パンの「隠れ塩分」をご存知ですか?
公開日:
2016年3月18日
最終更新日:
2021年5月10日
知らずにとってしまう「隠れ塩分」
料理をするときの味つけは控えめにしていても、塩やしょうゆなど調味料以外に含まれる塩分については、あまり気にすることがないかもしれません。しかし実は、「しょっぱい」と感じにくい食品にも塩分が含まれていることがあります。
パンに加えて、いっしょに食べることの多いバターや、献立で組み合わせることの多いサラダのドレッシングについても、塩分の観点から考えてみましょう。
パンの献立は塩分量過多になりがち
主なパンに含まれる塩分を、一回の食事にいただく量を目安に見てみましょう。※1
- 食パン1枚(6枚切り・60g)で0.7g
- ロールパン2個(60g)で0.7g
- クロワッサン2個(60g)で0.8g
- フランスパン2切れ(1/4本、60g)で1.0g
パンを作るうえで味はもちろん、生地の発酵状態やキメを整えたり、コシを出したりするために塩が使われることが多く、思いのほかその量も多いことがわかります。
塩分量をみそ汁と比較してみましょう。みそ汁1杯には、およそ1.5g(※2)の食塩が含まれますが、パン1食分でその約半分かそれ以上の食塩を食べることになります。
パンといっしょに食べることが多いバターはどうでしょうか。
お菓子作りでは食塩不使用のものも使われますが、一般的なバターはその味わいのとおり「有塩」で、8g(個包装1個分)に対して0.2g、大さじ1(約12g、200gのバターのおよそ1/16切れ)に対して0.2gの塩分が含まれます。
食パン1枚にバターを個包装1個分塗ると、合わせて0.9gの食塩をとる計算になります。
朝食やランチでは、パンにサラダを添えることも多いですが、ドレッシングをかけるとさらに塩分がプラスされます。※1
- フレンチドレッシング大さじ1(15g)で0.9g
- 和風ドレッシンググ大さじ1(15g)で0.5g
- ノンオイル大さじ1(15g)で1.1g
- サウザンアイランドドレッシング大さじ1(15g)で0.5g
そこにハムやソーセージ、スープ、目玉焼きなどを加えると合計3g程度に。しかし、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日の食塩摂取量は成人女性で6.5g未満、成人男性で7.5g未満が目標量とされています。1日に3回食事をとることを考えると、1回の食事の塩分は2g程度に抑えるのが理想です。
パンの献立で塩分を控えめにするには?
まず、パンを「ライ麦パン」に置き換えるのがおすすめです。gあたりの食塩相当量は食パンやロールパンなどと同じですが(60gで食塩0.7g)、小麦粉で作られるパンに比べてずっしりと重く、かみごたえがあります。
さらに、ライ麦パンは低GI食品のため、食後の血糖値の上昇もゆるやかになる特徴が。また、よく噛むので、早食いを防げるという点でも、血糖値の急上昇を抑制できます。
ライ麦は小麦よりもビタミンB類をはじめ、食物繊維も多めにとることができます。
おかずは、塩分量の多いハムやベーコンを避けるか量を減らし、具だくさんのスープなどを組み合わせてみましょう。
スープも塩分が高くなりがちですが、汁の量を減らし、野菜や豆など具を多くすることで、塩分量を減らすことができます。
野菜を電子レンジで蒸して、ホットサラダにするのも◎。ドレッシングは半分に減らし、レモンやカレー粉などの香辛料をかけると、味わいも香りもぐんとアップします。
塩分のとり過ぎは、高血圧や動脈硬化など、病気を招く原因にもなります。
また、むくみやすくなり、だるさを引き起こすことも。調理に使う調味料だけでなく、パンやバターなど、加工品に含まれる塩分にも気をつけて、毎日の食事をおいしくいただきましょう。
※1 参考:文部科学省,「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 ※2 参考:女子栄養大学出版部,「毎日の食事のカロリーガイド(改訂版)」
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