悪玉コレステロール値を低くするなら植物油と魚油を
公開日: 2022年12月12日
【連載】あなたの人生の主治医はあなた 第11回(文・岡田 定 医師)
健康診断で「悪玉コレステロールの数値が高いですね」と指摘されやすくなる50代。とはいえ、中には体調に何の問題もないからと、そのまま放置してしまっている方もいることでしょう。
けれど、実はこの「悪玉コレステロールが高い」という状態は、脂質異常症のひとつであることを示しています。
正式には、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っているLDLコレステロールが過剰に増えているという状態です。
脂質異常症の種類は3つ
脂質異常症は、血液中に多くなる(または少なくなる)脂質の種類によって、下記の3つに分けられます(※)。
悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが140mg/dl以上。
2.低HDLコレステロール血症
善玉と呼ばれるHDLコレステロールが40mg/dl以下。
3.高トリグリセライド血症
中性脂肪(TG:トリグリセライド)が150mg/dl以上。
その中でも最も発症している方の割合が多いのが、いわゆる「悪玉コレステロールの数値が高い」と評される高LDLコレステロール血症です。
増えすぎると動脈硬化から脳梗塞や心筋梗塞に
悪玉(LDL)コレステロールによる脂質異常症の重大さは、年齢や性別、すでにどのような病気にかかっているかなどによって大きく変わります。50代のあなたが、すでにもし高血圧や糖尿病にかかっているのならば、悪玉コレステロールが高いということはより注意を払わなければならない状態です。
脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなります。さらに高血圧や糖尿病があるなら、さらにその危険性は高くなります。また、喫煙の習慣がある方も同様にこうしたリスクが高まります。そうなると、仕事に制限がかかり、経済的な負担や家族への負担が増えることになりかねません。
LDLコレステロール高値
⇒ 動脈硬化
⇒ 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞
⇒ 命の危険、QOLの低下、通院治療
⇒ 仕事の制限、経済的な負担増、家族の負担増
肉・バターを植物油・魚油に切り替えて悪玉コレステロールを低下
悪玉(LDL)コレステロールが少し高いだけなら、まずは生活習慣を改善しましょう。まず、第一に、肥満があれば体重を減らし、できるだけ運動することを心がけます。次に食事面では、脂身の多い肉、バター、ラードといった飽和脂肪酸の多い食品を控え、植物油や魚油といった多価不飽和脂肪酸や食物繊維を十分に摂取しましょう。
脂肪酸とは脂肪を構成する要素で、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。飽和脂肪酸は動物性の脂肪に多く含まれ、不飽和脂肪酸は植物性食品や魚の脂に多く含まれて常温では固まりにくい性質があります。多価不飽和脂肪酸には、動脈硬化や血栓の予防、血圧を下げる働きだけでなく、LDLコレステロールを低下させる働きがあります。
ただし、コレステロールは遺伝子の要因が大きいために、生活習慣の改善だけではほとんどよくならない場合があります。その場合は、主治医の先生と相談して薬を使いましょう。よく効く薬がありますから。
中性脂肪が高い場合は、糖質、特に甘い飲み物や甘いお菓子や果物、お酒を減らすことです。そうするだけで、比較的容易に改善します。
【岡田定医師連載「あなたの人生の主治医はあなた」】
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第9回 喫煙者の肺がんリスクは男性4.5倍 女性4.2倍
第10回 40代で糖尿病予備軍といわれたらやるべきこと2つ
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岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。
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