約10年間、足の小指、膝、股関節の痛みが“出てはおさまる”を繰り返す。28歳のときに、看護師として勤めていた総合病院で関節リウマチと診断され治療を開始。妊娠が分かった後、一時的に大学病院の妊娠・リウマチサポート外来に転院した。現在第2子を妊娠中。
19歳のころ、右足の小指が2倍くらいに赤く腫れて痛むように。当時アパレルショップでアルバイトをしていた関係で、小指の痛みは高いヒールのせいだと思っていました。その後、総合病院に看護師として就職。2年目の22歳のころ、今度は膝が痛むように。院内の整形外科を受診したら運動不足を指摘され、筋トレやジョギングを勧められました。さらに24、25歳ごろになると股関節がひどく痛み、自転車がこげない、階段を下りるのに時間がかかるなど、通勤や業務に支障が出るようになりました。
これらの痛みは繰り返すものの、どれも2、3日でおさまっていましたし、自分が不調を深刻に考えないタイプだったこともあり、詳しい検査もせずにやり過ごしていました。
ところが28歳のとき、ひどい肩の痛みでまったく動けなくなってしまって…。「さすがにこれはおかしい」と思い、勤め先の整形外科で伝えたところ、すぐに採血となり、院内の膠原病・リウマチ内科を受診するように言われました。そこで関節リウマチと診断されたのです。長期にわたる痛みに「もしかしたら関節リウマチかも」と思い始めていたので「ああ…やっぱり」というのが率直な感想でした。また、約10年間痛みに苦しんでいたので、診断を聞いて「原因が分かって良かった」と思いましたね。
妻が関節リウマチと診断され、しばらくしてから結婚しました。ぼくも医療従事者なので、関節リウマチについてひと通りの知識はありました。妻はあまり不調を見せませんが、日常生活や仕事で大変な思いをしてきたはずです。関節リウマチの病状や経過は人それぞれなので、妻が薬で痛みをうまくコントロールできるようになるかが気がかりでした。
診断時、先生は関節リウマチについて、パンフレットを見せながら説明してくれました。完治が難しい病気ということは知っていましたが、きちんと治療すれば関節破壊や痛みがない状態で暮らせるようになると信じていたので、落ち込むことはありませんでしたね。
薬を選ぶときは、始めに先生に妊娠・出産の希望についてたずねられました。将来結婚して子どもを持ちたいという希望を伝えたところ、妊娠を考慮して選んだ薬と痛み止めで様子を見ることになったのです。
ところが、治療を開始してから1カ月ほどで全身にかゆみが出てしまい、薬を変更せざるを得なくなりました。その薬を3カ月ほど使い続けましたが良くならず、さらに薬を追加して2つの薬を併用することになりました。
29歳のときに結婚。その後、妊娠すると症状が良くなり、使用していた2つの薬のうち1つを中止することになりました。
夫のアドバイスで、妊娠が分かった後は、総合病院から大学病院の妊娠・リウマチサポート外来に一時的に転院しました。夫に「近所の大学病院は専門性が高いと聞くし、診療科の連携もあるだろう。万が一、妊娠中にトラブルがあっても安心なのでは」と言われ、迷わず転院したのです。担当医が女性で、何でも相談しやすいのもありがたかったですね。
大学病院の検査の結果、私には抗SS-A抗体という自己抗体があり、確率は低いものの胎児の心臓に影響する可能性があることが分かりました。そのため妊婦健診のときは時間をかけて胎児の状態を診てもらっていました。また、使用している薬によっては、赤ちゃんの予防接種で受けられない、もしくは時期をずらさないといけないものがあることを初めて知りました。これは総合病院でもいずれ知り得た情報かもしれませんが、早い段階で知ることができて良かったと思っています。
産後半年は関節リウマチの症状が出ずに順調でしたが、それが過ぎると膝に痛みが出たり、寒い日の朝に手がこわばったりするようになりました。また、自覚症状はありませんでしたが、最初に痛みが出た足の小指は少し関節破壊が起こっていたそうです。痛みは午前中におさまることもあれば、2、3日ひきずることもあります。最近気づいたのですが、薬剤注射を受けたばかりのときは痛みがまったくなく、次の注射の時期が近づくと症状が出やすいような気がします。
現在の通院頻度は2カ月に1回です。受診後は、検査結果や先生に言われたことなどを夫に聞いてもらっています。
受診のたびに妻から報告がありますが、「先生の提案どおりでいいんじゃない?」と伝えています。そのほうが妻も安心して治療にのぞめるのではないかと思っているからです。このままうまく病気のコントロールができるようになればいいですね。合併症や薬の副作用には注意しなければなりませんが…。
夫の支えは大きいですね。夫は「今日はどこが痛いの?」「昨日とどう変わった?」「階段の上り下りは大丈夫?」などと毎日聞いてくれます。私は自分から「痛い」とあまり言わないので、夫に聞いてもらえることで自分の体調を確認し、伝えることができます。もちろん何か頼めば気持ちよくやってくれるのですが、私にはこういった声がけが一番うれしいですね。
体調に関係なく、妻からのリクエストには応えるようにしています。家事はほとんど妻が担当してくれていますが、お風呂掃除や皿洗いなどはぼくの担当です。子どもの世話はひと通りできますよ。娘から拒否されない限り寝かしつけもしています(笑)。休みの日は子どもを公園に連れ出すこともあります。
今は2回目の産休中です。仕事に復帰する予定でしたが、2人目の妊娠が分かったため、また大学病院に通院しています。産後はこれまで以上に夫に協力してもらわないといけなくなりますね(笑)。
これからのことは未知数ですが、今の2倍は育児に時間と労力を割く必要があると覚悟しています。仕事の関係で育児休業を長期間続けて取得するのは難しいですが、週単位で取るつもりです。
リウマチ患者さんは、受診のタイミングなどに家族へ病状を共有することが大事だと思います。言葉をかけるだけでも本人は安心できるようですが、日常生活や仕事で機能的につらい部分もあるはずなので、今後も積極的にサポートしていきたいですね。ご家族など周囲の方たちは、できる限り本人がストレスを感じないよう支えてほしいと思います。
関節リウマチと診断されたのは、美容師として順調にキャリアを積んでいた36歳のとき。妊活中のため使用できる薬の制限があるものの、夫やSNSで知り合った患者同士のつながりを支えに、前向きな気持ちで治療を続けている。
36歳のときに手首が痛くなり、総合病院の総合診療科を受診。美容師という仕事柄、腱鞘炎だろうということで痛み止めが処方されました。ところが1カ月しても治らないばかりか、肩や足首、足の裏、膝の裏まで痛みが広がっていきました。その総合病院の整形外科も受診しましたが、診断は同じ。あまりにも痛みが続くのでリウマチではないかと思い始め、別の総合病院のリウマチを専門的に診る整形外科へ。そこで関節リウマチと診断されました。
18歳からキャリアを積んできた美容師の仕事。痛みでハサミを握れなくなるなんて…。「美容師を続けられなくなるかもしれない」と思うとかなり落ち込みました。
妻から関節リウマチと診断されたことを聞かされたとき、病気の知識がなかったので、食事や運動、睡眠など健康に良いとされる生活習慣を心がけていれば、いずれ治るのではないかと思っていました。診断されてから2年ほどは、ぼくが運転して病院へ送迎をしていましたね。
結婚前はお互いに違う県に住んでいたので、私一人で落ち込むことが多かったですね。もちろん「痛くてつらい」と言えば来てくれることもありましたが、なかなか頼ることはできませんでした。
診断された36歳のときに結婚したのですが、結婚後は仕事の休みが合えば、夫も一緒に病院に付き添ってくれます。先生に質問するなど、私の病気に強い関心を持ってくれているのを感じます。お陰で孤独感からは解放されました。
その一方で、同僚が美容師としてのキャリアを積んでいくことに焦りを感じていました。お客様が「ちーちゃんさんはいつ来るの?」と私を待ってくれていることを聞いたときは、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
痛みが強い間は傷病手当をもらって休み、痛みが落ち着いたところで一旦通常勤務に戻りましたが、仕事をすると痛みが出てしまって…。今はパートで週2、3回美容師として働いています。
ぼくなりに病気について調べました。今の医療では関節リウマチは完治しないとのことですが、だからといってあれこれ悩んでいても仕方がありません。きちんと治療を続けることはもちろん、「自分たちにできることはすべてやっていこう」と妻に伝えました。
治療を始めたのは、診断を受けた総合病院に紹介されたリウマチ内科クリニックです。先生は病気や治療の見通しについて丁寧に説明してくれました。先生と相談し、最も効果が高いとされる薬からスタートしましたが、半年経ってもなかなか良くならず、少しずつ薬の量を増やしていきました。
先生は受診のたびに30分ほど時間をかけて私の話を聞いてくれました。痛みがある部位を超音波で診てくれるなど、とても丁寧な診察で心から信頼していました。
ところが結婚で遠方に住むことになり、そのクリニックへの通院が難しくなったため、最初に診断を受けたところとは別の総合病院に転院することになりました。その総合病院は当日に検査結果を聞けるのは良いのですが、診察時間は1分ほど。自分で調べた薬をこちらから提示して質問をしても、あまり明確な答えが返ってこない印象があります。これまでに何度も担当医が変わり、今後も変わるとのことで、親身になって対応してもらうのが難しいと感じています。今後は、先生とのコミュニケーションも改善していきたいですね。
37歳のとき、妊活したいと当時の主治医に伝え、妊娠を考慮して薬を変更しました。でも、痛みが出てしまって我慢できず、一旦妊活をやめて元の薬に戻しました。そして半年ほど前に妊活を再開し、今は3種類の薬を飲んでいます。先生に注射タイプの薬も勧められましたが、相談の結果、飲み薬で治療しています。
完治を目指せるような新しい治療法がこれから出てくる可能性もありますが、まだ時間がかかるでしょう。だからといってあきらめたくないのです。自分たちでできることに取り組んでいくことが大事だと思っています。たとえば、できるだけ体に良いと考えられる食べ物を選んでいくこと。詳しい知り合いからいろいろ教えてもらったり、自分で情報を集めたりしています。
夫の話を聞いて薬だけに頼るのではなくて、食生活を改善することも大事だと思いました。私の場合、小麦粉を含んだものを多く取ると翌日に痛みが出やすいので、パンや麺類などは食べ過ぎないようにしています。できるだけ野菜を多く取り、添加物が少ない食品を選ぶよう心がけています。
妻の場合、手首を中心に手全体に痛みが出ることが多いので、手首に負担がかかるような力仕事はぼくの担当です。基本的に家事は妻がしてくれていますが、料理は手首を使うことが多いので、大根やかぼちゃなど硬いものを切るときは、ぼくが代わっています。
最初、病気について調べるときはSNSを活用していました。そこである関節リウマチ患者さんと知り合い「そんなに落ち込むことないよ」「運動も仕事もできるようになるから大丈夫」といった言葉にずいぶん勇気づけられました。同じように私も、何らかの形で関節リウマチで苦しんでいる人を助けたいと思っています。
関節リウマチ患者さんが主催する月1回の交流会にも参加しています。医療従事者や保健師さんなども参加しており、病気のことに限らず、医療や保険制度についても勉強しています。お陰でずいぶん知識が増えました。患者同士で励まし合ったり、情報を交換したりすることもできるので、交流会に参加するたびにパワーをもらえます。
お陰さまで今は不安はありません。普段はどこにも痛みがなく、運動もできています。ただ、働いた日はずっと手首を動かしているので痛みが出てしまいます。そのため翌日は休ませてもらうことも。美容師は関節リウマチになると辞めてしまう人が多いようですが、好きな仕事なので私はできるだけ続けていきたいと思っています。
自分もそうでしたが、リウマチは温泉の効能などに書いてあるので軽い病気だと誤解されがちです。まずは、家族が病気についてよく理解しておくことが大切だと思います。ぼくは妻が参加している交流会に一緒に参加することもあります。患者さんのリアルな声を聞くことは、病気の知識を深め、家族としてできることを見つける貴重な機会になると実感しています。
※本記事は個人の方のお話をもとに構成しており、治療方法などの内容がすべての方に当てはまるわけではありません。
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