読む、えいよう

妊婦さんの体重増加目安が引き上げられました

妊娠すると「体重管理が大切」といわれます。太りすぎないように気をつける人が多いと思いますが、実は体重の増加が不足することにもリスクがあります。2021年3月、妊娠中の体重増加の目安が見直され、従来の値より1〜3kg増になりました。その背景には若い女性の“やせ”の問題があります。 1624

妊娠前に低体重の場合は3kg増に

妊婦健康診査(以下、妊婦健診)などで、主に産婦人科医が妊婦さんの体重増加の目安として用いられてきた値が、2021年3月に引き上げられました。 妊娠前に低体重(やせ)だった場合、体重増加が従来の9〜12kg から3kg増の12〜15kgに。普通体重でも、従来の7〜12kgから10〜13kgと1〜3kg増になっています。*1
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妊娠前の体格は、肥満度を表す体格指数「BMI」に準じています。 BMIは以下の式で求められます。体重は妊娠前の体重で計算してみてください。
BMI(体格指数)=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

導き出したBMIの値は、以下の基準に分類されます。
18.5未満…低体重
18.5以上25.0未満…普通体重
25.0以上30.0未満…肥満(1度)
30.0以上…肥満(2度以上)

『産婦人科診療ガイドライン産科編(2020)』によると、「増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではない」とし、体重増加には個人差があることを強調。

体重が増えないように、厳格に体重管理をしている妊婦さん、特に妊娠前に低体重だった人は、医師と相談しながらゆるやかに管理していけるといいですね。

体重増加が不足することで早産などのリスクが

なぜ今回、妊娠中の体重増加量が見直されたのでしょうか? 従来の目安では、妊娠中の生理的な体重増を下回っている可能性が危惧されたからです。*1

厚生労働省が2021年3月に公表した「妊産婦のための食生活指針」によると、妊娠中の体重増加が不足すると「早産のリスクや赤ちゃんが在胎週数に対して小さく生まれるリスクが高まる」とのこと。

早産になったり、赤ちゃんが小さく生まれたりすると「乳児死亡の危険因子であるだけでなく、成人後の循環器疾患や糖尿病発症の危険因子である」と、将来に渡ってさまざな影響を与える可能性があることを示唆しています。

今や生まれてくる赤ちゃんの10人に1人が低出生体重児(2500g未満)という時代。*2 これは決して少ない数字ではありません。

赤ちゃんを健康的に育むためには、妊娠中に体重が増えないのもよくないし、増えすぎるのもよくないのです。

適切な体重増加には「バランスのいい食事」を

おなかの赤ちゃんがすくすく育つためには、妊婦さんは適切なエネルギー量、栄養素を食事から摂取する必要があります。 特に妊娠前に低体重だった人は、妊娠を機に食事を見直しましょう。

妊娠中は妊娠前に比べ、多くのエネルギー量、栄養素が必要となります。

厚生労働省公表「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、妊娠初期で50 kcal/日、妊娠中期で250 kcal/日、妊娠後期で450 kcal/日を余分に摂る必要があります。

3回の食事で十分に摂取できない場合は、食事と食事の間におにぎりやサンドイッチなどを食べて、しっかりエネルギー量、栄養素を補いましょう。

妊娠中の食事管理には、アプリ「おいしい健康」がたいへん便利です。ぜひご活用ください。 https://oishi-kenko.com/service_description

<参考>厚生労働省2021年3月公表「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」https://www.mhlw.go.jp/content/000763688.pdf
*1日本産婦人科学会 周産期委員会策定「妊娠中の体重増加指導の目安」
*2 厚生労働省 人口動態統計

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士