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潰瘍性大腸炎の食事
潰瘍性大腸炎の食事の基本
『活動期』は病状が悪化している状態なので食事にも注意が必要です。一方『寛解期』では厳密な食事制限は必要ないので、暴飲暴食、脂質の多いメニューに気をつけながら食事を楽しみましょう。
活動期 | 寛解期 | |
---|---|---|
どんな状態? |
腹痛や頻回の下痢、血便などの症状がある状態。 |
活動期のような症状がおさまっている状態。 |
食事の基本 |
消化しやすく、高エネルギー、高たんぱく、低脂肪、低刺激、低残渣(ざんさ)(低食物繊維)の食事。 アルコール類、香辛料、カフェイン飲料、炭酸飲料は控えめにする。 ![]() |
栄養バランスのよい食事。 炎症を抑える働きが期待できるn-3系脂肪酸(青魚やナッツなどに含まれる)の摂取を意識する。 ![]() 増粘多糖類*など食品添加物の摂取はなるべく控える。 |
*増粘多糖類とは、食品の食感をよくするために用いられる食品添加物。ゼリーやプリン、ヨーグルトの一部、グミ、ドレッシングなどに含まれています。
体調が優れないときの食材選びのポイント
体調が優れないときは、消化器官に負担をかけないことがポイントです。低脂肪、低刺激、低残渣(低食物繊維)を意識して食材を選ぶといいでしょう。
消化器官への負担が
少ない食材はどっち?
主食(炭水化物)
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管理栄養士からのアドバイス
エネルギー源となる主食は脂質が
少ないもので、
しっかりとるように
しましょう。
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肉・魚など(たんぱく質)
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管理栄養士からのアドバイス
肉・魚は高たんぱくで、
脂質が少ない部位を選びましょう。
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ウインナー、ハム、ベーコンなどの
加工肉の摂取は控えましょう。
野菜・果物
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管理栄養士からのアドバイス
低残渣(低食物繊維)の
野菜や果物を選びましょう。
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基本的には食事制限はないですが、栄養バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。脂質が多いもの、香辛料などの刺激物は腸に負担がかかるため、とりすぎには注意しましょう。また、 増粘多糖類*など腸の炎症を引き起こす可能性のある食品添加物もなるべく控えましょう。
栄養バランスのよい食事とは
1つの栄養素に偏るのではなく、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、健康のために必要な栄養素がバランスよくとれる食事のこと。主食・主菜(メインのおかず)・副菜+汁ものの定食スタイルにすると、栄養バランスがよくなります。「丼もの+汁もの」や「具だくさんの麺類」などでもOKです。
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最初は少量を、体調の変化がなさそうであれば徐々に量を増やしながら試してみるのがいいでしょう。調子が悪くなったときのために、家などトイレにすぐに行ける環境でぜひ試してみてください。
下痢が続くと、水分のほかにナトリウム・カリウム(ミネラル)も排泄されていますので、水分だけでなくミネラルも合わせてとることを意識しましょう。経口補水液や味噌汁、野菜スープ、野菜ジュース、果汁100%ジュースなどがおすすめです。ただし、かんきつ類は刺激が強いので避けるようにしましょう。
乳製品は脂肪の多い食品ですので、体調が悪いときや、一度にたくさんとると腸管の蠕動(ぜんどう)運動を刺激し、腹痛や下痢の原因になりやすいといわれています。 一方で、乳製品は乳酸菌やビフィズス菌など腸内環境をよくしてくれる菌を含み、カルシウム源でもあるので、極端に制限しすぎず体調に合わせてとることをおすすめします。
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※ご自身の体調に合わせてお試しください
監修:おいしい健康管理栄養士
<参考>
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木班)「潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識」第4版(2020年3月改訂)
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木班)「炎症性腸疾患患者さんの食事について Q&A」.2020