40代からの「肥満」は、心筋梗塞やがんなどの病気につながります
公開日: 2022年10月17日
【連載】あなたの人生の主治医はあなた 第3回(文・岡田 定 医師)
あなたはもう40代。そんなあなたは、「痩せにくくなったな」「ついつい食べ過ぎて、太ってしまう」ということはありませんか。
もしあなたの身長が163cm(1.63m)で体重80kgなら、体格指数であるBMI(体重÷身長÷身長)は、約30になります。
BMIは、18.5~25未満が「普通体重」で、22前後が「適正体重」、25~30未満なら「肥満(1度)」、30~35未満なら「肥満(2度)」です。
BMI 30の方は、明らかな肥満(2度)ということになります。
(筋肉がしっかりある方の場合、BMIが25を少し超えていても、さほど問題になりません。逆にいえば、BMIが25未満であっても、筋肉量が少なくて脂肪量が多いのは問題です。いわゆる隠れ肥満にあたります)
肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症だけでなく、心筋梗塞などの病気にもつながります
もしBMI30の肥満がこれからも続いたら、今後どのような未来が待ち受けているかご存じでしょうか。
「それほど問題ではないでしょう」「少し重いくらいかもしれないけれど、いつでも痩せられる」「不調は感じないから、明るい人生を送れるだろう」と思われますか。
実は、肥満をずっと放置すると、さまざまな病気になるリスクが高くなります。
肥満によって動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞につながります
肥満の状態が続いてしまうと、進行しやすくなるのが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
これらの病気になると、仕事が続けられなくなるかもしれません。経済的に苦しくなり、家族に負担がかかる可能性もあります。
肥満
⇒高血圧、糖尿病、脂質異常症
⇒動脈硬化の進行
⇒心筋梗塞、脳梗塞
⇒命の危険、半身不随、通院治療
⇒仕事が続けられない、経済的な負担増、家族の負担増
10年後、20年後には、腰痛症や膝関節症が待ち受けている可能性も
肥満によって、10年後、20年後には腰痛症や膝関節症に悩まされることも考えられます。
これらの病気は、命に関わることはありません。しかし、歩くのがつらくなり、日常生活が制限されることが予想されます。
肥満
⇒腰痛症、膝関節症
⇒歩行困難
⇒通院治療、仕事に支障、日常生活に制限
突然死につながる睡眠時無呼吸症候群になることも
肥満があると、かかりやすくなるのが睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中のいびきや無呼吸によって、体や脳の疲れが解消できなくなり、昼間に急に強い眠気に襲われることがあります。
また、突然死を起こす可能性のある病気なので、肥満を予防することはとても重要です。
肥満
⇒睡眠時無呼吸症候群
⇒睡眠中のいびき・無呼吸、昼間に強い眠気、突然死
⇒仕事に支障、突然の不幸
肥満は、がんになりやすくなるといわれています
肥満が続くと、がんにもなりやすいことをご存じでしょうか。特に大腸がん、肝臓がん、胆のうがん、膵臓がんは、肥満との関係が深いといわれています。
がんは、早期に発見できればいいのですが、気づかずに進行してしまうと、治療に多くの時間をかける必要がでてきます。
仕事にも、経済的にも、家族にも大きな負担になります。
肥満
⇒がん(特に大腸がん、肝臓がん、胆のうがん、膵臓がん)
⇒通院治療、仕事に支障、経済的な負担増、家族への負担増
「食べすぎ」をやめることから始める肥満予防
30代と違い、40代からは病気になりやすくなります。さまざまな病気につながる肥満を防ぐことは、将来の健康を守るためにとても大切です。
肥満を回避するにはどうしたらいいのでしょうか。肥満を回避するための方法は簡単で、「食べすぎ」をやめればいいのです。あなたは、“あなたが食べた物で”できていますから。
体重を減らすポイントは、糖質制限(特に甘い飲み物、お菓子、果物)
「そう言われても、そんなに食べているつもりはないし、今より食べるのを減らすのは難しい」と思われますか。
体重を減らすための食事療法には、ポイントがあります。それは、糖質(炭水化物)を減らすこと。
減らすべきものは、ジュースや清涼飲料水などの甘い飲み物、甘いお菓子、果物などです。心当たりがあれば、これらをまず減らしましょう。
また、「肥満は周囲にうつる(※)」といわれています。肥満対策は、家族みんな一緒に行いましょう。
腹囲(お腹周り)が5cm減れば、内臓脂肪が5kg減ったことになります。米袋(5kg)1個分の脂肪です。体重が5kg減ると、ベルトの長さが穴2つ分(5cm)短くなります。
糖質を制限してスリムになれば、あなたのこれからの人生は大きく変わる可能性を秘めています。
まず、これからの健康を維持しやすくなるでしょう。仕事もはかどり、昇進につながるかもしれません。将来起こりうる家族の負担もなくなり、もっと円満になるはずです。
※:詳しくは、「20代・30代からは、「甘い飲み物」に気をつけましょう」へ
【岡田定医師連載「あなたの人生の主治医はあなた」】
第1回 人の一生と生活習慣病
第2回 20代・30代からは、「甘い飲み物」に気をつけましょう
そのほか、岡田定先生記事はこちら
岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。
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