読む、えいよう

「心のえいよう」料理研究家・小林まさみさん、まさるさん 二人ともに、楽しく、健やかに仕事を続けられるコツとは?

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「月刊おいしい健康」 では、料理研究家の方々にレシピを考案していただいています。「料理を考え、作ること」を仕事にしている方々は、心身ともに健やかでいるためにどのようなことに気をつけているのでしょうか? 「心のえいよう」と題して、お話を聞いていきます。

嫁と舅という関係のふたりが考えたレシピ

2月号で子どもからシニアまで年代を問わず食べられるおかずを提案してくれた、小林まさみさんとまさるさん。まずは、お二人についてご紹介します。

まさみさんは、料理愛好家の平野レミさんのアシスタントなどを経て、料理研究家として独立。現在は、雑誌やテレビでレシピを考案し、手軽でおいしい料理と、明るく朗らかな人柄で人気です。

まさるさんは、まさみさんのお舅さん。70歳のころ、まさみさんのお手伝いをしたところ、手際の良さからアシスタントをすることに。洗い物をしていたはずが、調理のサポートをするようになり、スタッフのためにコーヒーを淹れたり、自作の漬物をふるまったり。今ではシニア料理研究家としても活躍していて、その時はまさみさんがアシスタントを務めます。

今回、小さな子どももシニア世代も、みんなで同じ料理を楽しむことはできないかと考え、おふたりにレシピの考案をお願いしました。

「なかなか野菜を食べてくれない子どももいますし、シニアにとっては噛みにくい食材というものもあります。どちらにも食べやすくて、おいしいと思ってもらえるものを考えました」とまさみさん。まさるさんも「みんなで同じものを食べた方がうまいと感じるもんだよね。誰か一人だけ別のメニューなんて寂しいでしょう」と。

撮影時は、それぞれが料理をし、ときにアシスタントとなって9品の料理を披露してくれました。

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朝食をきちんと食べて、仕事をする

人気料理家として忙しい日々をすごすなかで、体調を管理するためにどのようなことに気をつけているのでしょうか?

「撮影をしていると、どうしても昼食が遅くなることもあるので、朝はきちんと食べるようにしています。『今日の朝はパン』と言うと、お義父さんが冷蔵庫にあるものでスープを作ってくれるんです。あたたかいものをお腹に入れると、力が出ますよね」(まさみさん)

「俺は冷蔵庫にあるもので作るのが好きなんだよ。たとえば、ベーコンとにんにくを炒めて、あとはそのときある野菜を入れて煮込んだりして。塩と鶏がらスープちょっとで味つけすればそれだけでおいしいからね」(まさるさん)

また、家庭料理を提案するなかで、どうしても肉料理が続く時期もあります。そういう時には、自分たちの夕食は、魚や野菜中心の献立を意識するようにしているのだそう。

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リセットしたい日には、お腹にやさしいものを

料理するだけでなく、それを食べることも仕事。撮影の時も、試作の時も、いつも食べていると二人は振り返ります。

「だから、リセットできる日があったら、できるだけ胃に優しいものを作るようにしています。温野菜にしたり、おかゆにしたり。お義父さんはおかゆが好きなんですよね」と言うまさみさんに、まさるさんが続けます。「貝柱を入れることもあれば、鶏肉入れることもあるし。ごま油をちょっと垂らすのもうまいんだよ。ホッとするよね」。

また、まさるさんは、適度な運動も大切だと話します。撮影や試作がある日は、毎朝歩いて買い物へ出かけるのだそう。愛犬ヴァトンの散歩も、昼はまさるさんが担当しています。「歩くのがいちばんいいよ。足腰が丈夫じゃないと何もできないもんね」とまさるさん。

一方、まさみさんは、朝きちんと起きることを大切にしていると言います。「疲れた日は早めに寝る。睡眠をしっかりとって、翌朝早く起きて仕事をするようにしています。その方が身体も楽だし、気持ちもすっきりするんです」。

しっかり食べて、自分に合った運動や睡眠をとる。ふたりは、忙しい生活のなかでも、それぞれが無理なくできることを取り入れているのです。

まさるさんは、現在87歳。撮影中は、つねに先を読んでテキパキとまさみさんのアシストをしていました。「お義父さんが元気でいてくれるのがいちばん。ケンカもしますけどね、それはそれでストレス発散にもなっていいんだと思っています」と笑うまさみさん。

お互いを助け合い、ときにケンカをしながら、気遣いながら過ごす日々。体の調子が良ければ、仕事も楽しめるもの。働くことが楽しければ、心も健やかでいられるのです。

撮影:広瀬貴子
編集:おいしい健康編集部