減塩だけじゃない。高血圧が気になる方の食事ポイント
公開日: 2026年5月14日

5月17日は「世界高血圧デー」です。
毎年この日、世界中で血圧への意識を高める取り組みが行われています。でも、「血圧が高い」と言われてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。
高血圧は、自覚症状がないまま進行することも多い病気です。
「異常なし」に見える毎日の中でも、血管には少しずつ負担がかかっていることがあります。だからこそ、「血圧が少し高め」と言われた段階から、食事を見直していくことが大切です。
今回は、おいしい健康の管理栄養士が、「自覚症状がないからこそ気をつけたい」高血圧と食事の関係を、わかりやすくお伝えします。難しく考えなくて大丈夫。できそうなことから、一つずつ取り入れてみてくださいね。
高血圧とはどんな状態?
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に、血管の内側にかかる圧力のことです。
この圧力が高い状態が続くと、血管の壁は少しずつダメージを受けていきます。その結果、動脈硬化(血管が固くなること)が進み、心筋梗塞・脳卒中・腎臓病などの病気につながるリスクが高まります。
日本高血圧学会の診断基準では、診察室での血圧が収縮期血圧(上)140mmHg以上、または拡張期血圧(下)90mmHg以上の状態を「高血圧」と定義されています。
| 高血圧の診断基準(診察室血圧) |
|---|
| ・高血圧:収縮期血圧140mmHg以上 または 拡張期血圧90mmHg以上 |
| ・高値血圧:収縮期血圧130〜139mmHg または 拡張期血圧80〜89mmHg |
| ・正常高値血圧:収縮期血圧120〜129mmHg かつ 拡張期血圧80mmHg未満 |
| ・正常血圧:収縮期血圧120mmHg未満 かつ 拡張期血圧80mmHg未満 |
| 出典:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」 |
自覚症状が出にくい理由は、血管がじわじわとダメージを受けるからです。急に痛みが出るような変化ではなく、長い時間をかけて少しずつ変化していくため、気づきにくいのです。
だからこそ、健診で「血圧が高め」と言われたとき、あるいは「正常高値」と言われたときが、食事を見直す大切なタイミングです。
食事で血圧に影響を与えるしくみ
「食事で血圧が変わるの?」と思う方もいるかもしれません。でも、食事と血圧はしっかりとつながっています。
特に深く関係しているのが、塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。
塩分を多く摂ると、体は血液中の塩分濃度を一定に保つために水分をため込もうとします。その結果、血液の量が増えることで、血管にかかる負担が大きくなり、血圧が上がります。
一方で、野菜・果物・豆類に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウムを体の外へ出すのを助けてくれます。食事全体のバランスを整えることで、血圧に関わる体の働きをサポートできます。
高血圧の食事で意識したい5つのポイント
ポイント① 減塩――まずここから始めましょう
高血圧の食事では、まず減塩を意識することが大切です。日本人の食塩摂取量は目標量を上回っていることが多く、少し意識を変えるだけで変化が出やすいポイントでもあります。
急に薄味にしようとすると、食事の楽しさが失われてしまいますよね。最初から完璧にしようとしなくて大丈夫です。まずは小さな工夫から始めてみましょう。
| 今日からできる減塩の工夫 |
|---|
| ・みそ汁を1日1杯にする(具材を多めにして満足感を出す) |
| ・しょうゆはかけるのではなく、「つける」に変える |
| ・だしのうま味をきかせると、塩分が少なくてもおいしく感じられる |
| ・酢・レモン・香辛料で味にメリハリをつける |
| ・加工食品・インスタント食品の頻度を減らす |
| 1日の食塩摂取量の目標 |
|---|
| ・高血圧の方:6g未満(日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン2025) |
| ・一般成人:男性7.5g未満、女性6.5g未満(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2025年版) |
ポイント② 野菜・果物を取り入れる
野菜や果物、豆類、いも類には、カリウムが含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウムを尿と一緒に排出するのを助ける栄養素です。
「野菜をたくさん食べましょう」と言われても、いきなり増やすのは難しいですよね。まずはみそ汁に野菜をひと種類加える、副菜を一品足す、など少しずつ増やすところから始めてみましょう。
| カリウムを多く含む食材 |
|---|
| 野菜:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、トマト、かぼちゃ |
| 果物:バナナ、キウイ、アボカド |
| その他:納豆、豆腐、さつまいも、さば、まぐろ |
| ※腎臓の機能が低下している場合は、カリウムの摂取制限が必要なことがあります。主治医や管理栄養士にご相談ください。 |
ポイント③ 青魚を週に2〜3回食べる
さば・いわし・さんま・あじなどの青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、血管の健康維持に役立つ働きが期待されています。
「毎日は難しい」と思われるかもしれませんが、週に2〜3回を目安に取り入れてみましょう。缶詰(さば缶・いわし缶)を活用すると、手軽に青魚を食卓に取り入れられますよ。
ポイント④ 食物繊維を増やす
食物繊維をしっかりとる食事は、血圧管理にも役立つとされています。野菜・海藻・きのこ・豆類・全粒穀物などに多く含まれています。
白米に雑穀や押し麦を少し混ぜるだけでも、食物繊維の量はぐんと増えます。急に全部変えなくていいので、「少し足す」感覚で始めてみてください。
ポイント⑤ アルコールは「ほどほど」に
飲酒は血圧を上げる要因の一つです。特に毎日飲む習慣がある方は、まず「週に2日は休肝日をつくる」ことから意識してみましょう。
お酒を完全にやめなくても、量を減らすだけで変化が出ることがあります。少しずつ、無理のない範囲で取り組んでみてくださいね。
「DASH食」って何? 高血圧に効果的と言われる食事パターン
高血圧の食事として、世界的に研究されているのが「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」です。
難しい名前ですが、内容はシンプルです。野菜・果物・低脂肪乳製品・全粒穀物・豆類・魚などをバランスよく食べ、塩分・飽和脂肪酸・肉の脂身・甘い飲み物を控えるというものです。
特別な食材が必要なわけではありません。「野菜・豆類・魚を増やし、塩分・脂っこいものを減らす」という日常の食卓に近い考え方です。
DASH食では低脂肪乳製品も取り入れられていますが、日本の食事では、まず野菜・豆類・魚を増やすことからでも十分役立ちます。
| DASH食のポイント まとめ |
|---|
| 積極的に食べたいもの:野菜、果物、全粒穀物(雑穀・玄米など)、豆類、低脂肪乳製品、青魚、ナッツ類 |
| 控えたいもの:食塩、肉の脂身(飽和脂肪酸)、砂糖・甘い飲み物 |
管理栄養士が選んだ、高血圧が気になる方へのおすすめレシピ3品
減塩を意識しながらも、おいしく食べられるレシピをご紹介します。
こんがり焼いたなすに、酢としょうがの風味がしみ込んださっぱりおかずです。鶏むね肉でたんぱく質を補いながら、なすでカリウムもとれます。食欲がない日にも食べやすい一品です。
さば缶のうま味とトマトの酸味がよく合う、レンジで手軽に作れる一品です。さばでEPA・DHA、トマトでカリウムを補えます。うま味を活かすことで、めんつゆだけでも満足感のある味わいに仕上がります。
ツナのうま味を活かして手軽に作れる、さっぱり食べやすいタコライスです。トマトやアボカドからカリウムを補えるのもポイント。カレーのスパイスの風味で、塩分を控えめにしても満足感のある味わいです。
おいしい健康アプリの活用法
毎日の食事で減塩や食事バランスを続けていくのは、なかなか大変ですよね。そんなときに役立つのが、おいしい健康アプリです。
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「塩分控えめ」「ほぼ塩0」などのキーワードで検索すると、自分の状況に合ったレシピを見つけることができます。 -
食事記録で、1日の食塩摂取量が確認できます
食べたものを記録することで、1日の食塩摂取量の目安を確認できます。記録を続けることで、「どこで塩分をとりすぎているか」が見えてきます。
まとめ:自覚症状がないからこそ、今日の食卓から
高血圧は、自覚症状がないまま血管への負担が進んでいくことがあります。だからこそ、「何も感じない今」が食事を見直す大切なタイミングです。
すべてを一度に変えようとしなくて大丈夫です。「今日の汁物に野菜を少し足してみる」「しょうゆをつける派に変えてみる」、そんな小さな一歩が積み重なって、血管への負担を和らげることにつながります。できそうなことから、気軽に取り入れてみてくださいね。
参考
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- Appel LJ, et al. A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure. N Engl J Med. 1997;336(16):1117-1124.
- Sacks FM, et al. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the DASH diet. N Engl J Med. 2001;344(1):3-10.
- 世界高血圧連盟(World Hypertension League)「World Hypertension Day」公式情報
- 国立循環器病研究センター「高血圧」
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。疾患の診断・治療については、必ず医師や管理栄養士にご相談ください。




