おいしくヘルシー、実は手軽!魚をもっと食べてみよう
公開日: 2018年10月22日
ぐるりと海に囲まれた日本は、北から南まで1年を通してさまざまな種類の魚や貝類がとれる世界有数の国。1人当たりの魚介類供給量は人口100万人以上の国のなかで世界一(2007年 水産庁調べ)で、流通も発達し、新鮮なままいつでもどこでもおいしい魚を食べることができます。
魚の摂取量が減少中
こんなにも恵まれた環境にありますが、日本では魚離れが加速しています。 国民1人1日あたりの魚介類の年間摂取量は減少傾向にあり、平成13年には1日あたり平均94.0gの魚介類を摂取していましたが、平成20年には78.5gに、平成28年にはなんと65.6gにまで平均値が減少しています。「調理が面倒」「お肉のほうが好き」「値段がはる」など理由はさまざまですが、肉類の摂取量の平均値は増加傾向にあり、今や魚介類を大きく上回っています。
日本にいれば、豊富な魚介類を、お刺身や焼き、フライなどいろいろな味で楽しめるのに、魚を食べる機会が少なくなっているのはとても残念なこと。栄養素を補えないことも心配です。
今回は、旬のサバやさんまなどの「青魚」に注目。栄養素やおいしさから青魚をもっと身近に感じ、魚を食べる機会を増やしていきましょう。
青魚にはDHAとEPAが多く含まれています
魚には、たんぱく質やビタミン、カルシウムなど、さまざまな栄養素が含まれます。
育ち盛りの子どもから働く世代、シニアまで、魚は健康な体をつくるために欠かせない食材で、生活習慣病の予防に役立つ栄養素も含まれています。
サバやさんま、いわしなどの青魚に多く含まれているのは、DHAとEPA。「からだによい油」とも言われる不飽和脂肪酸の一種で、血液中に流れるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪などに深く関係がある注目の成分です。
LDLコレステロールとは、血液中に存在する脂質のひとつ。不規則な食生活や栄養バランスの崩れなどで血液中に増加し、血管の壁にたまると、動脈硬化や心臓の疾患など、命にかかわる病気を引き起こします。また、みなさんもよくご存知の中性脂肪は、蓄積しすぎると肥満や生活習慣病につながります。
不規則になりがちな働く世代や中高年にとっては、過剰なLDLコレステロールと中性脂肪はとても厄介な存在。DHAとEPAにはこのLDLコレステロールと中性脂肪を低下させる機能が確認されています。
また、DHAは「頭がよくなる」というイメージ通り、脳や神経組織の形成にも関わり、EPAは血液や血管の健康維持にも働きます。子どもにも必要な成分であることがわかりますね。
魚を毎日たのしくおいしく食べるには?
青魚に多く含まれる、DHAとEPA。 健康を維持するためにとても重要な成分ですが、からだに貯めておくことができないため、日々の食事からとることが大切です。
まずは、青魚を使ったメニューを食卓に並べられたら万々歳。
魚料理ができないときは、外食で魚を食べる、お惣菜は魚を選ぶなど、ちょっとした心がけで、魚を食べる機会はぐっと増えます。
さらにもっと手軽に魚を食べたいときは、「サバ缶」が便利です。 缶から器にうつすだけで食卓の立派な一品となるのがサバ缶の魅力。味付けされているのですぐに食べられるのも人気の理由です。
サバ缶をそのまま使うサバサンド
サバ缶をそのまま食べることに飽きたり、物足りなさを感じたりしたら、大根おろしや生玉ねぎなどを合わせてアレンジをしてみましょう。大根も玉ねぎも魚との相性がよく、味わいが豊かになるので食事がさらに楽しくなります。大根に含まれる酵素には消化を促進する働きがあり、合わせて食べることで健康なからだ作りの後押しにもなるのです。
サバ缶にはたっぷりの汁が入っていますが、栄養素が溶け出してうま味もあるので捨てずに活用を。サバといっしょに味わうもよし、煮物や味噌汁などほかの料理に加えてみるのもいいですね。
ただし気をつけたいのは、塩分やカロリー。 「魚だから」「DHAとEPAが豊富だから」とやみくもに食べると、塩分やカロリーを摂りすぎてしまうことも。健康ブームのなかでサバ缶への注目は依然続いていますが、DHAやEPAだけに目を向けるのではなく、あわせて摂取する塩分やカロリーの「量」にも意識をむけることが大切です。
魚を調理したり食べたり、ときには手軽なサバ缶を取り入れたり、健康を目指して魚を食べることはとても素晴らしいことです。同時に、塩分やほかの栄養素、量、バランスなども意識できるようにしていきましょう。
魚の調理が苦手な人もちゃんと作れる青魚レシピ
最後に、おいしい健康編集部が厳選した、誰でも作れる簡単な魚料理を紹介します。 魚の調理に苦手意識を抱いている方こそぜひ試していただきたい、難しい部分がひとつもないレシピです。
切り身で作れるサバのみそ煮
今が旬!定番のさんまの塩焼き
ぶりと白ねぎのピリ辛レンジ蒸し
日本では魚を食べる量が減っていますが、魚を食べることは思っていたほど大変ではなく、むしろさまざまな味を食べられてワクワクします。 魚のおいしさと豊富な栄養素に目を向けて、もっと気軽に魚を楽しみましょう。
■参考資料「国民・健康栄養調査」
写真・文/鈴木有子