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小田真規子さんに教わる:シリーズ1「誰でも失敗しない炒め物の3つのきほん」

4110 こんにちは、おいしい健康管理栄養士のくらさんです。

料理初心者の方でも挑戦しやすい料理の一つに、炒め物があります。
炒め物は、短時間で作れて、いろんな食材を組み合わせることができる、まさにきほんの調理法。けれども、火の加減が難しく、べちゃっと水っぽくなってしまったり、簡単そうに見えて思ったようにうまくいかない。とお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。

そう、料理は簡単に見えるものほど「きほん」を押さえておくことが大切で、私もまだまだ学ぶべきことがたくさんあるなと感じます。
そんなとき、料理研究家の小田真規子さんから「失敗しない炒め物のコツ」を教えていただく機会がありました。その作り方に目からウロコ!いてもたってもいられず、早速自宅で実践。
おいしい!!これこそ、新しい「炒め物のきほん」だ!

この驚きを、ぜひみなさまにもお伝えしたい!と、今回は小田真規子さんに、失敗しない炒め物の「3つのきほん」を、おすすめのレシピとともにたっぷりと教えていただきました。

炒め物は「焼く」!?3つのきほん

早速、失敗しない炒め物の3つのきほんについて紹介します。

❶フライパンをよく温めてから、火の通りにくい食材を順に重ねて広げる
フライパンの温度を上げておくことで、火の通りがよくなります。食材を重ねて広げることで、野菜の水蒸気で全体にふわっと熱が通ります。

❷「炒める」は「焼く」と考える。2分を基本に、触らずにじっと待つ!
「炒める」というと絶えずかき混ぜてしまいがちですが、それが失敗の元。焼き色で香ばしさも加わり、野菜の水蒸気でジューシーに仕上がります。

❸調味料は、中央で煮立たせてから全体にからめる
調味料を煮立てることで、水分が飛び、甘みやうま味が引き出され味わいに変化が生まれます。

たとえば「豚薄切り肉の中華炒め」。シンプルな材料を使って誰にでも作りやすい、きほんの1品です。材料を揃えたら、あとは「3つのきほん」の手順に沿って作るだけ。 このレシピを例に、3つのポイントを確認していきましょう。

『豚薄切り肉の中華炒め』

<材料(2人分)>
豚薄切り肉(肩ロース):160g
ピーマン:2個(60g)
しめじ:100g
玉ねぎ:1/4個(50g)
サラダ油:大さじ1/2
Aしょうゆ:小さじ1
 片栗粉:小さじ1
 ごま油:小さじ1/2
Bオイスターソース:小さじ2
 しょうゆ:小さじ1
 砂糖:小さじ1

<作り方>
①ピーマンは縦半分に切り斜め1cm幅に、玉ねぎは5mm幅の薄切りに、しめじは手でほぐします。豚肉は6~7㎝幅に切ります。
②豚肉にAを揉み込みます。
③フライパンにサラダ油を入れて1〜2分中火で熱します。豚肉、玉ねぎ、ピーマン、しめじを順に広げます。
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【きほん❶】 火が通りにくく脂分の多い肉→玉ねぎ→ピーマン→しめじの順に重ねて広げます。食材を上に重ねると火が通るのか心配になりますが、野菜は余熱でも火が通るのでこの時点では半生の状態でOK。

④そのまま動かさずに2分焼き、焼き色がついたら上下を返します。野菜がしんなりするまで1〜2分炒めます。
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【きほん❷】 つい触りたくなってしまいますが、ここはじっと我慢。野菜の水蒸気が肉全体に移ってジューシーに仕上がります。野菜の水分もここで抜けるので、水っぽくなるのを防ぎます。焼き色がついたら、初めて上下を返して炒める作業へ。フライパンをふらなくても全体に火が通ります。

⑤中央をあけ、Bを加えてよく混ぜて煮立たせます。全体を混ぜながら1分程度さっと炒めて出来上がりです。 4114

【きほん❸】 調味料は全体ではなく、中央に。最初に熱を加えて水分を飛ばします。油と調味料の甘みや香りに変化が生まれ、シンプルな調味料でも深い味わいに仕上がるんですよ。 しっかり煮立ててから全体に絡めると、調味料の熱で野菜もちょうど良い食感に仕上がります。

4109 肉にはこんがり焼き色がついて、ピーマンはシャキシャキ。余計な水分が出ないので、調味料が全体に程よく絡んで、いつもの炒め物が、格段にレベルアップしていることが感じられます。
続いては、応用編。炒め物といえばチャーハン。チャーハンも、きほんの❶〜❸を頭に入れて作ることで、ぱらっとふんわりおいしいチャーハンを作ることができます。

『ひき肉と青ねぎの焼き飯』

<材料(2人分)>
白ご飯(温かくても冷えていてもいい):300g
卵:1個
豚ひき肉:120g
しいたけ:4枚
小ねぎ:30g
ごま油:大さじ1
粗びき黒こしょう:小さじ1/2~1(量はお好みで)
Aしょうゆ:大さじ1/2
 砂糖:小さじ1
Bしょうゆ:大さじ1
 砂糖:小さじ1

<作り方>
①しいたけは薄切りに、小ねぎは1㎝幅に切ります。
②ひき肉は、Aを加えて箸などでさっと絡めます。卵は割りほぐします。
③フライパンにごま油を入れて1〜2分中火で熱します。溶き卵を回し入れ、10秒置いて大きく10回混ぜます。
④ひき肉、しいたけ、ご飯を順に重ねて広げます。
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【きほん❶】 ひき肉→しいたけ→ご飯の順に重ねて広げます。ひき肉は脂が出やすいので、初心者の方は作りやすくておすすめの食材です。

⑤そのまま2〜3分焼きます。肉の焼き色がついたらほぐすようにして上下を返し1〜2分炒めます。 4116

【きほん❷】 2〜3分触らずに焼きます。じっくり焼くことで、ご飯に肉やしいたけのうま味が移ります。味にパンチが欲しい方は、にんにくをプラスするのもおすすめ。ひき肉の上ににんにくのみじん切りやすりおろしを加えればOK◎

⑥中央をあけ、Bを加えて煮立てます。小ねぎ、粗びき黒こしょうを加え、ご飯全体に行き渡るように炒めたら出来上がりです。 4117

【きほん❸】 調味料は、フライパンの中央で熱を加えて水分を飛ばします。しょうゆと砂糖だけでも、甘みや香りに変化が出て深い味わいに仕上がるんですよ。煮立ててから全体を炒め合わせることで、ご飯がべちゃっとなるのも防いでくれます。

4111 具材もご飯も最初から一緒に焼いてうま味を全体に行き渡らせることで、味のムラなく一体感のある焼き飯が出来上がります。小ねぎの代わりににらを入れたり、キムチを入れてアレンジするのもおすすめです。

最後はシンプルなチキンライス。

チキンライスがおいしく作れると、次は卵をのせるだけでおいしいオムライスに発展させることもできます。レシピを参考に、ぜひチャレンジしてみてください!

チキンライス

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小田真規子さんの「炒め物の3つのきほん」を覚えておけば、どんな食材にアレンジしても、いつもの炒め物が格段においしくなります。
「なんだかいつも炒め物がおいしくできない」という方は、まずは、レシピ通りに作ってみてください。これまでとは違う手順ですが、きっとおいしく作れるはず。ぜひお試しください!

小田真規子さんに教わるシリーズは、今月から全3回シリーズでお届けしていきます。
次回は『失敗しないサラダのきほん』。普段何気なく作っているサラダが、レストランのような格別な味わいに仕上がる「3つのきほん」を紹介します。

次回もお楽しみに!

プロフィール
小田真規子さん
料理研究家。栄養士。女子栄養大学短期大学部卒業。香川調理製菓専門学校で製菓を学ぶ。1998年に独立し、スタジオナッツを設立。現在は雑誌、書籍、テレビなどで活躍。誰もが作りやすく、健康に配慮した料理がモットー。近著に『午前7時の朝ごはん研究所』(ポプラ社)がある。


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カメラマン:広瀬貴子
スタイリスト:しのざきたかこ
編集・監修:おいしい健康管理栄養士