読む、えいよう

「心のえいよう」料理家・近藤幸子さん 家事に仕事に子育てに…忙しい毎日の支えとは?

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「月刊おいしい健康」 では、料理研究家の方々にレシピを考案していただいています。「料理を考え、作ること」を仕事にしている方々は、心身ともに健やかでいるためにどのようなことに気をつけているのでしょうか? 「心のえいよう」と題して、お話を聞いていきます。
初回は「1月号」 にて、健康的でかつ、手軽にできるおいしい鍋を考えてくれた料理家の近藤幸子さんのお話です。

管理栄養士の資格を持つ近藤さんは、料理家として働きながら、二人のお子さんを持つ母親として家事もこなす日々を送っています。どのようなところからレシピを生み出すのか、さらに、忙しい時の心の持ちようについて聞きました。

手間をかけなくても、おいしいレシピを

「塩だけ」「しょうゆだけ」と調味料ひとつでおいしく仕上がる。フライパンに材料を入れて8分中火で蒸すだけで味が決まる。近藤さんは、手間や時間をかけなくてもできる、さまざまなおかずを提案し続けています。

「自分自身、忙しい時はできるだけ手間をかけずに料理がしたい。もちろん、手の込んだ料理がしたい日もあるけれど、毎日、毎食は難しいですから。日々のことだからこそ、自分が無理をせずに作れて、みんながおいしく食べられるおかずを、と思っています」

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そんな思いから生まれたレシピは、忙しい人だけでなく、料理が初めての人や苦手意識のある人でも、手軽にやってみようと思えるもの。たくさんの人に「これならできる」という安心感を与えてきました。
近藤さん自身も家族のために作ってきたレシピがたくさんあります。

「手間はかけないけれど、おおよその栄養バランスは考えるようにしています。細かく計算すると大変なので、たんぱく質と野菜をしっかりとっていればよし、という感じ。というのも、家族それぞれ好みも違うし、その日の体調や気分も変わるものですよね。たとえば、子どもが『肉はあんまり食べたくない』という時は、卵とヨーグルトを食べたからいいか、と思うし、たくさんの野菜を盛り込めないメニューでも、トマトとブロッコリーが食べられたからよし、と。家族も私も食事が苦痛にならないように、楽しく食べられることをいちばんに考えています」

夫婦ともに仕事をし、お子さんたちも学校や習い事と忙しい。そんな毎日だからこそ、無理なく手間なく料理をし、食事の時間を楽しくすることを、近藤さんは大切にしているのです。

一人で過ごす時間を決める

さらには、一人で過ごす時間をきちんと決めていると話します。たとえ家事が途中でも、決めた時間になったら座ってひと休み。

「仕事も家でやっているし、家事もあるので、毎日ずっと家で動き回っていることになります。だから、夫と子どもが家を出た後の30分だけは一人で過ごすと決めています。自分のためだけにお茶やコーヒーを入れて、とにかく座ってゆっくりする。音楽を聴いたり、見逃していたドラマを見たり、SNSを書いたりしてのんびり。仕事も家事もやらなければいけないことは後からどんどん出てくるので、休む時間を決めないとゆっくりできないんです」

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また、撮影や取材などの仕事がひと段落したら、映画やライブ、個展など、外に出るようにしているのだそう。家にいると、つい家事をしたり、仕事のことを考えてしまうからこそ、一旦離れる時間が必要だと言います。

「半日空いたら、とにかく外に出る。家でも快適に過ごせるけれど、外に出ると仕事や生活への刺激になるものがいっぱいあって、いいインプットになるんです。あとは、自分にご褒美をあげるのもいい。パフェが大好きなので、この仕事が終わったら、あそこのあのパフェを食べよう!と思うと頑張れます。そういうことが、私にとっての『心のえいよう』。食事の栄養バランスも大切にしつつ、心を満たしてくれるものや時間を大事にしたいな、と思っています」

レシピを考え、試作をし、撮影をこなして、さらに家族のためにご飯を作ったり、掃除や洗濯をしたり。そんなせわしない日々でも、自分の時間を持ち、少しでも外に出て刺激を受ける。毎日を健やかに過ごすために、近藤さんが実践しているのは「心のえいよう」を大切にすることなのです。

撮影:鈴木泰介
編集:おいしい健康編集部
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