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食事のタイミングで栄養の吸収が変わる?注目の時間栄養学を解説:昼食・夕食編

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撮影:鈴木泰介、スタイリング:しのざきたかこ

朝食編に引き続き、「月刊おいしい健康10月号」第1特集にて時間栄養学の監修をしていただいた、早稲田大学 先進理工学研究科電気・情報生命専攻薬理学研究室教授の柴田重信先生のインタビューをお届けします。

今回は、昼食と夕食の食べ方のコツをご紹介。

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昼食はカリウムが不足しがち。野菜や果物で補いましょう

「昼食は基本的には何を食べてもOK」とおっしゃる柴田先生。でもいくつかポイントがあるようです。

「朝食ではたんぱく質も食べてほしいとお伝えしましたが、昼食は魚や肉を食べる機会が多いため、たんぱく質はきちんととれている方が多いですね。
ただし夕食に比べると、カリウムの摂取が少ない傾向があります。

カリウムは野菜や果物に含まれていて、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあります。
とくに昼食はすぐに食べられるラーメンや丼、カレー、パスタなどの単品で食べることが多いですよね。そこに野菜や果物をプラスするといいでしょう。

また朝食と同様に忙しいからと昼食を抜くことは、夕食の食べ過ぎや血糖値の急上昇にもつながります。夕食の時間に影響が出ないように、できれば午後3時までに食べられるといいですね」

夕食は脂肪分を多くとると血圧が高くなりやすい

「私は朝食を食べてから10〜12時間以内に夕食を終えるのが、1日の食事時間の理想と考えています。
つまり、朝8時にごはんをとったら、午後6時〜8時には夕食を終えたいところ。

また、あまり動かなくなる夜は代謝も落ちるため、脂肪分の多い食事をすると中性脂肪が高めに維持され、肥満の要因にもなります。
消化不良にもなりやすいので、低脂肪で消化しやすいものを食べるようにしましょう。食べる量も腹八分目を目指すといいですね。

また、高血糖の状態は朝食時より夕食時のほうが長く続く傾向があるため(※1)、糖質も控えめにするのがおすすめです」

夕食は30分でも早く。遅くなるときは分食を

「現代人は仕事や学業などで、夕食時間が遅くなりがちですよね。そうなると、起きている時間に食べたものを消化しきれないこともあります。
ですから夜遅い時間に夕食をとりがちな方は、食べる時間を30分でも早めることをおすすめします。

もし夕食が深夜近くになってしまうなら、分食がおすすめです。
まず、午後4時か5時にご飯やパンなどの主食を先に食べ、夕食がとれる時間になったら野菜を中心としたおかず(主菜)や副菜を食べます。

こうすることで夜の血糖値の急上昇を抑えたり、消化不良を予防できます」

夕食はGABAを含む食材を入れるのもおすすめ

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「GABAはストレスを軽減させたり、リラックス効果が得られる注目の栄養素です。夕食はこれが含まれる食材を選んで食べてもいいでしょう。

じゃがいもやトマト、納豆、牛乳などにも含まれますので、スープなどにして消化に負担がかからない形で取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、GABAと同じくリラックス効果や抗ストレス効果として、大豆イソフラボンやテアニンもおすすめです。大豆イソフラボンは納豆や豆乳などに、テアニンは緑茶などに含まれます。
ただし、緑茶はカフェインも入っているので、遅い夕食のときに飲むのは控える方がいいでしょう」

食事のタイミングを考えながら効率よく健康を維持しよう

今回は時間栄養学についての昼食と夕食について紹介しました。
栄養を効率よくとるのはもちろん、これらの習慣は糖尿病や高血圧の予防にもなります。

月刊おいしい健康10月号」第1特集では時間栄養学に基づき、料理研究家の市瀬悦子さんに考案いただいたレシピを紹介しています。 夕食におすすめのレシピはこちら。

じゃがいもとひき肉の中華スープ
じゃがいもが入った具だくさんで食べごたえがあるスープ。野菜の甘味、豚肉のうま味が効いた一品で、ごま油の風味が食欲をそそります。
ささみと白菜の豆乳クリーム煮
白菜をたっぷりと使った一品。白菜の甘みと豆乳のコクでやさしい味わいです。パンと合わせるのもおすすめ。
ブロッコリーとキャベツのレンジ温サラダ
150g以上の野菜がとれて、調理は電子レンジだけと簡単でうれしい一品。レモンの酸味が効いていてさっぱりとした味わいです。

そのほかのレシピはぜひ、こちらをご覧ください。

※1 Effects of Timing of Acute and Consecutive Catechin Ingestion on Postprandial Glucose Metabolism in Mice and Humans. Takahashi M, Ozaki M, Tsubosaka M, Kim HK, Sasaki H, Matsui Y, Hibi M, Osaki N, Miyashita M, Shibata S.Nutrients. 2020 Feb 21;12(2):565. doi: 10.3390/nu12020565.

監修:早稲田大学先進理工学研究科電気・情報生命専攻薬理学研究室教授
柴田重信 先生
1953年生まれ。1976年 九州大学薬学部薬学科卒業。1981年同大大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より現職。日本時間栄養学会会長などを務める。著書に『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(講談社)、監修書に『おにぎりと味噌汁だけ - ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立』(ワニブックス)など多数。

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編集:おいしい健康編集部
監修:早稲田大学 先進理工学研究科電気・情報生命専攻薬理学研究室教授 柴田重信先生