読む、えいよう

【大腸がん早期発見】便に血が混じったら迷わず大腸内視鏡検査を

【連載】あなたの人生の主治医はあなた 第12回(文・岡田 定 医師)

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あなたは、健康診断(健診)を受けておられますか。健診では、便に血が混じっているかどうかを調べる便潜血反応の検査もあったと思います。 その便潜血反応の結果が、陽性(便に血が混じっている)だった場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をおすすめします。

血が便に混ざっているとき体内に起こっていること

便潜血反応は、大腸がんの可能性を調べるための検査です。検査結果が陽性であれば、便に血が混じっていたことを示します。その場合、消化管(特に大腸)の出血がある可能性が考えられます。消化管出血の原因はさまざまですが、そのひとつが大腸がんです。

もちろん、便潜血反応が陽性なら必ず大腸がんということではありません。便潜血反応陽性でも大腸がんでないことの方がむしろ多く、逆に大腸がんがあっても便潜血反応陰性ということもあります。

「便潜血反応陽性=大腸がん」ではない

特に、大腸がんの発見が遅れてしまう原因に痔があります。というのも、便潜血反応で陽性の場合、痔のある方たちは大腸がんを疑わず、痔のせいだと自己判断しがちだからです。けれど、それは大きな危険を伴う誤った判断です。大腸がんがあるかないかは、大腸内視鏡検査をするまでわからないからです。

大腸内視鏡で目指せる大腸がんの早期発見・治療

大腸がんの患者数は、肺がんや乳がんと並んで著しく増加しています。がんの死亡数をみると、大腸がんが女性では1位、男性では3位なのです(表)。

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大腸がんになりやすい原因は、下記のようなものがあります。

【大腸がんになりやすい原因】
・肥満
・加齢
・過度の飲酒
・喫煙
・運動不足など
ただし、こうした原因が自分には見当たらないからといって問題がないという保証はありません。

最新の管は細く、鎮静剤によって大腸内視鏡検査も楽に

少しばかり大変な印象の強い大腸内視鏡検査ですが、検査と治療が同時にできる点においてメリットが大きいです。

大腸がんは早期であれば、内視鏡を使うことで腹部を外側から切ることなく、内視鏡下で大腸内だけを切除できます。また、将来、がんになる可能性のあるポリープを早期に発見し、切除することも可能です。つまるところ、内視鏡検査によって検査と治療が同時にできる一石二鳥のお得な検査といえます。

「そうはいっても、大腸内視鏡検査は検査の前の処置が大変そうだし、お尻から管を入れるなんて」と思われますか。

はい。そのお気持ち、とてもよくわかります。

確かに大腸内視鏡検査を行う際は、大腸をきれいにするために下剤を何度も飲んではトイレに繰り返し行き、内視鏡の管を肛門から入れる必要があります。

とはいえ、皆さんほとんど問題なくやっておられます。

「大腸内視鏡検査はやりたくない」という方の中には、一昔前の太い管を肛門から入れられるイメージが強い方もいらっしゃると思います。しかし、最新の内視鏡は管も細く、なおかつ高機能化しています。また、鎮静剤を使えば、頭がボーとして、眠ったような状態で検査を受けることが可能です。わたし自身、大腸内視鏡検査を受けるときはいつもそうしてもらっています。

決められた通りの手順を踏めば、あなたが心配するほど大変な検査ではなくなっています。

お腹や便に異常がある際は迷わず大腸内視鏡検査の受診を

便潜血反応がたとえ陰性だったとしても、以下のような症状があれば大腸がんを含めた大腸の病気の可能性があります。

【大腸がんを含めた大腸の病気の可能性がある症状】
・最近、継続的にお腹の調子が悪い
・便に血が混じることがある
・閉経後なのに貧血になることがある
なので、このような症状があれば、消化器内科を受診し、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

大腸内視鏡検査は、ハードルが高い検査と思われるかもしれません。しかし60代のあなたには、一度は受けてみる価値のある検査だと思います。大腸がんを早期発見・治療するためにも、便潜血反応で陽性が見つかったら医師に相談しましょう。

【岡田定医師連載「あなたの人生の主治医はあなた」】
第9回 喫煙者の肺がんリスクは男性4.5倍 女性4.2倍
第10回 40代で糖尿病予備軍といわれたらやるべきこと2つ
第11回 悪玉コレステロール値を低くするなら植物油と魚油を
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プロフィール:現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

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編集:おいしい健康編集部
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