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【成功者は8時間眠る】睡眠不足の解決に「15分の昼寝」

【連載】あなたの人生の主治医はあなた 第8回(文・岡田 定 医師)

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職場でも家庭でも多忙な現代人。激務に追われ、平日は睡眠時間を4~5時間まで削り、休日の寝だめが欠かせないという方も多いことでしょう。

睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼす恐れのある状態を「睡眠負債」といいます。

海外から来日した人が、日本の電車に乗って驚くことがあります。それは、あまりに多くの人が寝ていること。「日本はなんて安全な国なのか」と感じるといいますが、実際は寝不足な日本人の多さに驚いている、というのが真相なのかもしれません。こうしたことからも、日本は世界に冠たる睡眠負債国家といえます。

仕事のパフォーマンスを落とす「睡眠負債」

日常的に体を動かさないでいると、人の筋肉は落ちていきます。それにより食欲も落ち、食事量も減ります。すると筋肉がさらに落ち、体をさらに動かさなくなるという悪循環に陥るのです。

睡眠負債は、文字どおり睡眠時間をお金に見立て、借金が溜まっている状態を指す言葉です。睡眠負債があると仕事のパフォーマンスは著しく低下することがわかっています。毎日、睡眠時間を2時間削って業務時間を増やし、仕事のパフォーマンスを上げているつもりでも、実際は睡眠負債の代償として、こなしている仕事の質を低下させている可能性が高いのです。

また、睡眠負債によって、肥満、糖尿病、高血圧になりやすくなるといった傾向があります。働き盛りの間は若さで持ちこたえられても、10~20年後、うつ病や心筋梗塞、脳梗塞を発症させる要因となりかねません。健康を害すると仕事も続けられなくなり、家庭生活に大きな支障をきたすこともあるため、注意が必要です。 

【起こりうる事態】
睡眠を削る
睡眠負債
⇒ パフォーマンス低下、肥満、糖尿病、高血圧
⇒ うつ病、心筋梗塞、脳梗塞
⇒ 命の危険、半身不随、通院治療
⇒ 仕事が続けられない、経済的な負担増、家族の負担増

7時間睡眠が理想

睡眠時間と寿命の関係を調べた研究によると、約7時間の睡眠をとった人々が最も死亡率が低く、長生きだったそうです(※1)。当然ながら個人差はありますが、こうした研究報告から、約7時間がよい睡眠時間の目安になります。

もしあなたが、「ベッドに横になった瞬間に眠れる」とか「休日に寝だめをしないと、平日に体がもたない」というなら、睡眠負債が溜まっている証拠です。睡眠負債がない健全な状態なら、横になった瞬間には眠れません。横になった瞬間に眠れるというのは、睡眠負債のせいで気絶するような状態です。

こうした睡眠負債を返済するためにも、平日休日問わず、毎日約7時間の睡眠を心がけましょう。 十分な睡眠をとることにより、あなたの能力は一気にパワーアップする可能性があります。

現在、あなたが過ごしている1日24時間を、「睡眠5時間」+「仕事12時間」+「そのほか7時間」としましょう。その場合、仕事12時間を11時間に、そのほかに費やしている7時間を6時間に減らすことで、睡眠時間を7時間に増やすことが可能です。

こうして睡眠時間を7時間に増やすことで、新たな「仕事11時間」の「質×量」が、以前の「仕事15時間」の「質×量」に匹敵するようになる可能性があります。その結果、「そのほか6時間」も以前よりずっと充実することでしょう。

命を削ってパフォーマンスを下げる生き方と、十分な睡眠をとって最大限にパフォーマンスを上げる生き方。あなたはどちらを選びますか。

起業家や成功者は8時間眠る

十分な睡眠は、「十分な貯蓄ができるかどうか」にも関係するといわれています。マネーガイドの午堂登紀雄氏によれば、十分な貯蓄ができる人には、7つの特徴があるそうです。

【十分な貯蓄ができる人の特徴】
①収入が増えても生活レベルを変えない
②ちょこちょこ現金をおろさない
③自分へのご褒美をしない
④十分な睡眠時間を確保する
⑤夢中になれる仕事を選ぶ
⑥オンとオフの区別がない
⑦お金よりも時間を優先する

起業家や成功者と呼ばれる人の共通点としても、十分な睡眠時間が確保できていることが挙げられるのです。さらに驚くことに、彼らの平均睡眠時間は理想の睡眠時間といわれる7時間よりさらに1時間多い、約8時間といいます。卓越した睡眠によって頭脳が冴え渡り、それにより気力と体力が充実。短い時間でも高い生産性を発揮できることを、成功者ほど本能的に悟っているといえます。

「昼食後15分の仮眠」で心身を健康に

そうは言っても、オフィス通いの自分には睡眠時間をすぐに増やすことはできない……と思われる方も多いことでしょう。でも、大丈夫。誰もが比較的すぐにできる方法として、昼食後のお昼休みに座ったまま15分ほど仮眠する方法があります。

皆さんも昼食を終えてお腹が満たされた後、睡魔に襲われた経験が、一、二回はありませんか。そんなときこそ、机に座った状態のまま、15分程の仮眠をとることをおすすめします。

わずか15分の仮眠でも目覚めると頭がとてもすっきりします。すると、午前中の疲れがとれて、午後からの仕事のパフォーマンスが俄然違うものとなります。

たとえ睡魔に襲われなくても、こうした「昼食後15分の仮眠」は、あなたの心と体を守ってくれます。かくいう私も、実のところ長年の習慣にしています。

もし、15分で目覚められるかと不安なら、コーヒーを飲んでから仮眠します。15分ほどでカフェインが効き始め、すっきりと目覚めることができるのです。

睡眠を削ることは命を削ることです。1日の時間管理を見直して、ぜひ十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。そうすれば、心も体も喜び、仕事のパフォーマンスも上がります。

※1:Tamakoshi A, et al.:Sleep. 2004;27(1):51-54.

【岡田定医師連載「あなたの人生の主治医はあなた」】
第5回 60代の8人に一人「CKD(慢性腎臓病)」を防ぐには
第6回 地中海食、十分な睡眠、社会活動…70代の物忘れを防ぐ方法
第7回 80代を快活に!フレイルを改善する3つの体操
そのほか、岡田定先生記事はこちら

プロフィール:現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

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編集:おいしい健康編集部
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