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離乳食のきほん 最初におさえたい8つのこと

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離乳とは、母乳・ミルクを飲んでいた赤ちゃんが、少しずつ食事を食べられるようになり、徐々に食事から栄養を摂取できるようになるための練習期間です。
まだ大人のように食べ物を噛んだり、飲み込んだりできないので、赤ちゃんの発達に合わせた調理が欠かせません。
未発達な赤ちゃんならではの注意点もありますので、最初におさえておきましょう。

目次
1.食事は楽しく。食べなくても大丈夫
2.食中毒を予防。衛生面には気をつける
3.乳児ボツリヌス症予防。はちみつは1歳から
4.誤嚥に注意。喉に詰まりそうなものは避ける
5食物アレルギーの心配は医師とよく相談
6.胃腸の発達に合わせて。消化のいいものから始める
7.味付けは控えめに。調味料は9〜11ヶ月ごろからがおすすめ
8.手作りでなくても。市販のベビーフードを賢く活用
9.まとめ

1.食事は楽しく。最初は食べなくても大丈夫

赤ちゃんは5〜6ヶ月頃になると、授乳のリズムがだんだん整ってきます。 首のすわりがしっかりしてきて、寝返りができたり、5秒以上座れるようになったりします。それと同時に、見える世界や興味もどんどん広がっていく時期です。

中には大人が食事をしていると、興味を示す赤ちゃんもいます。 そうなったら離乳食の始めどき。 大人と一緒に食卓を囲むための、第一歩が離乳食というわけです。

離乳食は、赤ちゃんにとって初めての体験。 なるべくなら、楽しい体験になってほしいですよね。 大切なのは、楽しく食事をする時間を設けること。

だから、赤ちゃんが食べても、食べなくても、大丈夫。 最初から上手にできないのは、当たり前のこと。 大人もリラックスして、楽しみを持って離乳食が進められるといいですね。

心配なときは1人で抱え込まず、かかりつけ医や子育て支援センターのスタッフ、保健センターの管理栄養士、保育園の保育士や管理栄養士に相談してみましょう。

2.食中毒を予防。衛生面には気をつける

赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いので、大人よりも食中毒にかかるリスクが高いといえます。 離乳食を手作りする際は、衛生面に気をつけましょう。

1)まな板や包丁などの調理道具は清潔に保つ

2)食材は新鮮なものを使って、きちんと加熱する*

3)作り置きはせず、作りたてを食べさせるか、冷凍する

4)冷凍した離乳食は自然解凍せず、必ず再加熱する

*りんごなど一部の果物は加熱なしで食べさせることができますが、その際も衛生面に気をつけましょう。

参考:農林水産省 赤ちゃんを守るために https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/baby.html

3.乳児ボツリヌス症予防。はちみつは1歳から

健康的なイメージのあるはちみつですが、赤ちゃんに食べさせるなら1歳を過ぎてからにしましょう。

はちみつにはボツリヌス菌の芽胞が混入している可能性があり、1歳未満の赤ちゃんが食べると腸内で芽胞が発芽・増殖し、毒素を出すことがあります。これを乳児ボツリヌス症といいます。

ボツリヌス菌は熱に強いため、通常の加熱や調理では死滅しません。

はちみつ入りの飲料やお菓子などの食品も、1歳未満の場合は避けましょう。 消化機能が発達してくる1歳を過ぎれば、問題なく食べられます。

参考:厚生労働省 ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html

4.誤嚥に注意。喉に詰まりそうなものは避ける

赤ちゃんは食べ物を噛んだり、ごっくんと飲み込んだりする力が未発達です。 加えて大人よりも気道が狭いことから、食べ物を誤嚥(ごえん)しやすいといえます。

誤嚥とは、飲食物が食道ではなく気道に入ってしまうこと。 誤って気道に入ると、窒息する危険があります。

赤ちゃんが窒息を起こしやすい食品があります。その特徴を知っておきましょう。

誤嚥しやすい食品の特徴

●丸くつるっとしているもの

例:ミニトマト、ぶどう、さくらんぼ、うずら卵、球形のチーズ、カップゼリー、ソーセージ、こんにゃく、白玉団子、あめ、ピーナッツなどの豆類、ラムネ

●粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの

例:もち、ごはん、パン類、焼きいも、カステラ、せんべい

●固くて噛み切りにくいもの

例:えび、いか、貝類、きのこ類、グミ、のりなど

誤嚥しやすい食品は避けるか、小さめに切る、食べやすく調理するなどしましょう。

また、食べる前に授乳やお茶・汁物を飲ませて喉を潤しておく、よく噛んでから飲み込むように声をかける、一口の量を多くしないなども誤嚥予防につながります。

参考:日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会「〜食品による窒息 子どもを守るためにできること〜」 https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123

5.食物アレルギーの心配は医師とよく相談

離乳食を始めるにあたり、食物アレルギーの発症が心配という方も多いと思います。 けれど、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はありません。

もし、赤ちゃんの皮膚に湿疹があったり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーと診断されていたりする場合は、離乳食を始める前にかかりつけ医に相談しましょう。

離乳食を食べさせたあとに食物アレルギーが疑われる症状がみられた場合は、自己判断せずに、必ずかかりつけ医に診てもらいましょう。

初めて食べさせる食材は少量から始めることで、万が一、食物アレルギーの症状がでたとしても、症状を最小限に抑えられる可能性があります。 初めて食べさせる食材は自宅で、まずは少量から食べさせてみてください。

6.胃腸の発達に合わせて。消化のいいものから始める

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撮影/武井メグミ

赤ちゃんの消化機能は未発達です。 少しずつ食べ物を消化できるようになっていくので、離乳食の初めは消化にいい食材を使い、消化にいい調理法を用います。 10倍がゆという、なめらかにすりつぶしたおかゆを最初に食べさせるのは、そのためです。

以下のような順番で慣らしていくと、赤ちゃんの胃腸に負担をかけず、スムーズに離乳食を進められるはずです。

炭水化物源(ごはん、パン、うどんなど) 

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ビタミン・ミネラル源(野菜、果物、海藻など)

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たんぱく質源(大豆製品、魚、肉など)  

7.味付けは控えめに。調味料は9〜11ヶ月頃からがおすすめ

赤ちゃんは味に敏感です。あまり濃すぎる味付けは避けたいものです。

離乳初期は調味料を使わずに、素材の味だけでじゅうぶん。

いつもの味に飽きてくる子もいるので、9〜11ヶ月頃になったら少量の調味料を試してみるといいでしょう。 油脂類も同様で、風味づけ程度に少量取り入れると、バリエーションが広がります。

8.手作りでなくても。市販のベビーフードを賢く活用

「おいしい健康」では手作りの離乳食レシピを紹介していますが、離乳食は手作りでなくてもいいんです。 レトルト、瓶、フリーズドライ、冷凍など、いろいろなタイプ、月齢別の市販の離乳食(ベビーフード)を手軽に買うことができます。 市販品だけで離乳食期を乗りきれるほど、バリエーションが豊富。

一般的には、手作りとベビーフードを使い分けたり、ベビーフードと手作りを組み合わせたりしている方が多いのではないでしょうか。 ご自身の生活スタイルなどによって、いい塩梅で選択できるといいですね。

国内でベビーフードを製造・販売している企業の業界団体「日本ベビーフード協議会」では赤ちゃんへの安全性を考え、自主規格を設けています。 詳しくはこちらをご覧ください。https://www.baby-food.jp/standard/

9.まとめ

日本の離乳食の指針は、厚生労働省が妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者(助産所、保健センター等の医師、助産師、保健師、管理栄養士など)に向け、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」にまとめています。

おいしい健康の離乳食もこちらに則っていますが、そんなに堅苦しく考える必要はありません。

きほんをおさえれば、あとは赤ちゃんの成長・発達や、家庭の事情に合わせて進めれば大丈夫です。 肩の力を抜いて、離乳食を赤ちゃんと一緒に楽しみましょう。 2150

参考:厚生労働省公表「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士