読む、えいよう

「スイスの食卓から」第1回:牛乳、豆乳だけじゃない。世界で飲まれている多様なミルクの種類と栄養とは? 文・安藤友梨

【編集部より】今月から毎月、スイス在住の管理栄養士・安藤友梨さんが、スイスをはじめとするヨーロッパの食事情についてリポートします。
今回のテーマは「ミルク」です。

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冷蔵庫に常備されていることも多い牛乳。
牛乳に含まれるカルシウムは、骨の健康のために必要であることは、広く知られていますね。
それでは、アーモンドやカシューナッツから作られるミルクの栄養素は…?
今回は、世界の様々な種類のミルクについてご紹介します。

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牛乳、飲んでいますか?

そのまま飲むだけでなく、料理やお菓子作りまで大活躍の「牛乳」。
カルシウムを多く含むことから、健康管理の為に積極的に生活に取り入れる方も多いのではないでしょうか。
今回は酪農大国スイスより、スーパーで見つけた乳製品について解説します。
まずは、現地のスーパーの様子から紹介しましょう。

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スイスのスーパーの外観。どこに行ってもアパートの1階にあることが多いです。

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スーパーの青果コーナー。 日本でお馴染みのメロンやスイカが旬を迎えています。

選択肢の多さにびっくり!乳製品コーナー

スイスでは、牛乳やクリームをはじめヨーグルト、チーズなど、乳製品の種類が非常に豊富。
牛乳の棚だけでも、牛の品種(ブラウンスイス種やジャージー種など)や乳脂肪分別に分類されているのはもちろんのこと、BIO(有機栽培由来)か否か、育った地域や食べている草のことまで記載されています。
常温で長期保存ができるものも多くあることから、販売棚が冷蔵と常温に分かれています。
加えて、宗教上の理由や環境に配慮して動物性の食品を避ける人たちのため、どのスーパーでも様々な植物性ミルクを取り扱っています。
この「植物性ミルク」について詳しく解説します。

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ミルクはかなり広いスペースをとっていて、画像のような棚がもう1つあります。

試してみたい?様々な植物性ミルク

食品を扱うお店であれば、大抵どんなところでも植物性ミルクを手に入れることができます。
大手スーパーで、主に取り扱っているものはこちら。

・ココナッツミルク
・ソイミルク
・アーモンドミルク
・カシューミルク
・オーツミルク
・ライスミルク

カフェやレストランでは、気軽に牛乳から各種ミルクへ変更することができます。
大半の植物性ミルクは無糖と加糖に区分されており、種類によってはカルシウムやビタミンが添加されて栄養価がアップしているものも。
用途に応じて使い分けができるようになっています。

植物性ミルクの特徴と栄養価

ココナッツミルク

ココナッツの甘い香りが特徴。
フルーツと相性がよく、スイスではスムージーに使われることが多いです。
ココナッツミルクを飲むことで、カリウムやマグネシウム、食物繊維などを摂取することができます。

ソイミルク

日本で手に入るものより大豆の味が薄く感じられますが、クセもなくおいしいです。
牛乳と比べると低カロリーかつ低脂肪であり、貧血予防に欠かせない鉄分を含んでいます。
ビタミンCと合わせて摂ることで、鉄分の吸収率を高めることができます。

アーモンドミルク

自然な甘みと香ばしい風味を持ち、コーヒーとの相性がとても良いミルク。
牛乳、豆乳と比べてカロリーが低く、骨や歯の健康に欠かせないマグネシウムや、抗酸化作用により細胞の健康維持を助けるビタミンEが豊富です。

カシューミルク

カシューナッツから作られるカシューミルクは、アーモンドミルク同様カロリーが低く、カリウムやリン、マグネシウムなどのミネラルを多く含みます。
また、ナッツ類の中でも葉酸を多く含んでいます。

ライスミルク

日本人からすると「わざわざミルクに加工するなんて」と思ってしまうライスミルク。
実は乳糖不耐症や大豆アレルギーを持つ方にとって非常にポピュラーであり、ヨーロッパや欧米では牛乳、豆乳に次ぐ第3のミルクとして広く浸透しています。
カルシウムや鉄分を添加した状態で販売されているものも多く、バランスよく栄養を摂ることができます。

オーツミルク

牛乳と比べ食物繊維を多く含むオーツミルク。グラノーラやミューズリーに欠かせないオーツ(えん麦)から作られています。
市販品では牛乳と同等のカルシウムやビタミンB12を添加して販売されているものも多いですが、味にクセもなくとても飲みやすいです。

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私はオーツミルクをよく購入します。見た目は牛乳と同じく真っ白。

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オーツミルクとバナナ、ミックスベリーを使ってスムージーを作りました。味は牛乳よりあっさりしていて朝食にぴったり。

まとめ

種類によって味も栄養価も様々なミルクをご紹介しました。
筆者が日本にいた頃は牛乳ばかり飲んでいましたが、スイスに来てからはアーモンドミルクやオーツミルクをよく飲むようになりました。
無糖タイプでも自然な甘みがあり、クセがなく飲みやすいのはもちろんですが、牛乳と比べ食物繊維やビタミンなどを摂取できるため、健康を考える多くの方へおすすめです。
どのミルクも、そのまま飲める手軽さはもちろん幅広い料理に使えるのが魅力的ですね。
毎日の食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。

参考:スイス連邦食品安全獣医局FSVO Base de données suisse
参考:フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES) CiqualFood
参考:米国農務省の農業研究サービス機関 FoodData Central

プロフィール
安藤友梨
北海道出身の管理栄養士。機内食の商品開発や、栄養ソフトのサポート経験などを経て現在はスイスで生活中。


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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士
撮影:安藤友梨