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【管理栄養士監修】お酒を飲みすぎると何がいけないの?

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お酒は、適度に楽しむ分にはストレスを和らげるなどのメリットがあるという報告もありますが、飲みすぎは体に負担をかけてしまいます。 そもそもお酒を飲みすぎると、具体的に何がいけないのでしょうか。 もやもやとしている疑問を、ぜひ解き明かしていきましょう。 また、お酒を飲むときのポイントもご紹介します。

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アルコール代謝のしくみ

お酒を飲むと、アルコール成分は胃と小腸で吸収され、血液に溶け込んで肝臓に送られます。 肝臓内では、アルコールを分解する酵素により一度「アセトアルデヒド」という物質になり、二日酔いなどの原因になるといわれています。 そこから別の酵素でさらに体の負担が少ない「酢酸」に変えられ、最終的には尿や汗となって排泄されるといったしくみです。

体には必要がなく、時に有害ともいえるアセトアルデヒドを「酢酸」という成分に変え無害化するのが肝臓の役割です。

一般的に、1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」とされています。例えば体重が約60kgの方なら、500mlのビール(アルコール度数5%:アルコール量25g)を飲んだ場合、アルコール代謝を終えるまでに4時間強かかる計算に。アルコールの代謝機能には個人差があり、遺伝的にお酒が弱い方は、さらに時間がかかります。(※)

※ 参考:厚生労働省e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」

お酒を飲みすぎると、どうなる?

お酒を飲むと顔が赤くなったり吐き気や頭痛、動悸などが起こるのは、アセトアルデヒドの影響です。

短時間に大量の飲酒をすると血中のアルコール濃度が上がり、急性アルコール中毒を引き起こすことがあります。また、長期にわたって大量の飲酒を続けると、肝臓に負担がかかって脂肪肝やアルコール性肝炎などの肝臓障害を引き起こす可能性も。

肥満の原因にも

アルコールのカロリーは「エンプティーカロリー」と呼ばれることもあり、太りにくいと誤解されがちですが、エンプティー(empty)とは「栄養が空っぽ」という意味。アルコール1gで7kcalあるので、アルコール度数の高いお酒ほどエネルギー(カロリー)も多くなります。

主なお酒のアルコール度数とエネルギー

  • ビール……4〜5度、約137kcal(缶1本/350ml)

  • ワイン……15度、約68kcal(赤ワイングラス1杯/100ml)

  • 日本酒……15度、約184kcal(1合180ml)

  • 焼酎……25度、約162kcal(焼酎水割り1杯/(焼酎80ml))

  • ウイスキー……40度〜、約70kcal(シングル1杯/30ml)

350mlの缶ビール1本で137kcal、中ジョッキ(500ml)は1杯で約200kcalなので、おかわりを続けると、お酒のエネルギーだけで相当なものに。カクテルや酎ハイなど甘いお酒には糖質も含まれますので、さらに高エネルギーになることもあります。お酒を選ぶときは、度数だけでなく糖質もチェックしてみましょう。

お酒をぐいぐい飲み、おつまみに油っぽいものなどを食べすぎると、あっという間にカロリーオーバーになってしまいます。

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お酒を飲む時に気をつけたいこと

食事と一緒に飲む

胃に何も入っていないとアルコールの吸収が速くなり酔いがまわりやすくなったり、アルコールにより分泌を促された胃酸で胃粘膜が荒れてしまうことも。 食べ物が胃に入っていると、胃への負担を減らすことができます。特に度数の高いお酒を飲むときは、何かを食べてからの方がいいですね。

おつまみには、豆や野菜を取り入れて

アルコールを分解する際にビタミンB1を消耗するため、これを含む食べ物を一緒にとるのもよいでしょう。 ビタミンB1は大豆製品や豚肉に多いほか、微量ながらも多くの野菜に含まれています。野菜にはその他のビタミンやミネラル、食物繊維もあります。 大豆製品や野菜のおかずはエネルギーも低く、食べごたえもあるので、おつまみとして食べるのにおすすめです。

「ビタミンB1」がとれるおつまみレシピ

かぶのひき肉あんかけ
豚肉のうま味としょうがの風味が効いている、しっかりとした味わいの一品です。
枝豆の山椒焼き
フライパンでじっくり焼いて水分を飛ばし、枝豆のうま味と甘みをより感じることができます。
豚しゃぶと豆腐のねぎまみれ
くずした豆腐に豚しゃぶとねぎをたっぷりのせた、食べごたえのあるおつまみです。

お水やお茶も一緒に飲みながら

アルコールは抗利尿ホルモンの働きを妨げてしまうので、アルコールをとりすぎると必要以上に尿が作られ、脱水症状にもなりかねません。ぜひ、お水やお茶などの水分をしっかりとりながら、お酒の時間を楽しみましょう。水分でアルコール濃度も薄まるため、肝臓への負担を軽減することにもつながります。

飲酒にメリットはあるの?

健康な人が飲酒する分には、アルコールには胃酸の分泌を盛んにして消化を助けたり、食欲を増進する働きがあるといった研究報告があります。また、適量であればストレスを和らげたり、気持ちをリラックスさせるなどの効果も期待できます。

しかし、短時間に大量のお酒を飲んだり、大量の飲酒を長期間続けたりすると、肝臓に負担をかけることは前述した通りです。 適量は個人の体質、体重などによって異なるため一概には言えませんが、泥酔、酩酊するまで飲むのは考えものです。

お酒は適量を、楽しみながら飲むのがコツ

飲みすぎは体に負担をかけますが、おいしい食事と適量のお酒、そして楽しい会話は、時に心と体を幸せにしてくれます。 そんなひとときを長く楽しむためにも、医師の指示がなかったとしても週2日は体のためにお酒をお休みする日を入れましょう。 この際に気をつけたいのが、週5日続けて飲酒して2日連続で休むのではなく、2~3日飲んで1日休む、という習慣をつくることです。 休肝日には、アルコールを摂取する総量を抑えるとともに、肝機能が回復するための時間を確保する役割があります。 自分に合ったお酒や飲み方で、豊かで味わいのある時間を過ごせるといいですね。

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士