[スイスの食卓から]第2回:ニューノーマルになる日も近い?ヨーロッパで定番のプラントベースミートの魅力 文・安藤友梨
公開日: 2021年9月10日
見た目はお肉そのものですが、原料は100%植物由来のプラントベースミート。
近年では地球温暖化対策やヘルシー志向の高まりから世界中で注目されています。
スイスも例外ではなく、ファストフード店などでも導入されているくらい身近な食品です。
今回は、実際に食べてみた感想とともにご紹介します。
プラントベースミートとは?
プラントベースミートは、肉さながらの食感や見た目を再現した植物性の代替肉のことで、主な原料は大豆やえんどう豆といった豆類です。
日本では、大豆ミートやソイミート、ゼロミートとも呼ばれています。
肉となる家畜を育てる場合、放牧地確保のための森林伐採や飼料の生産などの理由から、環境への負荷がかかってしまいます。
しかし、プラントベースミートは植物から作られるため、環境負荷が少なく、よりサスティナブルであることが特徴です。
そのため、ヴィーガンやベジタリアンといった菜食者だけでなく、環境保護の視点からも食卓にとりいれる人が増えてきています。
種類や値段はどう違う?
スイスのスーパーマーケットでは、プラントベースミート専用の販売棚があります。
えんどう豆や大豆といった豆類を主原料に、ココナッツオイル、小麦グルテンや香辛料を加えることで作られた製品が並んでいます。
こちらでは大豆よりもえんどう豆を主原料にしているものが多い印象です。
種類はとにかく豊富で、ひき肉タイプ、バーガー用のパティ、ミートボールといった未加熱の成型品から、ナゲットやハム、ソーセージ、ステーキなどの加熱済み製品もあります。
価格は精肉と比べると1~2割ほど高めですが、手に取りやすい価格です。
プラントベースミートの栄養価
プラントベースミートと牛ひき肉の栄養価を比べてみましょう。
栄養価は購入した商品の栄養成分表から抜粋しました。
●プラントベースミート 100gあたり
エネルギー:195kcal
食塩:0.5g
たんぱく質:17.4g
脂質 :10g
炭水化物:8.0g
食物繊維:2.1g
●牛ひき肉 100gあたり
エネルギー:251kcal
食塩:0.2g
たんぱく質:17.1g
脂質:21.1g
飽和脂肪酸:7.25g
炭水化物:0.3g
食物繊維:0g
製品によって多少の差はありますが、プラントベースミートは牛ひき肉と比べ、カロリー・脂質は少なく、たんぱく質はほぼ同等であることがわかります。
加えて、肉からは摂取できない食物繊維を含んでいます。
ただ、食塩が含まれているため、一度にたくさん食べ過ぎてしまわないように注意が必要です。
実際に食べ比べてみました
プラントベースミートと牛ひき肉でそれぞれハンバーグを作り、比較してみました。
どちらもソテーした赤玉ねぎとパン粉をつなぎにしています。
左がプラントベースミート、右が牛ひき肉です。
片面5〜6分ずつ加熱した後の様子。
プラントベースは肉よりも先に火が通っていそうでしたが、特有の豆の匂いが消えるまで加熱を続け、肉と同じ加熱時間になりました。
プラントベースミートは肉汁が出ないため、焼いても縮みませんでした。
断面はこんな感じです。プラントベースミートは加熱後もやわらかいため、火が通っているのか判断が難しいと感じました。
見た目・質感
生肉そっくりな赤い色味は、ビーツやトマトを加えることで再現されています。
ひき肉と違い、冷蔵庫から出したばかりでも、こねるとすぐにまとまりはじめます。時短になるのでうれしいですね。
におい
きな粉のような豆特有の香りが強く、香辛料が使われているとはいえ、豆のにおいが勝っています。
加熱することで、この香りはなくなりました。
味
さすがに肉の味はせず、しっかり豆の風味とほのかな甘みを感じられます。
初めて食べる時は、ごま油やカレー粉のように香りが強いものと組み合わせることで、よりおいしく食べられる印象です。
食感
とてもやわらかく咀しゃくしやすいため、高齢の方向けの食事にも活用できそうです。
肉のような食感ではありませんが、肉に比べて食物繊維が多いためか、食べ応えがあります。
まとめ
環境にやさしく低脂質で高たんぱく、さらに調理も手軽なプラントベースミート。
未加熱タイプだけではなく、加工食品として販売されているものも多いことから、スイスでは手に取ることができる機会が増えてきました。
わが家ではひき肉料理の際にお肉と1:1で使い、カロリーを抑えつつ、たんぱく質と食物繊維を摂るようにしています。
プラントベースミートを使った調理品は日本国内でも増えてきており、中には唐揚げやハムカツといった日本ならではの商品もあるそう。
日本人に不足しがちな食物繊維を補うこともできるので、みなさまも一度、試してみてはいかがでしょうか?
安藤友梨
北海道出身の管理栄養士。機内食の商品開発や、栄養ソフトのサポート経験などを経て現在はスイスで生活中。
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