潰瘍性大腸炎をお持ちの患者さん3名にお集まりいただき、座談会を開催!!
第2回は「わたしのほんね」に寄せられた「治療における医師とのコミュニケーション」に
関する声を中心に、共感できる点やみなさんの経験談を伺いました。
参加メンバー

むらさきさん
(治療歴5年/58歳・会社員)
以前の病院では治療がうまく進まず、不信感から大学病院へ転院。現在は、医師と相談しながら納得のいく治療を継続している。

ともさん
(治療歴5年/38歳・会社員)
今は寛解状態。転院後は治療の選択肢を詳しく説明してもらえるようになり、自らも勉強して知識を増やしている。

ワッターさん
(治療歴10年/52歳・自営業)
大腸全摘を経験し、現在は潰瘍性大腸炎の症状なく過ごしている。情報が多い中で振り回されないようにしながら、自分がどう向き合っていくか考えるようにしてきた。

医師とのコミュニケーションで
得られた良かったこと
医師とのコミュニケーションで得られた安心感や前向きな変化についての
投稿を集めました。
みなさんが共感できるお声はありますか?

私も治療薬を変更する際、医師が「この治療にすると服薬や点滴の回数はこうなる」「他の薬との組み合わせはこう影響する」など、選択肢とともに細かく説明してくれました。そのおかげで、治療の流れがよくわかり、「この先どうなるのか」という漠然とした不安が軽減されました。また、薬の認可の歴史や、どの薬がどの時期に登場したのかなども教えてもらえたので、 次の治療の選択肢があることを実感し、前向きな気持ちになれました。

新しい治療を試すときは不安がありますが、医師が「効くかどうかは人それぞれだから、やってみないとわからないけれど、選択肢として考えられる」と薬の一覧を見せながら説明してくれたことで、安心して決断できました。「これがダメだったら次はこれ」と明確な治療方針を示してくれる医師との相談は、気持ちを軽くするのにとても大事だと感じています。

私は基本的に医師にお任せするスタンスでしたが、あるとき手術をするか検討する際に、インターネットで調べてもいろいろな意見があり、どれが正しいのかわからないまま不安を抱えていました。主治医が「身内がこの状況だったら私はこうする」とはっきり伝えてくれたことで、決断することができました。選択肢を提示されるだけではなく、医師の考えを明確に示してくれることが、患者にとっては大きな支えになります。結果的にその選択が良かったと感じていますし、自分の中でも前向きに捉えることができています。

医師とのコミュニケーションで
うまくいかなかったこと
医師との相性や、相談のしづらさなど医師とのコミュニケーションで困った
という投稿をご紹介します。みなさんも同じような経験がありますか?

私も最初のクリニックの医師は専門医でないこともあり、なかなか診断がつかずに時間がかかりました。薬を試しても効果が出ず、「これ以上はうちでは無理」と急に言われたときはショックでした。それならもっと早く言ってくれれば良かったのにと思いましたし、医師の知識や治療経験が患者に与える影響は大きいと感じました。 転院せずに済むのが理想ですが、患者自身が納得できない場合は、転院を検討するのも一つの手だと思います。

私も以前、通っていた病院では、医師の薬の理解が浅く、薬剤の副作用を疑わず、治療がうまく進みませんでした。これに不信感を抱き、セカンドオピニオンとして大学病院を受診したところ、医師が詳しく治療方針を説明してくれたため、転院を決めました。現在も大学病院で治療を続けていますが、治療の選択肢をしっかり提示してくれるため、納得しながら治療を受けられています。

私も、診察のときに何を聞けばいいのかわからず、戸惑うことがありました。特に、薬の飲み合わせや副作用については気になるものの、何から聞けばいいのか迷うことが多かったです。 ただ自分で調べてもわからないことも多いので、治療方針については、細かく聞くようにしました。疑問に思うことは何でも聞いてみることをお勧めします。

コミュニケーションを
改善するための
工夫や
アドバイス
医師とのコミュニケーションを改善するための工夫についての投稿を集めました。
みなさんはどのようなことを心がけていますか?

私も厚生労働省に掲載されている資料や、研究論文などを読むことがあります。治療に関する知識が増え、医師との会話の内容が深まったと感じています。
病気の勉強は患者にとっても大事だと思います。
患者さんの口コミはあまりみないですが、潰瘍性大腸炎を患う著者が描く漫画は共感できるので、読んでいました。

私も理解を深めるために、潰瘍性大腸炎に関する論文を読むことがあります。
また、地域の患者会に2、3ヶ月に1回くらいのペースで参加しています。患者さんやご家族が集まって、治療の話や食べ物についての意見交換をしています。

インターネットにはネガティブな情報も多く、読んでいるうちに不安になることもあります。情報を集めることも大切ですが、振り回されずに、自分に合った情報を取り入れることも必要だと思います。

私も、些細なことでも医師に伝えるようにしています。便の色やどんな感じだったか、おならがでたとか、体調のちょっとした変化などをメモするようにしています。 関係ないかもしれないと思っても伝えることで、医師が診断のヒントを得られることもあるのではないかと考えています。小さな疑問や気になることでも、積極的に話してみることが大事だと感じています。

番外編
最後に、治療を進める中での気持ちの変化についても伺いました。

最初のクリニックでは薬の処方ミスがあり、適切な治療を受けられない不安から転院を決意。大学病院では治験やさまざまな治療を試みるも、なかなか効果が得られず、不安が募る日々が続きました。このときは体重が15キロ落ちるほど精神的にも辛い時期でした。しかし、新しい治療薬が効き、今は以前よりも安定した状態に。寛解には至っていないものの、ここまで改善できたことに安心感を持ち、前向きに過ごしています。

最初のクリニックでは適切な診断がされず、薬も効かないまま時間が過ぎていきました。リモート勤務だったため、仕事を続けながら痛みに耐えていましたが、夜は痛みで眠れない日々が続きました。転院後は、治療の選択肢を一つずつ試していき、寛解に到達。途中で再燃したものの、医師と相談しながら次の治療を選び、現在は安定し、生活が楽になったことで気持ちも前向きに。今後も再燃の不安はありますが、新しい治療薬が出てくることを期待しながら過ごしています。

薬での治療が難しくなり、大腸全摘を決断。症例の多い病院を紹介してもらえたことで安心感はあったものの、術後への不安は大きかったため、情報に振り回されないよう意識していました。今は大きな問題なく過ごせています。手術前は、食事制限やトイレの回数に悩みながらも工夫を重ねていましたが、現在は以前のような制約もなく、日常生活を送れています。
編集部より
今回の座談会では、いくつかの治療変更を経験されている患者さんに「治療における医師とのコミュニケーション」を中心にお話を伺いました。治療の進め方や医師とのコミュニケーションに悩むことは多いですが、「治療の選択肢を知ることの大切さ」や「小さな疑問でも積極的に話してみる」など、患者さんそれぞれの工夫が印象的でした。
また、治療だけでなく、日々の過ごし方や前向きな気持ちの持ち方についてもお話があり、同じ病気と向き合う方々にとって、少しでも参考になるヒントがあればと思います。
※本記事は個人の方のお話をもとに構成しており、治療方法などの内容がすべての方に当てはまるわけではありません。