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糖尿病のカロリー制限、なぜ必要?目安はどのくらい?

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糖尿病の患者さんの治療ではカロリーコントロールが基本となりますが、「1日にどのくらいカロリーを摂ったらいいのかわからない」「食べ物のカロリー計算法が難しい」などの悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?

この記事では、なぜカロリー制限が必要なのか、1日の摂取カロリー目安の計算式、さらには糖質・脂質は制限した方がいいのか、などを詳しく解説していきます。

1.そもそもカロリーって何のこと?

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1-1. カロリーとは、エネルギーの単位です

近年では「カロリーが低い」「カロリーが高いと太りやすい」など食品の持つ栄養価としての生理的熱量を表す言葉にもなっていますが、正式にはエネルギーの単位として使われます。
エネルギーは機械でいうところの電池のような役目で、運動したり、体温を維持したり、内臓を動かすことなどで消費されます。

1-2.消費できないエネルギーは体内に脂肪として蓄積

例えば食事で100kcalのエネルギーを摂取した場合、100kcalのエネルギーを消費する運動をすれば、体には残りません。
逆に、摂取したエネルギーを消費できなかった場合、それは脂肪となって体内に蓄積されます。そのため、1日の消費エネルギーを考えながら、食事をすることが大切です。

ただし、目標とするカロリー内であっても偏った食事になると、必要な栄養が摂れず、逆に体に害を及ぼしてしまうこともあります。
糖尿病などの生活習慣病の人は適切なエネルギー量を摂ることが治療の基本となるため、それぞれ個人にあった食事療法を考えていかなければなりません。

2. 糖尿病とカロリー制限の関係

2-1.糖尿病はなぜカロリー制限が必要?

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、働きが悪くなったりすることで、食事からとった血液中のブドウ糖が十分に活用されず、血糖値が高いまま下がらなくなる病気です。

その治療には、食事療法、運動療法、薬物療法(経口血糖降下薬、インスリン注射など)の3つの方法が行われます。中でも食事療法は糖尿病治療の基本となるもので、ほかの2つの治療をしている人でも行わなければならないものです。
糖尿病の中でも、2型糖尿病は食事療法だけで血糖値が適正な範囲内に保たれることもあります。

食事療法はエネルギーのとりすぎに気をつけ、栄養バランスを整えて、血糖コントロールを良くすることを目指します。そのためにエネルギーの摂取量を安定させ、血糖値が上がりすぎないことが大切。
患者さんに合ったカロリー制限をして、太リすぎず、痩せすぎない適正体重をキープできるようにコントロールします。これにより、合併症予防やほかの病気の予防にも役立つのです。

2-2. 1日の摂取カロリー目安を知ろう

糖尿病では、体格と1日の活動量で摂取カロリーを決定します。計算法を紹介するので、実際に計算してみましょう。

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計算式はこちら。
1日の摂取カロリー(kcal)=①標準体重(kg)×②身体活動量
計算式内の①標準体重と②身体活動量は、下記に詳しく解説していきます。

①標準体重とは

身長に対して標準的とされる理想の体重です。下記の計算から出される数値です。
【標準体重=[身長(m)×身長(m)]×22※】
※65才以上は22〜25とゆるく考えるほうがいいとされています

②身体活動量とは

日ごろの活動量を数値化したものです。例えば事務中心の仕事と、外回りの営業では一日の消費カロリーが違います。そのため活動量ごとに数字の目安があるので、下記の表から自分の活動量に近い項目の数字を入れます。
【身体活動量の目安】
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2-3. 例えば身長170センチでデスクワークが多い人の摂取カロリーの目安

それでは、実際に170センチのデスクワークが多い人を例に摂取カロリーの目安を計算をしてみましょう。
①標準体重は
1.7×1.7×22=63.58kg
②活動量は
25〜30
となります。

これを計算式に当てはめると、1日の摂取カロリーは
63.58×(25〜30)=1589.5〜1907.4kcal
となり、170センチのデスクワークの人の摂取カロリーの目安は1589.5〜1907.4kcalとなります。
ただし、性別や年齢、合併症の有無などで、この計算式に当てはまらない人もいるので、医師や管理栄養士と相談して決めてもらいましょう。

3. 摂取カロリー内でも偏った食事はNG

3-1.栄養素のバランスも大切

1日の摂取カロリーを守ることと同じくらい大切なのが、「栄養バランスを保つこと」。そのため、エネルギーのもととなる炭水化物やたんぱく質、脂質にプラスして、体の調子を整えるミネラルやビタミンを、さまざまな食品からまんべんなくとることが大切です。
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撮影:寺澤太郎

3-2. 糖質はどのくらい摂取すべき?

糖尿病というと「糖質をあまり食べないほうがいいのかな」と思うかもしれません。確かに摂りすぎは良くないですが、極端に糖質を除いた食生活は長期的に見れば腎症や動脈硬化の進行などが懸念され、おすすめできません。

糖質は炭水化物の一種で、糖尿病の患者さんは炭水化物を一日の摂取カロリーの50〜60%摂ることがよいとされています。食後の血糖値は主に食事に含まれる炭水化物(厳密には糖質)の量によって変動するので、ふだん食べているものにどれだけの炭水化物が含まれるかを把握することが大切です。

3-3. 脂質は控えたほうがいい?

食事療法というとダイエットというイメージが強く、脂質を控えたほうがいいように思えますが、一概にそうはいえません。脂質は摂取カロリーのうち、20〜30%程度摂ることを推奨されています。ただし25%を上回る場合は、飽和脂肪酸を多く含むもの(バター、肉の脂身など動物性の脂質)などを減らすようにしましょう。

4. まとめ

糖尿病の治療の目標は、糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害)や動脈硬化症(心筋梗塞、脳梗塞、足壊疽)を予防し、健康な人と同様に活動的な日常生活を送ることです。そのためには、食事療法が基本とした治療が必要になります。

軽症ならば食事の改善だけでも血糖値は安定します。1日の摂取カロリーと栄養バランスを考えながら、症状の安定を目指しましょう。 「おいしい健康」では、管理栄養士がおすすめする糖尿病の患者さん向けのレシピはもちろん、献立もたくさん紹介しています。 

<参考>
日本糖尿病学会,「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」(文光堂)
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」(南江堂)
「最新食べて治す医学大辞典」(主婦と生活社)

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士