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人の一生と生活習慣病[あなたの人生の主治医はあなた:文・岡田 定 医師]

【編集部より】
聖路加国際病院で血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任され、現在は西崎クリニックの院長を務められている岡田 定先生の連載『あなたの人生の主治医はあなた』を今月からお届けします。

岡田先生は、ご自身が「60代後半になった今、健やかに生きるためには“良い生活習慣”を身につけるべきだ」と、人生における生活習慣の重要性を痛感されたそうです。 そこで本連載では、30代から80代までの各年代が直面するかもしれない健康問題とその予防法を紹介します。
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人の一生と生活習慣病

第1回目の今回は、どの年代にも当てはまる「生活習慣病」について解説します。

みなさんは生活習慣病について、どのように考えていますか?
30代の方の中には、自分は大丈夫、生活習慣病にはならないと考えている方が多いのではないでしょうか。
40代以上の方の中には生活習慣病になり、若い頃の生活習慣について後悔している方や、それでも歳のせいにして、そのままの生活習慣を続ける方もいると思います。

生活習慣を改善しないとどうなるのか、「人の一生と生活習慣病」について考えてみましょう。
今回は、生活習慣病の流れを「湖から川を下り、滝に落ちるまでの流れ」に例えて説明します。
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30代:生活習慣病レベル1
悪い生活習慣をしても病気になりにくい

上のイラストを見てください。
30代の若い方は、「湖」に住んでいます。「湖」は生活習慣病のレベル1の段階です。
レベル1の住民は、不適切な食生活、過度の飲酒、喫煙、運動不足などがあっても、若さという特権があれば病気を起こしにくくなります。

若い方は、「これからも今の元気な状態がずっと続く」と信じ、「自分だけは大丈夫だ」とタカをくくっています。でも、残念ながらそれは幻想です。

悪い生活習慣を続ければ、いずれ生活習慣病になることは避けられません。悪い生活習慣を続けた先の未来には、何が待ち受けていると思いますか? それを見ていきましょう。

40代:生活習慣病レベル2
肥満症、糖尿病、高血圧、脂質異常症が出てくる

人は生きている限り、加齢現象を避けることはできません。加齢とともに病気になるリスク(危険)は高くなっていきます。30代の方は10年後、40代の中年になります。中年になれば「湖」を出て川下りを始めることになります。

「湖」を出ると、「川の上流」に達します。30代までに身についた悪い生活習慣を続けていれば、レベル2の段階に達します。
レベル2では、肥満症、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病に見舞われるようになります。

日本人の3人に1人、約4300万人が高血圧です(※1)。高血圧の多くは、男性は40代、女性は50代で発症します(※1)。
糖尿病の場合はその10年後、多くは男性50代、女性60代で発症します(※1)。

40代、50代になって、「ちょっと厄介なことになったな」「自分もそんな歳になったのか」と思うようになります。

※1:平成28年厚生労働省 国民健康・栄養調査

50代、60代:生活習慣病レベル3
心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の合併症が出てくる

でも、もしあなたが30代から良い生活習慣を身につけておられたら、そんなことはありません。あなたはゆっくりと川下りを楽しむことができます。
生活習慣病のレベル2の段階に達しても、生活習慣をきちんと改善すれば、生活習慣病は退散していきます。その後の川下りも、とてもゆっくりになります。

でも、「歳だからこんなものだ」「痛くもかゆくもない。なんとかなるだろう」と安易に考え、生活習慣を改善しないままだとどうなるでしょうか?
改善しないままだと、急流に乗って一気に「川の下流」に達します。レベル3です。

レベル3では、50代や60代で心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の合併症を発症します。「大変なことになった」「こんなはずではなかった」と、ほぞをかむことになります。
あなたの家族や身近な人にも、レベル3に達した方がおられるかもしれません。

70代、80代:生活習慣病レベル4
フレイル、半身麻痺、認知症が出てくる

レベル3の段階になっても、生活習慣を真剣に改善し、治療をきちんと受ければいいのですが、そうでなければ「滝」に落ちてしまいます。レベル4です。

レベル4では、70代、80代になると日常生活に深刻な支障が出ます。多くの疾患を抱え、フレイルや半身麻痺、認知症になります。あなただけでなく、あなたの家族や周囲の人も大変困った状況になります。

加齢に加えて悪い生活習慣が蓄積すれば、年をとるにつれて病気になるリスクが高まり、次々と病気になります。
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今からでも遅くない。良い生活習慣で健やかな人生を

生活習慣を改善し、今からずっと「良い生活習慣」を続けたらどうなるでしょうか?


「湖」にいる方は、川下りするまでの時間が遅くなり、川下りをしている方は、“ゆっくり”とした川下りになります。どちらの方も「滝」に落ちる可能性が少なくなるでしょう。

もちろん、加齢による病気のリスク増加は避けられませんが、良い生活習慣を続けることで、将来の病気のリスクを低下させることができます。
その低下の幅は、良い生活習慣を始める時期が早ければ早いほど大きくなるのです。
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<参考文献>
厚生労働省のメタボ政策について, 生活習慣病のイメージ


プロフィール:現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

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編集:おいしい健康編集部
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