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タッパ飯に1品ダイエット…偏った部活めしに管理栄養士が警笛

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月刊おいしい健康3月号で掲載中の川端理香先生監修のレシピ。栄養素をバランスよくとりましょう。

成長期は多くの栄養を必要とする時期。特に、運動部に所属している中高校生の場合、一般の生徒に比べて、エネルギーに限らず多くの栄養素をとることも大事です。また、選手だけではなく、コーチや親も含めて、正しい食に関する知識を身につけて実践することも大切。試合に勝とうとするあまり、誤った食の選択や栄養の過剰摂取、欠食などを行うことで、食生活が乱れ、肥満や摂食障害、無月経などといった健康への悪影響を及ぼすことも。

今回はスポーツ栄養のプロである川端理香先生にジュニア選手の食事と栄養のとり方についてお伺いしました。

プロフィール:
川端理香 先生
管理栄養士。元日本オリンピック委員会強化スタッフ。昭和女子大学非常勤講師。日本代表やJリーグプロサッカーチーム、Vリーグバレーボール、Bリーグバスケットボール、プロ野球、プロゴルフなど、多くのプロや代表などのトップアスリートをサポート。主な著書には「筋肉の栄養学」(朝日新書)、「今すぐ使える ジュニアアスリートの栄養食事学」(ソーテック社)「10代スポーツ選手の栄養と食事」(大泉書店)など多数。一般を対象にした講演などの食育活動や執筆、レシピ開発、企業の栄養アドバイザーも務める。

➖➖成人とジュニアのアスリートでは、エネルギーや栄養素のとり方にどのような違いがありますか。

川端先生:一言に「アスリート」といっても、個々の練習量によって必要なエネルギー量や栄養素は変わってきます。ここで注意したいのは、プロのアスリートと違って、ジュニアの場合は絶対的な練習量が決まっているわけではないので、絶対的な数値を出すことはできません。あと、忘れてならないのは、ジュニアアスリートは「成長しなければならない」という点です。部活動をやっている3年間だけが、彼ら彼女たちの人生ではないのです。試合に勝つことに熱中するあまり、選手だけではなく、監督や親もその点を軽視してしまうケースが残念ながら少なくないのが実情です。

➖➖「タッパ飯」について警笛を鳴らしていらっしゃいますが、それはなぜでしょう。

川端先生:「タッパ飯」は、野球やラグビーなど、主に体を大きくすることで優位となる男子選手中心の運動部でいま流行しています。タッパ飯とは、1日米3合など1日に大量に米を食べ続ける食事法です。 監督やコーチが高校3年の間に選手に結果を出させたいと考えた場合、筋肉量を増やすには時間がかかるため、比較的、価格の安い米をノルマとして選手に食べさせて、総体重量を増やさせようとしますが、栄養士としては警笛を鳴らさざるをえません。

こうしたことを強いられる選手の中には、当然、食べられない選手も出てきます。中には、監督に叱られることやレギュラーから外されることを恐れて、無理やり3合を食べては隠れて吐くというケースも報告されています。

因果関係を調べているわけではないですが、実際に成長期にそうした炭水化物をとりすぎてしまう習慣がつくと、部活動をやめたあとも、過剰に炭水化物をとり続け、20代前半で糖尿病を発症する選手もいます。

監督やコーチは、高校の3年間で結果を出すことを第一に考えますが、選手の人生を考えたら、そういうことはやるべきではないと私は思います。選手の人生はその先も長いわけですから。

➖➖その他には、どのような食にまつわる誤解がジュニアアスリートの間で広まっていますか。

川端先生:多いのは、「1品だけダイエット」の類ですね。たとえば卵だったら、たんぱく質をとるために白身だけ食べるとか、鶏のムネ肉だけを食べるとか。「1品だけ」というのは特によくないです。当然のことながら、体は一つの栄養素だけで作られているわけではなく、またアスリートのパフォーマンスはすべての栄養素と関わりが深いので、1品だけでは栄養素の偏りがでてしまいます。ですから、「一つの食品だけ過剰にとりなさい」というような指導は、正しい栄養学に基づくものではないのです。

➖➖スポーツドリンクやエナジードリンクについてはどうでしょう?

川端先生:スポーツドリンクやエナジードリンクの適正摂取量も、結局のところ発汗量によって変わってきますが、例えば冬場など、あまり発汗がない時期は必ずしもスポーツドリンクを飲む必要はないという指導はしています。あと、スポーツドリンクやエナジードリンクを飲む際は、虫歯に注意したいものです。スポーツ選手にとって歯の健康はとても大事で、パワーの出し方も虫歯があるかないかや、歯のかみ合わせによってだいぶ変わってきます。プロのアスリートは、定期検診を受けているほどなので。

▼川端理香先生監修の部活めしレシピが満載!月刊おいしい健康3月号はこちらから 2920

【後編】に続く

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士