することが大切です。

表1 高齢期における食事摂取基準 - マクロ栄養素
栄養素 単位
(/日)
指標 男性 女性
50~69歳 70歳~ 50~69歳 70歳~
基準とした
エネルギー
kcal 推定エネルギー
必要量
2,450 2,200 1,950 1,700
たんぱく質 g 推奨量 60 50
総脂質 %エネルギー 目標量 20以上25未満 20以上25未満
飽和脂肪酸 %エネルギー 目標量 4.5以上7.0未満 4.5以上7.0未満
n-6系脂肪酸 g 目安量 10 10
n-3系脂肪酸 g 目標量 2.4以上 2.2以上 2.1以上 1.8以上
コレステロール mg 目標量 750未満 600未満
炭水化物 %エネルギー 目標量 50以上70未満 50以上70未満
食物繊維 g 目標量 19以上 17以上

推奨量:ほとんどの人(97〜98%)が充足すると考えられる量

目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合)

目標量:生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

(参考)厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

(2)水溶性ビタミン・脂溶性ビタミン

9種の水溶性ビタミン(ビタミンB1 、ビタミンB2 、ナイアシン、ビタミンB6 、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC)、4種の脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK)に関する基準です。

表2 高齢期における食事摂取基準 - 水溶性ビタミン・脂溶性ビタミン
栄養素 単位
(/日)
指標 男性 女性
50~69歳 70歳~ 50~69歳 70歳~
ビタミンB1 mg 推奨量 1.3 1.2 1.1 0.9
ビタミンB2 mg 推奨量 1.5 1.3 1.2 1.0
ナイアシン mgNE 推奨量 14 13 11 10
ビタミンB6 mg 推奨量 1.4 1.1
葉酸 µg 推奨量 240 240
ビタミンB12 µg 推奨量 2.4 2.4
ビオチン µg 目安量 50 50
パントテン酸 mg 目安量 6 5
ビタミンC mg 推奨量 100 100
ビタミンA µgRE 推奨量 850 800 700 650
上限量 2700 2700
ビタミンE mg 目安量 7 6.5
上限量 850 750 700 650
ビタミンD µg 目安量 5.5 5.5
上限量 50 50
ビタミンK µg 目安量 75 65

推奨量:ほとんどの人(97〜98%)が充足すると考えられる量

目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合)

上限量:健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限

(参考)厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

(3)ミネラル・微量元素・電解質

3種のミネラル(マグネシウム、カルシウム、リン)、8種の微量元素(クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、セレン、ヨウ素)、2種の電解質(ナトリウム、カリウム)に関する基準です。ナトリウムの目標量は食塩相当量として示されています。

表3 高齢期における食事摂取基準 - ミネラル・微量元素・電解質
栄養素 単位
(/日)
指標 男性 女性
50~69歳 70歳~ 50~69歳 70歳~
マグネシウム mg 推奨量 350 320 290 260
カルシウム mg 推奨量 700 650 600
上限量 2,300 2,300
リン mg 目安量 1,000 900
上限量 3,000 3,000
クロム µg 推奨量 40 35 30 25
モリブデン µg 推奨量 25 25 20
上限量 600 550 500 450
マンガン mg 目安量 4 35
上限量 11 11
mg 推奨量 7.5 7 11
(閉経後6.5)
6
上限量 50 45 40
mg 推奨量 0.9 0.8 0.7
上限量 10 10
亜鉛 mg 推奨量 12 11

9

上限量 45 40 35 30
セレン µg 推奨量 30 25
上限量 280 260 230 210
ヨウ素 µg 推奨量 130 130
上限量 2,200 2,200
ナトリウム
(食塩相当量)
mg(g) 推定平均必要量 600(1.5) 600(1.5)
目標量 (9未満) (7.5未満)
カリウム mg 目安量 2,500 2,000

推奨量:ほとんどの人(97〜98%)が充足すると考えられる量

目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合)

目標量:生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

推定平均必要量:ある集団の50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量

上限量:健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限

(参考)厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

※参考にさせていただいた出版物やホームページ

  • 厚生労働省ホームページ
  • 公益財団法人長寿科学振興財団ホームページ「健康長寿ネット」
  • 「家庭でできる高齢者ソフト食レシピ」河出書房新社出版