献立も外食もまるわかり!
脂質異常症と食事

監修
京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学講師
濱口真英 先生
脂質異常症の食事療法は、動脈硬化を防ぐために大切なことです。体重管理をしながら、食事で意識したいことを、自炊、コンビニ、外食別にご紹介します。

脂質異常症の基礎知識
脂質異常症は、動脈硬化発症の大きなリスクになります。健診で受診をすすめられたら、最初に知っておきたいことを下の記事で詳しく紹介しています。

脂質異常症とは、どんな病気?動脈硬化発症リスクと脂質異常
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態が「脂質異常症」で、以前は高脂血症と呼ばれていました。脂質の異常は、LDLコレステロール(LDL-C、いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(HDL-C、いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(TG、中性脂肪)の血中濃度の異常を指し、これらはいずれも動脈硬化の促進と関連します。そこで、まずは動脈硬化について知っておきましょう。

脂質異常症の種類と治療の進め方
脂質の異常は、動脈硬化のリスクを判断するための目安となる値です。健診で受診をすすめられたら、医師と相談して動脈硬化リスクを防ぐ治療を考えていくことになります。中でもLDLコレステロール(LDL-C、いわゆる悪玉コレステロール)の目標値をしっかり管理することが、動脈硬化予防のために重要とされています。脂質異常症の原因は人によって異なるため、数値による自己判断ではなく、医療機関への受診が最初の一歩となります。

脂質異常症の方が心がけたい生活習慣〜体重管理や食事のポイント〜
脂質異常症の方が日常生活で気をつけたいことは、動脈硬化のリスクを下げるための健康的な食事や運動、禁煙、節酒などが基本になります。健康的な生活は、脂質の異常の改善だけでなく、血圧や血糖値を上げにくくする、肥満を解消するなど、多方面から動脈硬化の予防につながります。この記事では主に適切な体重管理と食事について解説します。

脂質異常症の方の運動の取り入れ方〜まずは歩数を増やそう〜
動脈硬化の予防のためには、運動不足解消もひとつの方法です。また、運動によってトリグリセライド(中性脂肪)が下がるとともに、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が上がるといわれています。とはいえ、いきなりハードな運動をしなくても、歩く機会を増やすなど、体を動かす習慣を意識することが大切です。

脂質異常症の食事
3つのポイント
1
自分に合った体重を知ろう
脂質異常症で大切なのは自分に合った目標体重を維持し、適正なエネルギー量の食事をとることです。
目標体重=身長(m)×身長(m)×BMI
例:身長160cmの場合、1.6×1.6×22=56.32kg
適正なBMIは年齢によって変えることが期待されています。
(18~49歳:18.5~24.9 50~64歳:20.0~24.9 65歳以上:21.5~24.9)
2
とりたい脂質・控えたい脂質を確認
LDL(悪玉)コレステロールが高い原因のひとつに、肉の脂身やバターなどに含まれる飽和脂肪酸のとりすぎが考えられます。逆に青魚などの多価不飽和脂肪酸は動脈硬化予防のうえでとりたい脂質です。
3
野菜などから食物繊維をとろう
野菜やきのこ、海藻などから食物繊維をとることで、コレステロールの吸収を抑える働きが期待できます。脂質異常症の方は、1日あたり25g以上の食物繊維をとることがすすめられています。

【自炊編】
1週間献立で悩まずらくらく
自炊をすると、油をあまり使わずに調理するなどの調整がしやすくなります。また、肉なら 脂質の少ない部位や種類(赤身やもも肉、鶏むね肉など)を選ぶ 方法も。献立には 食物繊維を補える野菜やきのこ を合わせると、栄養バランスが整い、LDLコレステロールを下げる働きも期待できます。
管理栄養士監修 脂質異常症の方におすすめの1週間献立
自炊に役立つコラム

「コレステロール、中性脂肪が高い…」脂質異常症の方におすすめの主菜、副菜
健康診断で、「コレステロールが高い」「中性脂肪に気をつけましょう」と言われたことはありませんか?血液中のLDL-コレステロールや中性脂肪が増えすぎた状態、あるいはHDL-コレステロールが減りすぎている状態を、「脂質異常症」といいます。

揚げずとも、揚げ物のようなおいしさを!
カロリーは気になるけれど、やっぱり揚げ物を食べたいという気持ちが捨てきれない人は多いはず。「月刊おいしい健康10月号」の第2特集は、そんな気持ちを満たしてくれる「揚げない揚げ物」です。

油なしでも、満足感のあるおかずは作れます
「月刊おいしい健康」では、おいしい健康の管理栄養士が毎月テーマを決めてレシピを考案している記事があります。「おいしい」と感じることをあきらめてほしくない。「食べたい」という気持ちを大切にしてほしい。そんな思いを込めたページです。2月号は「正月太りに待ったをかける無油主菜」。体重が気になる方におすすめのおかずがそろっています。

【コンビニ編】
食物繊維の補給を意識しよう
おにぎり、惣菜、おやつなどで食物繊維を補う選び方
コンビニには脂質異常症の方がとりたい
「食物繊維」を手軽にプラス
できる食品が豊富です。中には食物繊維の多さをアピールした商品も販売されています。
コンビニで食事をとるなら下のような主食を選ぶ、野菜やきのこ入りの惣菜をプラスするなどして食物繊維を増やすのが◎。おやつや飲みものを食物繊維を補えるものに変えるのもアリです。


その他のコンビニコラム

【外食編】
脂質量の目安を知っておこう
脂質量が多いメニューが続かないように調整を
外食メニューでは、揚げもの以外に、パスタや中華料理なども脂質量が多め。まずはどれぐらいの脂質量かを知っておき、
頻度を減らし、脂質が少なめのメニューに置き換えたい
もの。頻度を減らせない場合は、脂っぽい肉料理や揚げものが続かないようにし、いろいろな食材やジャンルを楽しむようにするとGOOD。
その他の外食コラム

脂質を控えたいときの「外食メニュー」選びガイド
外食は脂質のとりすぎの大きな原因になりがちです。脂質異常症の方やLDLコレステロールが高めなどで脂質が気になる方が知っておきたい、外食時に少しでもヘルシーに食べるポイントをご紹介します。

飲み会シーズン必見!油のとりすぎリセットのコツ
冬の宴会シーズン到来。ジューシーな鶏唐揚げに、サクサク天ぷらの盛り合わせ…、揚げ物はお酒の席に欠かせないメニューですね。年末年始の時期、油っこいものを食べ過ぎて胃がもたれたり、お腹を下したり…なんてことはありませんか? 食べ過ぎてしまった後の体重も気になりますね。今回は、揚げ物を健康的に楽しむ方法を紹介します。
脂質異常症は、定期的な血液検査でコレステロールや中性脂肪の数値を見ながら、生活の改善に取り組んでいきます。健康に気遣いながらも、毎日を心地よく過ごせる食生活のあり方を一緒に見つけていきましょう。
食事・栄養監修 おいしい健康 管理栄養士
参考:※1.厚生労働省 日本人の食事摂取基準2025年版、文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年、女子栄養大学出版部 毎日の食事のカロリーガイド第3版、日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版