食物繊維のように働く注目の「難消化性でんぷん」
ところが最近、「でんぷん系」の豆が見直されている。カギを握るのが「難消化性でんぷん」だ。「小豆やインゲン豆をゆでると食物繊維量が約1・5倍に増える。それは、でんぷんの加熱後に『難消化性でんぷん』ができるため。消化酵素で分解されないので大腸に届き、食物繊維のように働く」と北海道立総合研究機構農業研究本部の加藤淳部長。「しかも難消化性でんぷんは、水溶性食物繊維のように腸内細菌のエサになる」。
食物繊維には油をからめて体外に排出したり、便のカサを増す不溶性と、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整える水溶性がある。豆には不溶性が多いが、難消化性でんぷんが水溶性食物繊維の働きを補ってくれるのだ。
さらに「小豆や、インゲン系の金時豆などのたんぱく質にも、“満腹”ホルモン分泌作用がある」と原教授。小豆など色つきの豆の皮に含まれるポリフェノールの抗酸化作用も見逃せない。小豆ポリフェノールは動物試験で血糖値や血圧の上昇を抑える作用が、黒豆のアントシアニンはヒト試験で中性脂肪を下げることが分かっている。豆の多様な成分が、ダイエットの強い味方になる。
「難消化性でんぷん」って何?
英語で「レジスタントスターチ」と呼ばれる注目の成分。「小豆などをゆでると、でんぷんが水分を吸って膨張し、外側の細胞壁に守られた“あん粒子”と呼ばれる粒になる」(加藤部長)。これが豆の「難消化性でんぷん」。消化酵素で分解されにくいため、大腸に達し、食物繊維と同様の働きをする。食べてもでんぷんのようには血糖値の上昇が起こらない。豆を蒸した場合も同様に難消化性でんぷんができることが確認されている。ほかには、ご飯やジャガイモなどを加熱後、冷やしても生じることが分かっている。