レシピを見なくても味つけ上手に。味つけの科学について
公開日: 2020年11月26日
料理を作る時に「レシピを見ずにある食材でさっと調理できたらいいな」と思うことはありませんか?
実は特別な才能やセンス、経験がなくても「一定の法則」がわかれば、味つけがぐんと上達します。
そこで、今回は「味つけの法則」と「考え方」についてご紹介します。
ほどよい味つけとは?
人が「おいしい」と感じるのは、人間の体液(生理食塩水)と同じくらいの0.8〜1%程度の塩分量。つまり、「材料の重量」と「調味料の塩分量」を計算すれば、おいしいと感じる料理に近づけることができます。
それを「調味パーセント濃度」といい、レシピを作るときは、これを考えながら作成しています。
調味パーセント(%)=調味料の塩分量÷材料の重量(汁物の場合は液体量)×100
適量とされる調味パーセント濃度は、料理によって異なります。
例えば、ごはんと一緒に食べる主菜であれば、ある程度塩味を感じないとごはんがすすまないので、生理食塩水より少し多めの1〜1.5%程度が適量。
箸休めとなる副菜であれば〜0.8%程度、液体そのものを飲む汁物であれば、生理食塩水に近い0.8〜1.0%程度。
ただ、同じ汁物であっても、だしの香りやみその風味を楽しむお吸い物やみそ汁はこちらの基準となりますが、バターや牛乳などうま味や風味が強い洋風のスープであれば、少し薄めでもおいしく感じられます。
では実際のレシピで考えてみます。
豚肉(100g)と玉ねぎ(50g)を使って、しょうが焼きを作る場合は、
食材全体の重量=100+50=150g
しょうが焼きなので、ごはんがすすむように調味パーセントが1%程度の味つけにするには
調味料の塩分量=150×1/100=1.5g
塩分を1.5g入れればおいしいと感じる味つけになることがわかります。
調味料の塩分量とは?
塩分1.5gと言われても、どの調味料をどれだけ入れたらいいのでしょうか。
調味料の塩分量は調味料によって大きく異なります。
例えば、小さじ1杯で比べると、塩の塩分量は6g。しょうゆの塩分量は1g。
つまり、塩はしょうゆの6倍塩分があるということになります。
*日本食品標準成分表2015年度版(七訂)参照
しょうが焼きの味つけをしょうゆだけでする場合は、しょうゆ小さじ1杯の塩分量が1gなので、塩分量を1.5gにするには、小さじ1と1/2(9g)を入れればいいことになります。
そこに砂糖やみりんで甘味やコクを出したり、お酢の酸味を効かせたり、とうがらしを加えて辛味を加えたり。
どういう味つけにしたいかをイメージして調味料を合わせていきます。
おいしい健康レシピの味つけの秘密
おいしい健康のレシピは調味パーセント濃度を意識しながらも、なるべく塩分を控えめにするために様々な工夫をこらしています。
例えば、こちらのポテトサラダのレシピ。
じゃがいも(70g)+玉ねぎ(10g)+きゅうり(10g)+ロースハム(5g)=95g
対して、食塩相当量(塩分量)は0.6gなので、調味パーセント濃度はおおよそ0.6%程度。
一般的なポテトサラダは、マヨネーズや塩がもっと多く使われていますが、お酢の酸味を効かせることで、塩味が引き立ち、おいしさを保ちながら減塩できるように工夫しています。
肉じゃがは甘辛い味でごはんがすすむ定番の家庭料理。ただ、しょうゆや砂糖を多く使うため、塩分が高くなりやすい一品です。
それを、おいしい健康のレシピでは、
牛もも肉(40g)+じゃがいも(80g)+玉ねぎ(40g)+にんじん(20g)+グリンピース(5g)=185g
対して、食塩相当量(塩分量)は1.4gなので、調味パーセント濃度はおおよそ0.7%程度。
だしを効かせたり、香り豊かなしょうがを加えることで、塩分を減らしても物足りなさを感じないように作っています。
今回は「味つけの法則」と「考え方」をお伝えしました。
最初は少し難しいかもしれませんが、味つけのポイントがわかってくると、毎日の料理で味つけを失敗することが少なくなったり、自分や家族の好みや体調に合わせて、おいしくアレンジすることもできるようになります。
ぜひ、取り入れてみてくださいね。