読む、えいよう

「心のえいよう」 市瀬悦子さん  自由に作る料理の楽しさも忘れずに

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「月刊おいしい健康」 では、料理研究家の方々にレシピを考案していただいています。「料理を考え、作ること」を仕事にするうえで、どのような考えで料理に向き合っているのでしょうか。また、心身ともに健やかでいるためにどのようなことに気をつけているのでしょうか。「心のえいよう」と題して、お話を聞いていきます。

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たくさんの人に作ってもらえるレシピを

今回の「月刊おいしい健康9月号」 では、気温差からの不調や、夏バテした身体に優しい「のっけ丼」を特集しました。料理を考えてくれた市瀬悦子さんは、今回のレシピを考えるに当たって、どのようなことを大事にしたのでしょうか?

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「どんなレシピも同じなのですが、まず『作りたい』と思ってもらえるように考えています。自分自身のことだけを考えるのではなくて、いろいろな立場や環境、想いの人がいるだろうと想像して、どんな人にとっても手軽でおいしいと感じてもらえるように工夫しています」

「暑くて火を使いたくない」「忙しくて料理に時間をかけられない」「力が入れられずにフライパンを持てない」など、料理を取り巻く状況は、人によってさまざま。今回の「のっけ丼」は、あえるだけでできるものもあれば、加熱は電子レンジにお任せというものもあり、とても手軽に簡単に、気負うことなく作ることができるレシピになっています。

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「栄養の面では、塩分を控えるために酸味を効かせたり、香りのある野菜を取り入れています。丼ひとつで、野菜も肉や魚も摂れるようにバランスを考えながら試作していきました」

食物繊維もたんぱく質も摂れるようにと栄養バランスを考え、かつ、塩分を控えるからと物足りなさを感じないように。市瀬さんは何度も野菜の量や味付けを変えながら試作をして、レシピを完成させてくれました。

仕事の息抜きも、料理です

料理研究家として独立して11年目。大学卒業後に食品メーカーに勤めていた時に手にした本から、フードコーディネーターの学校に通うようになり、料理研究家のアシスタントを経て、現在に至ります。もともと、料理は小さなころから好きだったと市瀬さんは教えてくれます。

「母が給食の調理員で、家にはたくさんの料理本がありました。それを見て作りたい!と思ってやるようになったんです。小学校の低学年くらいから台所に立っていたと思います。今考えると、子供が料理をするとなると散らかるし、効率も悪いし、見ていてハラハラするはずなのに、母はよく自由にやらせてくれたな、と。ありがたいと思っています」

なんと、鶏のワイン煮に挑戦したこともあったとか。大人向けの料理本を見ながら「肉じゃがにはしょうゆを2回に分けて入れるとおいしいのか」と、実際に作ってみたこともあったと振り返ります。

「自分としてはイマイチだなと思う料理ができても、家族がみんな『おいしい』って言って食べてくれるのが嬉しくて。料理って楽しい!ってそのころから感じていたのかもしれませんね」

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「料理は楽しい」と感じる気持ちは今も変わらず、時間があると料理をするのが息抜きになっていると話します。好きなものを自由に作る時間が何より楽しいのだとか。

「仕事での試作は、いろいろなことを考えつつ、きちんと計量しながらの料理なので、楽しさの種類が違うのかもしれません。自由に好きなものを作る時間はとても大事です」

取り寄せている野菜が届いた日に、あれこれ考えて作ることもあれば、「カニクリームコロッケが食べたい!」と急に思い立って作ることも。自由に料理するのが何より楽しいと笑います。その時の料理が、新しいレシピに繋がることもあるのだそう。その姿は、幼い頃に料理本を見て「これを作りたい!」とキッチンに立っていた市瀬さんと同じなのかもしれません。

料理することも、食べることも、楽しい。たくさんの人にそう思ってもらえるようにと、今回の「のっけ丼」も考えてくれました。「できそうなものから、作ってみてもらえたら嬉しいです」と市瀬さん。おいしい健康編集部も同じ思いです。手軽にできて、栄養バランスもとれていて、そして、何よりおいしいのっけ丼。ぜひ、お試しください。

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撮影:広瀬貴子
スタイリング:しのざきたかこ
編集:おいしい健康編集部
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