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【管理栄養士に聞く】「糖質」って何ですか?

栄養や食材などに関して、管理栄養士の方に質問を投げかける不定期連載。今回のテーマは「糖質」です。

「低糖質」「糖質抜き」などの食事法がフォーカスされ、糖質が悪者扱いされているように感じる昨今。糖質はとりすぎるといけないものなのか、正直よく分かりません。

筆者は「糖質=甘い物」という、あいまいなイメージしかないのですが、実際はどうなのでしょう。

「そもそも糖質とはなんですか?」

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ミヤタ:今日の質問は「糖質」について。基本的なことから教えてください。

管理栄養士・きたさん(以下、きたさん):糖質自体を説明する前に、炭水化物について知らないと。ご飯やパン、めん類などの「炭水化物」、炭水化物は糖質と食物繊維を含む総称なんですね。

ミヤタ:図で書くとこんな感じ?

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きたさん:そうですね。食物繊維は人間の体で消化ができないので、炭水化物が持つエネルギーとは、ほぼ糖質によるものだと言えます。

「炭水化物」は脂質、たんぱく質と並んで3大栄養素と呼ばれ、1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーがあります。糖質は主に、体を動かすためのエネルギーとして使われているんですね。

ミヤタ:ほぅ。糖質って炭水化物のなかにある、と。

きたさん:ご飯やパンなど、いわゆる主食以外にも、いも類やまめ類、果物などにも糖質が多く含まれるので、意識しなくても糖質を摂取していることが多いですよ。

糖質といっても種類がいろいろとあって、食品中の糖質はこんな感じに分けられます。

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ミヤタ:えっと、単糖類、二糖類って……。

きたさん:糖質の分子の数によって分類され、一番小さな単位は糖類が一種類だけの「単糖類」。この単糖の数が2つだと「二糖類」、単糖の数が3〜10が「少糖類」。それ以上が「多糖類」になります。

二糖以上のものは、単糖に分解して体に吸収されるので、単糖類は一番早くエネルギーとして使うことができるんですね。

スポーツ選手が、試合前にブドウ糖などが含まれるものを食べるのは、吸収の速さからなんですね。

逆に多糖類など糖類の数が多いものは、分解するのに時間がかかり、単糖類に比べると吸収がゆっくりになります。

ちなみに単糖類で有名なのがブドウ糖や、果糖。二糖類には麦芽糖、乳糖、ショ糖などですね。いわゆる「砂糖」の主成分はショ糖になります。

なじみのある食材でいうと、こんな感じですね。

  • 単糖類……ブドウ糖、はちみつ、果物など
  • 二糖類……砂糖、水あめなど
  • 多糖類……でんぷん(ご飯、いも類、豆類)など

「糖質をとりすぎると、何がいけないのですか?」

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ミヤタ:糖質に関して、なんとなくつかめてきました。

糖質はとりすぎはいけないと聞くけれど、どうして? とり過ぎは太る、というイメージもあるけど。

きたさん:最初にさらっと言ったのですが、人間の体に糖質は必要な栄養素です。でも、どんなものでも、とり過ぎはやはりよくないですよ。

糖質は体のエネルギー源なんですが、余分にとって使われなかった分は、分解され中性脂肪になり皮下脂肪として蓄えられます。エネルギー源となる糖が足りない場合に使われるので、ある程度の蓄積は問題ないのですが、蓄積が増えていくと肥満につながります。

過剰な糖質を取り続けると、場合によっては糖尿病などの生活習慣病にもなりかねません。

ミヤタ:肥満、生活習慣病。それは避けたいです。

きたさん:健康体であればむやみに糖質を避ける必要はありません。ただ、覚えておいてほしいのは、糖質の多い食べ物をとるときは、ビタミンB1を含む食材を一緒にとることが大切だと。

ミヤタ:ビタミンB1を一緒にとると、どんないいことが?

きたさん:栄養素はとっただけで、本来の役割を果たせるわけではないんですね。糖質の場合、ビタミンB1が一緒にあることで糖質が代謝しエネルギーへと変わります。

糖質と一緒にとりたいビタミンB1

ミヤタ:どんなときでも、糖質がエネルギーに変わるのにはビタミンB1がないとだめ?

きたさん:そうなんです。甘いお菓子や清涼飲料水、インスタント食品などは糖質が多いのに、ビタミンB1の含有量が少ないものがほとんどなので、糖質をとりすぎるとビタミンB1不足になる場合があります。

ミヤタ:ビタミンB1は糖質の代謝以外に、どんな時に必要?

きたさん:脳や神経の働きを正常にするために必要です。糖質の代謝に必要なビタミンB1が足りないと、糖質の代謝がうまくいかず、きちんとエネルギー源として使われません。

余談ですが、アルコールの分解にもビタミンB1は必要ですよ。

ミヤタ:(ドキッ)覚えておきます。ビタミンB1が含まれる食材にはどんなものがあるの?

きたさん:豚モモやヒレ肉、玄米ご飯や全粒粉・ふすま入りのパン、大豆なども多く含まれます。含有量は微量でも、多くの野菜にはビタミンB1が含まれるので、日常的に野菜をきちんととることもいいですね。

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もちろん糖質のとりすぎはよくないですが、糖質を減らすということよりも、きちんとビタミンB1を摂取することも知っておいてほしいなと思います。

ミヤタ:まだ糖質のことで知りたいこともあるけれど、長くなりそうなので、今回はこのあたりでお開きにします。きたさん、ありがとうございました!

糖質のこと、今回のまとめ

  • 炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものを指す

  • 人間の体を動かすエネルギーとして必要な栄養素

  • 糖質の中にも種類があり、分子の数により単糖、二糖、多糖類などに分けられる

  • 糖質はビタミンB1と一緒になることでエネルギーに変換される

  • 糖質はとりすぎると肥満や生活習慣病を引き起こす元にもなるが、健康体では特に意識して減らすことはしなくてよい


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取材・文/ミヤタナツ

編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士
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