読む、えいよう

50代から気をつけたい「脂肪肝」は、食生活の改善が肝心です

【連載】あなたの人生の主治医はあなた 第4回(文・岡田 定 医師)

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50代のあなたは、体重が増えたり、食べすぎや飲みすぎで食生活が気になったりしていないでしょうか。そんなあなたが健康診断を受けたら、引っかかる可能性のある病気が「脂肪肝」です。

「脂肪肝」は、治療すべき病気です

「超音波検査で脂肪肝と言われたけれど、血液検査は異常がなく、体調も問題ないし、まあいいか」と思っていませんか。これは間違った考えです。

血液検査で、肝機能の数値に異常がないから「肝臓は正常」とは言えません。超音波で脂肪肝が見つかれば、「肝臓は異常」です。自覚症状が現れにくく、軽い病気と思われやすい脂肪肝ですが、治療が必要な状態になっています。

肝硬変や肝がん、心筋梗塞、脳梗塞につながることも

日本人に最も多い病気は高血圧で、3人に一人がかかっているといわれます。それに次いで多いのが脂肪肝。4人に一人にみられる非常に多い病気です。

脂肪肝があるということは、肥満であったり、お酒を飲みすぎていたりする可能性が高いです。もしこのような状態を放っておいたら、どうなるでしょうか。

今は正常でも早晩、血液検査で肝機能(γGTP、AST、ALTなど)の数値が異常になります。肝臓の悪化は、じわじわと進行するのが特徴です。10年、20年、30年単位で進行していけば肝硬変になり、さらには肝臓がんにもなります。

肝臓の問題だけではありません。高血圧、糖尿病、脂質異常症、さらには心筋梗塞、脳梗塞となる可能性もあり、生活に大きな支障をきたすようになります。

【起こりうる事態】
脂肪肝(≒肥満、大量飲酒の習慣あり)
⇒肝障害、アルコール依存症、高血圧、糖尿病、脂質異常症
⇒肝硬変、肝臓がん、心筋梗塞、脳梗塞
⇒仕事が続けられない、経済的な負担増、家族の負担増

脂肪肝の治療は、「糖質制限」と「節酒」

脂肪肝の原因のほとんどは、糖質のとりすぎか、お酒の飲みすぎです。治療のために、まずは甘い飲み物などを控えて糖質を減らし、体重を減らしましょう。また、お酒が多ければ、きちんと減らしましょう。

痛くもかゆくもない脂肪肝ですが、あなたの体に「赤信号」が灯り出しているのです。早期の脂肪肝なら、糖質やお酒を減らせば比較的簡単に改善するでしょう。今のあなたなら、まだ間に合うかもしれません。

「あなたの人生の主治医はあなた」バックナンバー

【岡田定医師連載「あなたの人生の主治医はあなた」】
第1回 人の一生と生活習慣病
第2回 20代・30代からは、「甘い飲み物」に気をつけましょう
第3回 40代からの「肥満」は、心筋梗塞やがんなどの病気につながります
そのほか、岡田定先生記事はこちら

プロフィール:現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田 定 先生
1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

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編集:おいしい健康編集部
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