【離乳食の基礎知識①】離乳食の役割とはじめ方
公開日: 2026年1月21日

監修:一般社団法人母子栄養協会代表理事 管理栄養士 川口由美子先生
離乳食の期間を通じて、赤ちゃんは母乳やミルク以外の「食べ物」から栄養をとることに慣れていきます。また、食べ物をかんで飲み込む方法を身につけるだけでなく、食べることへの興味や食習慣の土台を育む時期でもあります。ここでは、離乳食の役割といつはじめればいいかの目安、用意するものを解説します。
この記事のポイント
・はじめる時期は、生後5〜6ヶ月頃が目安
・個人差があるので、焦らず赤ちゃんのペースで進める
・離乳食に使うスプーンや調理道具を準備しておこう
離乳食の4つの役割

離乳食は、赤ちゃんの体や心の成長のうえで、以下のような役割があります。はじめる前の心がまえとして、何のために離乳食が必要なのか?を知っておきましょう。
1.母乳・ミルクだけでは足りなくなる栄養を補う
赤ちゃんが成長するにつれて、母乳やミルクからだけでは必要なエネルギーや栄養素が不足してきます。離乳食の最初は母乳やミルクを中心に栄養をとりますが、発達に合わせて食べ物から栄養をとれるようにしていきます。ただし、離乳の完了=母乳やミルクを完全に飲まない状態になる、というわけではありません。
2.赤ちゃんの体の発達を助ける
母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんは、最初は舌で吸う動きしかできません。離乳食を通じて食べ物を口に入れ、かみつぶして、飲み込むという動きを少しずつ習得します。また、食べ物を消化吸収する能力も発達していきます。
3. 将来の食習慣の基礎をつくる
離乳食の時期は、食事や生活リズムを形成する時期でもあります。規則正しい食事の習慣がついていると、赤ちゃんと家族の健康維持や生活習慣病予防にも役立つとされています。離乳食を通じて家族みなさんの食習慣も見直してみるといいでしょう。
4. 自分で「食べる力」を育む
家族など、誰かと一緒に食事を楽しむ体験を増やしていくことでも、赤ちゃんの「食べる力」は育まれます。最初は食べさせてもらう状況から、成長につれて手づかみ食べに移行するのは赤ちゃんの「自分で食べる!」という気持ちの現れ。ほめたり、一緒に喜んだりして成長を見守りましょう。
離乳食をはじめる時期と見極めポイント
はじめる目安の時期はあるものの、赤ちゃんの成長には個人差があります。赤ちゃんの体の準備ができてきたかな?と思ったら、離乳食の準備をはじめていきます。
離乳の開始は「生後5〜6ヶ月頃」が目安
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」によると、生後5〜6ヶ月頃にはじめることが適当とされていますが、月齢はあくまで目安です。実際は赤ちゃんの発達状況や赤ちゃんが食べたがっているサイン(次の項目を参照)をみながら、判断していきます。
赤ちゃんからのサイン
赤ちゃんに次のようなサインがみられたら、離乳食のスタートを考えてみましょう。日頃から赤ちゃんの変化や様子をみて、はじめるタイミングを判断することが大切です。
□ 5秒以上座れる
□ スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
□ 食べ物に興味を示す(口を動かす、じっと見るなど)
いつ、どんなタイミングでスタートするといい?

5ヶ月になったからすぐはじめないといけないわけではありません。赤ちゃんからのサインを確認したら、赤ちゃんの機嫌がよく、大人も落ち着いて与えられる日や時間にはじめてみましょう。
最初から「すぐ食べるわけではない」とおおらかな気持ちで
離乳食スタートの準備ができたら、赤ちゃんの体調や機嫌のよいとき、食べさせる人の時間や気持ちに余裕があるタイミングではじめてみましょう。 赤ちゃんによっては、最初の一口を食べるまでに時間がかかることも。これはごく自然なことで、くり返していくうちに少しずつ慣れていきます。食べる量や進み方には個人差があるので、量や月齢などの数字にとらわれずに赤ちゃんのペースに合わせることが大切です。
食べてくれないときの対処アイデア
食べてくれないときは、お腹がいっぱいなのかもしれません。離乳食を授乳前にするなどタイミングを変えて試してみても。逆にお腹がすきすぎている場合も食べられないこともあるので、その場合は授乳後に試すようにしてみましょう。 もし食べてくれない日があっても、母乳やミルクから栄養がとれるので、離乳食をお休みしてもOKです。
離乳食を遅らせるのもよくない?
母乳育児の場合、生後6ヶ月からは鉄の不足が心配されます。また、ビタミンD欠乏の指摘もあり、これらの栄養を食べ物からとる必要があります。そのため、適切な時期にはじめることがよいとされています。
食物アレルギーの発症を心配し、離乳食をはじめるのをためらう方もいるかもしれません。ですが、遅らせても食物アレルギーの予防効果に関する根拠はないといわれています。病院があいている曜日や時間帯など、何か症状が出たときに医師に相談できるタイミングにはじめるとよいでしょう。
離乳食スタートに用意するもの

「そろそろ離乳食をはじめようかな」と思ったら、最初に何を準備すればいいか気になりますよね。離乳食スタートの前にそろえておきたいアイテムをご紹介します。最初からすべてを完璧にそろえる必要はありませんが、あると便利なアイテムも活用して、調理の負担を軽くし、ラクに楽しく作れるといいですね。
赤ちゃんのために準備するもの
最初は赤ちゃんを縦にして抱っこして食べさせても良いですが、成長につれて座って食べるようになり、さらに自分で食べる気持ちも芽生えていきます。成長に合わせた赤ちゃん用の食器や商品は豊富に揃っており、赤ちゃん用品の専門店などで購入できます。
フィーディングスプーン
赤ちゃんに離乳食をあげるときのスプーンを「フィーディングスプーン」といいます。赤ちゃん用品の専門店などで購入できます。
フィーディングスプーンは、赤ちゃんの口に入りやすい形や、口当たりのやさしさ、温度が伝わりにくい素材など、食べやすさを考えて作られています。
もし家庭のスプーンを使う際は、以下のことを目安にすると良いでしょう。
・赤ちゃんの口の幅より小さいもの
・スプーンのすくう部分が浅いもの(なめやすいため)
・先がとがっていないもの
※金属製は温度が伝わりやすく、感触がかたいと感じるかもしれないので避ける方がベター
食器
食べさせてあげるうちは、赤ちゃん自身が使うわけではないので、電子レンジ対応や食洗機対応など、大人の使いやすさを考慮した食器でOK。
離乳食が進むにつれて、自分で食べたがるようになるので、赤ちゃん用の食器を用意しても。割れないプラスチック製やシリコン製、食器の裏にすべり止めがついているもの、仕切り付きのプレートなど、さまざまなものが揃っています。
スタイ・食事エプロン
最初は食べる量よりもこぼす量のほうが多いことも。防水性があり、洗いやすいスタイや食事エプロンを使うと安心です。こぼしたものが入る、裾がポケット式のものも多く見られます。シリコン製のエプロンは食器と一緒に洗えるので便利です。
ベビーチェア
食べるときには、床と背中が垂直になるようにして食べるのでベビーチェアはなるべく背中を起こして使います。足の裏が床やステップにつくと、落ち着いて食べやすくなります。テーブルが取り外せるものは離乳食以降も使えます。

離乳食を作る調理道具
離乳食の調理は、赤ちゃんの摂食機能の発達に合わせた「やわらかさ」と「大きさ」にすることが大切です。主に「ゆでる」「切る」「つぶす」「こす」などの調理を行うことが多いもの。調理道具は家庭にあるものでも代用可能ですが、便利な離乳食調理道具セットも販売されています。 また、離乳食の場合、衛生面には特に気をつけたいので、熱湯消毒しやすい素材のものが便利です。
小鍋
少量の食材をゆでるときに便利。ふたつきのものがおすすめ。
すり鉢・すりこ木
離乳食をすりつぶすときに使用。すりこ木はある程度太さのあるものの方がつぶしやすいでしょう。
計量カップ・計量スプーン
水やだし汁、調味料などをはかるときに。スプーンは小さじ1/2、1/4など少量をはかれるものが便利。
はかり
1g単位で計量できるものを。デジタルスケールがおすすめ。
おろし器
熱湯消毒できるセラミック製がおすすめ。
裏ごし器
食材をこすだけでなく、少量の食材をゆでたときの湯切り用のざるとしても使えます。
キッチンばさみ
包丁で切るより、キッチンばさみで刻む方が手軽。麺類を切るときにも使えます。

【あると便利なアイテム】
離乳食セット
すり鉢・すりこ木・裏ごし器などがセットになっている離乳食専用のセット。
スティックミキサー・ハンドブレンダー・フードプロセッサー
初期のペースト状にする作業を簡単に。離乳食をまとめて作るときには特に便利です。
離乳食の冷凍ストックに便利なアイテム
まとめて作って冷凍しておくと、調理の手間と時間をカットできます。冷凍保存時にあると便利なものを紹介します。※冷凍保存については「離乳食の調理の基本と冷凍テク」の記事を参照してください。
製氷皿
離乳初期の少量のペーストや、だし汁、野菜スープなどを保存するときに。ふたつきのものが便利。
小分け保存容器
電子レンジで加熱できるものが便利。使い捨てやくり返し使えるものがあります。
ラップ
水けのない固形の食材を包んで冷凍するときに使用します。離乳食は少量の場合が多いので、小さめのサイズがおすすめ。
フリージングバック(冷凍用保存袋)
さまざまな形状の食材の保存に使用できます。しっかり空気を抜いて密閉保存すると、食材の酸化を防げます。

まとめ
離乳食は「栄養をとる」だけでなく、赤ちゃんの体・心・食べる力を育てる大切な時期です。最初は母乳やミルクを中心に栄養をとるので、食べてくれなくても「食べる練習」だと思って、焦らず赤ちゃんのペースで進めていきましょう。
次の記事では、進め方の目安と栄養や食材について解説します。
【離乳食の基礎知識②】離乳食の進め方と食材の使い方

川口由美子先生
管理栄養士。母子栄養指導士。女子栄養大学生涯学習講師。女子栄養大学にて小児栄養学を研究後、30年ほど子どもの食事に関する業務に携わる。Eテレ「まいにちスクスク」のほか、テレビ、雑誌、WEBで離乳食や幼児食のレシピ提案、コラム執筆、栄養監修等を行う。主な著書「まねしてラクラク迷わない!365日のフリージング離乳食」(西東社)
参考
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
「まねしてラクラク迷わない!365日のフリージング離乳食」西東社
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