日々の生活のこと、治療のこと、仕事のこと、将来のこと・・・潰瘍性大腸炎とともに生きる患者さんの体験談を紹介します。


8年前、下痢や便秘などの症状が出た。たまたま受けた人間ドックの大腸内視鏡検査で要再検査となり、胃腸科クリニックで詳しく調べたところ、潰瘍性大腸炎と診断された。軽症だったため、日常生活にほとんど影響はなかったが、主治医の指導で薬の継続とともに食事に気をつけてきた。その結果、減薬に成功し、3年ほど前から寛解を維持している。

35歳のころ、ひどくはなかったのですが、ときどき下痢をしたり便通が悪くなったりしました。たまたま受けた人間ドックで大腸の内視鏡検査を受けたところ、ポリープがあると指摘され、胃腸科クリニックで詳しい検査をし、潰瘍性大腸炎と診断されました。

以前家庭教師をしていたときの教え子がクローン病で、発症後どんどん痩せて、受験のときにとても苦労していた記憶があったので、同じ炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎と聞いて、大変な病気になってしまったと思いました。ただ、先生から軽症だと聞き、あまり深刻にはならずに前向きに治療していこうという気持ちになりました。

その一方、“今は軽症でもこの先悪化するかもしれない”という不安もあり、仕事で知り合った難病患者就職サポーターをしている人に、職場で配慮してもらうべきことや、悪化したら仕事はどうなるかなど、それとなく聞いてみました。この病気の経過や日常生活で困っていること、その対処法なども気になり、患者さんが発信するSNSも見ていました。

通院しているのは診断を受けたクリニックで、主治医もずっと変わっていません。先生に治療の見通しと、薬の説明を受けてから薬を飲み始めましたが、あまり体調の波もなかったのでずっと同じ薬を使ってきました。
とはいえ、一時的に症状が強く出たこともあり、半年から1年ほどステロイドの坐薬を使ったことがあります。先生からもステロイドは炎症を抑え込むためのもので、長く使うものではないと聞いていましたし、私もむくみなどの副作用が気になったので、ステロイドはなるべく使いたくないと伝えていました。お陰様で治療を始めてから症状がひどくなったのはその一度だけだったため、ステロイドの使用は最低限に抑えることができました。

先生は臨床経験が豊富。症状や薬について私を不安にさせるようなことは言いませんが、必要な情報はきちんと伝えてくれる信頼できる先生です。小規模なクリニックなので比較的空いていて、診察には十分な時間をかけてくれます。

先生は治療の話のほか、睡眠が大切であることや、腸内環境を整えて便秘を予防すること、栄養のバランスよく、油っぽいものや刺激が強いものは避け、消化のよいものを食べることなど日常生活で心がけたいことも教えてくれました。

こちらからあまり質問をしたことはないのですが、今後悪化することはないか、仕事ができなくなってしまうことはないかなど、将来の不安については話したことがあります。そのとき先生に「症状から見てもあまり心配はないけれど、少しでも不安になったらすぐに来なさい」と言ってもらえて心底安心しました。

通院があるので職場には病気のことを話してあります。症状が悪化して休んだり、トイレの回数が頻繁になったり、トイレにこもることもないので、仕事に支障が出ることはありません。
カウンセラー(心理士)の仕事をしていて、ストレスがかかることもありますが、うまく対処しながらやっているので、体調に影響するようなことはあまりありません。
同僚や友達との食事会や飲み会にはなるべく参加し、自分の体調に合わせて食べられるものを選んで食べています。友達同士の食事会なら、お店やみんなで食べるメニューは私に決めさせてもらいます。友達には健康志向の人が多いので、鍋料理など私が選んだものを喜んで食べてくれます。病気になってから人づきあいはセーブしているものの、工夫しながら乗り切っています。
体調をくずさないよう、日常生活ではおなかを温めるセルフケアと、なるべく歩くこと、そして食事に気をつけることを習慣にしています。もともとジャンクフードなどは食べませんが、先生のアドバイスもあって、病気になる前よりさらに栄養バランスに気をつかうようになり、消化のよいものを意識してとるようになりました。

職場で注文するお弁当の中には揚げ物など食べられないものもあるので、自分でお弁当を持っていきます。同じものばかりにならないように、冷凍宅配弁当のサイトやYouTubeなどのアイデアを参考にして週に2、3種類ずつ作ってストックしています。どれも栄養がありますし、コスパもいいので続けています。

今はカウンセラーの仕事をしていますが、ソーシャルワーカーや栄養士の資格も持っており、これらを生かした仕事もしてきました。どの仕事も保育園や小・中学校などいろいろな場所に行く機会がありました。栄養士の実習期間中には様々な疾患をお持ちの方のための食事づくりをしたことがあります。
それらの場所で提供される給食や入院食などの食事がとても参考になりました。和食中心の栄養バランスのよい献立で、いろいろな食材を消化しやすく、おいしく調理しています。今まで見てきたこれらの食事と栄養士としての知識をベースにした食事が今の私の基本です。

体調がよくなるとともに使う薬の量を減らし、3年前から寛解を維持しています。現在は1日1回薬を服用し、通院は3カ月に1回。大腸の内視鏡検査は1年に1回受けています。たまに腹痛や胃痛、疲れ、だるさなどがあります。だるさは整体に行くと治ってしまうこともあり、先生に伝えてはいますが、潰瘍性大腸炎の影響なのかはよくわかっていません。
これからもきちんと治療を続けながら、食事や睡眠、適度な運動を心がけて病気とつき合っていきたいと思っています。

もちろん、投薬を継続することは大切ですが、病気に負けない健康的な体をつくるために食事に気をつかうこともおすすめしたいです。
私の場合は、仕事を通じて知った給食や入院食などを参考にして食事をつくっています。給食や入院食のレシピは書籍やインターネットで紹介されていることもあるので、参考にするのも方法です。これらのメニューをいつもの食事に加えれば、レパートリーも増えて飽きずに食事を楽しむことができると思います。