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「むくみ」をスッキリさせる毎日の習慣

座りっぱなしという日や、逆に一日中立ち仕事だった場合に、夕方ごろ足が重だるく感じたり、靴がきつく感じることはありませんか。すねの前面を指で押してみて、白くへこみが残り、なかなかもとに戻らないようなら「むくみ」が生じているサイン。また、朝起きたときに目元に腫れぼったさを感じるようなら、むくみが起きているかもしれません。

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体内の水分が〈むくみ解消〉のカギ

人間の体は55〜60%が体液でつくられ、その大部分は水分です。通常、体液を構成する成分はバランスが保たれていますが、その配分が崩れたり、体液の循環が滞ったりすることで、細胞と細胞の間に水分が過剰にたまってしまい「むくみ(浮腫)」が生じます。

座りっぱなしなど同じ姿勢を続けることや運動不足、逆に、立ち仕事で足の筋肉が過剰に使われると、体液の流れが停滞する原因に。重力の影響で水分が下半身にたまりやすいため、体のなかでも足がむくみやすくなります。

また、水分補給がうまく行えていなかったり、味つけの濃い食事を好んだりするなどして、細胞外にあるナトリウム(塩分)と細胞内にあるカリウムのバランスが崩れるとむくみが出やすくなります。ナトリウムとカリウムは血圧や体内の水分を調節する働きをしますが、ナトリウムが多くなると体に水分をため込みやすくなってしまいます

※腎臓や心臓、甲状腺の病気や、女性の場合は月経前症候群が原因となってむくみが起きている場合もあります。不快な症状が続く場合には早めに医療機関へご相談ください。

毎日の生活習慣でむくみにくい体に

例えばリモートワークで一人、仕事に没頭してしまうと、つい休憩をとるのを忘れてしまいがち。1時間に1回は立ち上がってストレッチをしたり歩いたりして、脚の筋肉を使うことを意識し、同じ姿勢が続かないよう注意しましょう

夜にはリラックスしてゆっくりお風呂につかり、心臓から一番遠いつま先から始めて、足首、ふくらはぎ、太もも、足の付け根へと、足全体をやさしくマッサージ。全身が温まるうえ水圧の作用も加わり、効果的に体をほぐすことができて血流がよくなります。

睡眠時に横になることで、むくみが顔に生じることも。目のむくみ解消には、目の周りの筋肉をマッサージするのがおすすめです。目を閉じて目の周りをぐるっと一周、気持ち良さを感じるくらいの強さで、眼球を圧迫しないよう注意しながら中指で押すと血行がよくなります。ほかの人に会うことがある日もそうでない日も、顔の筋肉が凝り固まって血流が停滞しないように、笑顔で過ごすのも良いですね。

むくみに負けない体をつくる食事

外食や買ってきた惣菜やお弁当で済ませることが多いというかたは、塩分摂取量が多くなる傾向にあります。体液の塩分(ナトリウム)の濃度が高くなると体は水分を抱え込もうとし、むくみやすくなります。調理されたものを買う場合はパッケージの食品成分表を確認するよう心がけ、塩分のとり過ぎには注意をしましょう。

では、どれくらいの塩分ならよいかというと、〈1日の食塩摂取量は成人女性で6.5g未満、成人男性で7.5g未満〉が目標量とされています(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。しかし、実際には平均で女性9.3g、男性11gと、塩分をとり過ぎている人が多いのが現状です(厚生労働省 平成30年「国民健康・栄養調査」)。

自宅で料理をする場合も、調味料を使うのは調理のときだけにとどめ、食卓では料理にしょうゆや塩、ドレッシングなどをかけることはできるだけ避けましょう。

体内の余分なナトリウムを排出してくれる役割をするのが、カリウムです。カリウムはほとんどの食品に含まれおり、特に果物や野菜、いも類などに豊富。水溶性なので、水にさらす時間を長くしすぎず生や蒸して食べたり、煮たりゆでたりする場合ならば汁ごといただくと、カリウムを効率よく摂取することができます(いも類など、ゆでてもカリウムが失われにくい食材もあります)。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、〈適正なカリウム摂取の目安量〉として18歳以上女性2,000mg、18歳以上男性2,500mg、また、〈高血圧の一次予防のための目標量〉としては、18歳以上女性2,600mg、18歳以上男性3,000mgと設定されています。

普通の食事では不足することはありませんが、特に夏は、たくさん汗をかくことで、カリウムが流れ出てしまうことも。また、麺類単品で済ませてしまうことが多くなりがちな季節でもあります。

野菜や果物などを上手に取り入れて、むくみ知らずで過ごしましょう

※カリウムの摂取について、腎機能の低下による疾患をお持ちのかたは、医師の指導に従ってください。

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むくみに負けない 夏のおすすめレシピ

緑黄色野菜とバナナのジュース
カリウム1302mg(1人分)ほうれん草はカリウムの含有量が多く、ゆでてもしっかりととることができます。バナナの甘みを加えることでくせがやわらぎ、飲みやすいドリンクに。
ひよこ豆とじゃがいものカレー
カリウム931mg(1人分)豆やいももカリウムが豊富。特にひよこ豆は食物繊維やビタミンB群、良質なたんぱく質もとれます。トマトのやさしい酸味を合わせて、夏にぴったりのカレーに。
野菜しっかり 常夜鍋
カリウム1364mg(1人分)冬だけでなく、調理する時間を短くしたい暑い時期にも、鍋はおすすめ。ほうれん草と豚肉を、オリーブ油を加えたぽん酢しょうゆでさっぱりといただきます。
編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士