糖尿病での間食の選び方は?押さえておきたいポイント
公開日: 2021年7月21日
間食とは、3回の食事以外にとる食べ物と飲み物のこと。楽しみでもあり、気分転換にもなるので、毎日とっている人も多いのでは? でもカロリー制限が必要な糖尿病の人は、好きなものを好きなだけ食べてよいというわけではありません。
この記事では、間食と血糖値の関係と、上手な間食のとり方について解説します。糖尿病でも体に負担なく、間食を楽しむ方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
1.間食と血糖値の関係
1-1. 間食でとる食べ物は血糖値を上げやすい
1-2. 間食を食べるタイミングによっては、糖尿病を悪化させることも
1-3. 食べる量にも注意が必要です
2.間食を上手にとるポイント
2-1.食べる物のエネルギー量を把握しておく
2-2. 食べる量を決めておこう
2-3. 間食をとるタイミングは?
2-4. おすすめの間食は?
2-5. 間食のために食事を抜くのはNG
3.まとめ
1.間食と血糖値の関係
1-1. 間食でとる食べ物は血糖値を上げやすい
あなたは間食にどんなものを食べていますか?
多くは、和洋菓子・果物・菓子パン・スナック菓子・甘いジュース・砂糖やミルク入りのコーヒーや紅茶などではないでしょうか。
こうした食べ物や飲み物は、食事に比べれば、エネルギー量は少ないものの、糖質が多く含まれるため、血糖値が上昇しやすくなります。さらにとる量やタイミングを間違えてしまうと、せっかく食事療法をしていても血糖コントロールがうまくいかなくなってしまいます。
1-2.間食を食べるタイミングによっては、糖尿病を悪化させることも
間食によって急上昇した血糖値は元の状態に下がりきるまで時間がかかります。そのため、次の食事まで時間があまりないタイミングで間食をとると、血糖値が下がりきらないまま食事をとることになってしまいます。
糖尿病の人は、インスリンの分泌力が低下しているため、普段の食前の血糖値まで下がるのにより時間がかかります。食前の血糖値が高い状態で食事をとると、当然、食後の血糖値も上昇。血管にダメージを与える時間が長くなって、糖尿病を悪化させてしまうことになります。
1-3.食べる量にも注意が必要です
間食を食べる量にも注意が必要です。間食で食べたい量だけ食べてしまうと、せっかくコントロールしている1日の摂取エネルギー量を超えてしまいます。糖尿病の悪化だけではなく、中性脂肪やコレステロール値も高くなり、肥満や脂質異常症などほかの生活習慣病につながる可能性も。
2. 間食を上手にとるポイント
2-1.食べる物のエネルギー量を把握しておく
糖尿病の食事療法の基本はカロリー制限。間食をとるなら、1日200kcal以下が適量とされています。200kcal以内に抑えるためには、よく食べる食品のカロリーの目安を知っておくことが大切。市販品にはパッケージに栄養成分が表示されているので参考にしましょう。
お菓子のエネルギー量
今川焼き(カスタード)1個 197kcal
カステラ3切れ(135g) 424kcal
みたらし団子3本(180g) 355kcal
大福1個(95g) 256kcal
どら焼き1個(80g) 218kcal
ざらめせんべい1枚 94kcal
つぶあんぱん1個(115g) 334kcal
クリームパン1個 (105g) 286kcal
シュークリーム1個(95g) 235kcal
ショートケーキ1個(175g) 446kcal
ドーナツ1個(50g) 225kcal
コーヒーゼリー1個(100g、ポーション5ml) 56kcal
ポテトチップスうすしお味1袋(60g) 336kcal
ミルクチョコ1箱(50g) 279kcal
※1より抜粋
2-2.食べる量を決めておこう
間食で1日の摂取カロリーを超えないようにするためには、少量を取り分ける、個包装のものを選ぶなど食べる前に量を決めて、それ以上食べないようにすることが重要。
万一食べ過ぎてしまったときは、夕食を軽めにしたり、糖質や脂質が多いものを控えたりして調整しましょう。
2-3.間食をとるタイミングは?
間食をとるなら、時間を決めましょう。間食でとったエネルギーを消費できる、午前中や午後の早い時間帯がおすすめ。
もうひとつ重要なのは、寝る前に食べないこと。就寝中に高血糖の状態が続くことで、高血糖による合併症が起こりやすくなります。また消費されなかったエネルギーが脂肪となって蓄積され、肥満の原因になります。
2-4.おすすめの間食は?
間食としておすすめなのが、下記のようなビタミン・食物繊維・たんぱく質を含む食品です。ただし、いずれも食べ過ぎには要注意。飲み物は、甘いジュースではなく、お茶や砂糖を入れないコーヒー・紅茶などにしましょう。
●果物・いも類
素材自体に甘みがあるので、満足感が得られやすい食品です。果物やいも類には糖質が含まれますが、砂糖に比べると血糖値の上昇がゆるやかといわれます。食物繊維も含まれるので、食後に高血糖になりにくくなります。
●無糖または低糖ヨーグルト・チーズ
低脂肪なのでエネルギー量を抑えられます。発酵食品なので腸内環境を整える効果に加え、日本人に不足しがちなカルシウム源としてもおすすめです。
●ナッツ類
手軽に食べられるくるみ・アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類は、糖質が少なく、たんぱく質や良質な脂質を含みます。食物繊維も豊富なので、血糖値を上げにくい食品です。
2-5.間食のために食事を抜くのはNG
糖尿病の食事療法の基本は、1日3回、栄養バランスのよい食事をとることです。間食をたくさん食べたいからと、食事の量を減らしたり、食事を抜くのは絶対にやめましょう。血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を悪化させる危険があります。
3. まとめ
糖尿病でも1日の摂取カロリーの範囲内で、血糖コントロールがうまくできていれば、間食を楽しむことができます。「週に2回、大好きな和菓子を1つ食べてよしとする」などのルールを決めたり、その日食べたものや量を記録につけるなど、食べ過ぎないための方法を自分なりに見つけると自己管理しやすくなるでしょう。
<参考>
厚生労働省e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」
綿田裕孝、高橋徳江 監修「糖尿病の満足ごはん」(女子栄養大学出版部)
田中 逸 著「セミナー糖尿病アドバイス」(日本医事新報社)
日本糖尿病学会 編・著「糖尿病診療ガイドライン2019」 (南江堂)
※1 香川明夫 監修「外食・コンビニ・惣菜のカロリーガイド」(女子栄養大学出版部)
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