読む、えいよう

2型糖尿病とはどんな病気? 原因や治療の必要性を解説

3881

監修:京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 講師 濱口真英先生

糖尿病の中で最も多く、その疑いがある人は成人の6人に1人にのぼるといわれている「2型糖尿病」。インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、高血糖が慢性的に続く病気ですが、きちんと治療することで改善が可能です。前向きに治療に取り組むためにも、まずはその原因や症状、診断方法、治療の必要性を解説します。

この記事のまとめ

・2型糖尿病の原因は遺伝や生活習慣などさまざまで、発症する可能性が多くの人にある
・糖尿病であり、2型であることは、血糖値やインスリンの分泌を調べる検査などを組み合わせて診断する
・合併症を防ぐためにも早めの治療や日々の血糖管理が大切

2型糖尿病とは、インスリンの働きが悪くなる病気

糖尿病の概要と種類

糖尿病は、血糖(血液中のブドウ糖)を体のいろいろなところで利用することを促し、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を下げる働きをするインスリンというホルモンが十分に作用しないことで、血糖値の高い状態が慢性的に続く病気です。糖尿病の原因などによって、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などのタイプに分けられ、このうち全体の9割を占める(※1)のが「2型糖尿病」です。

2型糖尿病の要因

2型糖尿病は、インスリンが分泌されているものの量が十分ではない(インスリンの分泌低下)、インスリンの働きが悪くて血糖値が下がらない(インスリン抵抗性)など、インスリンの作用不足によって起こります。
遺伝的な要因などにさまざまな要因が加わることで発症すると考えられており、食事習慣や運動習慣を健康的に保つことで発症が予防できたり、発症後の血糖管理に役立ったりすると考えられています。

慢性的な高血糖に伴う症状を自覚しない場合も多いので、定期的な健康診断を

2型糖尿病の症状

血糖値が上昇すると、体がだるい、眠いといった症状が見られる場合があり、高血糖が慢性的に続くことで、尿がたくさん出る、のどが渇く、体重が減るといった症状が見られる場合があります。
しかし、このような症状を自覚することなく、健康診断で指摘されて初めて気付くケースも少なくありません。そのため、年に1度は健康診断を受けることがすすめられます。

2型糖尿病の診断

2型糖尿病は、血糖値を調べる検査やインスリンの分泌を調べる検査など、複数の検査を組み合わせて診断されます。
特定健診では、空腹時の血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値を調べます。HbA1cとは、赤血球の中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したもの。検査をすることで過去1〜2ヶ月の血糖の状態がわかります。

【健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値】(※2)
※随時血糖は空腹時以外の採血で測定した血糖値
空腹時血糖(随時血糖)
⇒ 保健指導判定値100mg/dl以上 受診勧奨判定値126mg/dl以上
HbA1c
⇒ 保健指導判定値5.6%以上 受診勧奨判定値 6.5%以上

検査の結果で、受診勧奨判定値にあたる場合、早めに受診しましょう。
保健指導判定値の場合、保健指導を受けることがすすめられます。糖尿病の発症の予防のために保健師とともに生活習慣を見直してください。

2型糖尿病の管理はなぜ必要? 早めの治療で合併症を防ごう

早期治療の必要性

2型糖尿病は、血糖値を適切に管理することで合併症を予防し、糖尿病にならなかった場合と同じように健康的ですばらしい生活を送ることができます。そのためにも、健診検査の結果で、受診勧奨判定値にあたる場合、早めに受診し、2型糖尿病と診断された場合は治療を継続することが大切です。

2型糖尿病の合併症

血糖値が高いままだと、神経や眼、腎臓など体のさまざまな部位に負担がかかり、いずれ合併症を引き起こします。
糖尿病の恐ろしいところは、合併症に伴う症状に気付かなくても合併症が進んでしまうことがあること。合併症が進んでしまうと、失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります。また、動脈硬化が進行すれば心臓病や脳卒中のリスクも高まります。

前向きな治療のために

2型糖尿病に限らず、自分がどれだけその病気について知り、行動するかによって、治療の成果は変わってきます。血糖値が高くなる原因や、食事療法・運動療法の進め方、血糖管理のコツなど少しずつ知識を蓄え、実践していきましょう。一人で抱え込まないでください。医療者はあなたが2型糖尿病を管理することをお助けします。

京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 講師
濱口真英先生
2000年に京都府立医科大学を卒業後、第一内科に入局。2002年朝日大学病院(旧朝日大学村上記念病院)消化器内科助手。2004年京都府立医科大学大学院医学研究科に入学、医学博士取得。2009年から2012年大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任研究員、2013年同特任助教。2014年京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学病院助教、2015年より2018年まで亀岡市立病院で地域医療に従事、2017年より同内分泌・代謝内科学客員講師を併任、2018年より同助教。2002年より一貫して糖尿病発症の病態基盤解明を目指した代謝免疫学の研究に従事している。

引用・参考
※1 厚生労働省「患者調査」2017年
※2 厚生労働省 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年版)
「糖尿病診療ガイドライン2024」日本糖尿病学会(南江堂)
厚生労働省 e-ヘルスネット 糖尿病

関連記事
2型糖尿病の治療の三本柱 食事と運動、薬の話
2型糖尿病と上手に付き合うコツ〜食事や運動の基本〜
2型糖尿病の治療や日常生活のよくある質問Q&A

2型糖尿病と食事についての特集ページも公開中▼ 3946

編集・文:東谷好依、おいしい健康編集部