上がってくる感覚はもしかして?
見逃さないで
隠れ逆流性食道炎
監修/京都府立医科大学大学院医学研究科
生体免疫
栄養学講座教授 内藤 裕二先生
胃のムカムカが止まらない。
食後にみぞおちのあたりがチリチリする感じ、しみる感じ。
こんな症状を繰り返していませんか?
それは、逆流性食道炎かもしれません。
逆流性食道炎は欧米に多く、日本では比較的少ない病気と考えられてきました。
しかし、日本でも逆流性食道炎と診断される人が増加。
現在は、日本人の逆流性食道炎の有病率は
10%程度(10人に1人)と推定されています。
(※1)
※1 藤原靖弘.GERD疫学 - 最近の動向 -.日本消化器病学会雑誌 114 (10) 1781-1789, 2017.
INDEX
それ
だけではありません!
見落としがちな
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の症状は、胸やけや胃のムカムカだけではありません。他にも見落としがちな症状がいくつかあります。皆さんは症状をどれだけ認識されていますか?
逆流性食道炎の意外な症状
耳のあたりが痛む
声がかすれる
食後にお腹がはる
喉のイガイガ感や
咳が続く
これらの耳や喉の症状も逆流性食道炎と関連している可能性があります。あなたが今お悩みの症状は逆流性食道炎かもしれません。症状チェックシートを使って、症状が当てはまらないか、確認してみましょう。
逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎は、胃食道逆流症(GERD)の中でも食道炎が発生しているものを指します。これは、胃酸が食道に逆流し、胸やけや食道の粘膜のただれが起こる病気です。胃は、食べ物を消化するために胃酸を分泌し、酸から身を守る仕組みを持っていますが、食道にはその防御機能がないため、胃酸が逆流するとダメージを受けやすくなります。
胃酸が食道に逆流する病気は
次の3つのタイプに分けられます
- type 1
- 食道に炎症(食道粘膜のただれ)が起きていないけれど、自覚症状がある(非びらん性胃食道逆流症)
- type 2
- 食道に炎症が起きていて、自覚症状もある(びらん性胃食道逆流症=逆流性食道炎)
- type 3
- 食道に炎症が起きているけれど、自覚症状はない(びらん性胃食道逆流症=逆流性食道炎)
これらのタイプは主に内視鏡検査(胃カメラ)によって診断されます。胃食道逆流症は命に関わる病気ではありませんが、日常生活の質(QOL)に大きく影響するため、適切な対処が必要です。
早めに専門医に相談する
ことが大切です
早期に診断を受け、適切な治療を始めることで症状の悪化を防ぐことができます。気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
毎日の生活習慣を
見直すことも大切!
逆流性食道炎と診断されたら、薬による治療と生活の改善を行います。 薬物治療で胃酸の分泌を抑えることはできるのですが、胃酸の逆流を防ぐ薬は今のところありません。そのため治療効果を高めるには、投薬に加えて、逆流を招きやすい生活習慣を改めることが欠かせません。ここでは具体的に生活習慣のどんなところを見直せばいいか、みていきます。以下のポイントに気を付けて生活習慣を整えましょう。
生活習慣の改善
- 偏った食事をやめる
-
脂肪分の多い食事や野菜不足、甘いものなどの高浸透圧食品、アルコールやコーヒーのとり過ぎなどを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 食べ過ぎを控える
- 適正エネルギー量を把握し、食べ過ぎを防ぎましょう。
- 食事リズムを整える
- 朝食をしっかりとり、夜遅くの食事を避けましょう。
- 運動する
- 日常生活に運動を取り入れ、エネルギー消費を促進しましょう。
- 禁煙する
- 喫煙者は禁煙をしましょう。
逆流を防ぐ
食べ方のコツ
- よく噛んでゆっくり食べる
- 早食いを避け、ゆっくりと食べましょう。
- 腹八分目を意識する
- 食事量を適度にコントロールし、胃酸の逆流を防ぎましょう。
- 食後すぐに横にならない
- 少なくとも30分間は体を起こしておきましょう。
胸やけのときに
食べたい、
消化にいいレシピ
消化に時間がかかる食品は、胃酸の分泌が長引き、逆流のリスクが高まります。消化にいい食品を選び、食道や胃への負担を減らすことが大切です。
消化にいい食品
おいしい健康
管理栄養士がすすめる
消化にいいレシピ
脂質カットでも
満足ごはん
レンジでパラパラ レタたま納豆チャーハン
レンジでパラパラ レタたま納豆チャーハン
油を使わず脂質カット。レタスでボリュームアップすることでご飯少なめでも食べ応え抜群。混ぜて電子レンジでチンするだけ。
たらこの豆乳クリーム
うどん
たらこの豆乳クリームうどん
豆乳とめんつゆのシンプルなスープに、たらこのうま味と青じその風味が加わり、味わい十分!乳製品を使わず、豆乳を使うことで脂質カット。
消化にいい
満足おかず
電子レンジで えびの蒸し餃子
電子レンジで えびの蒸し餃子
低脂質で消化にいい、ぷりぷりとしたえびのうま味がぎゅっと詰まった蒸し餃子。油を使わない胃にやさしいメニューです。
揚げない 鶏のから揚げ
揚げない 鶏のから揚げ
鶏肉の皮の脂だけでから揚げを作ります。調味料を揉み込み、片栗粉をまぶしてオーブントースターで焼くだけ。
内藤 裕二 先生
京都府立医科大学大学院医学研究科生体免疫栄養学講座教授
1983年京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学客員教授、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授、同大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長などを経て、2021年より現職。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、抗加齢医学、腸内細菌叢研究。著書に、
> 『酪酸菌を増やせば健康・長寿になれる 今、話題の酪酸・酪酸菌のすべてが分かる!』(あさ出版)
、
> 『消化管(おなか)は泣いています』(ダイヤモンド社)
など。