塩分を加えずとも、「おいしい」「食べたい」という気持ちを叶えます
公開日: 2021年1月19日
「月刊おいしい健康」
では、おいしい健康の管理栄養士が毎月テーマを決めてレシピを考案している記事があります。「おいしい」と感じることをあきらめてほしくない。「食べたい」という気持ちを大切にしてほしい。そんな思いを込めたページです。1月号は「冬野菜の無塩副菜」。塩分を控えたい方にぴったりな、塩そのものや、しょうゆなどの塩分を含む調味料を使わずにおいしく仕上げる副菜です。
かんたんな3つのコツで、もっとおいしく
「塩分控えめ」と聞くと、物足りないのではないかと思う方が多いかもしれません。しかし、塩分に頼らなくても、工夫すればおいしい料理はできると考えたのが、1月号の「冬野菜の無塩副菜」です。
そもそも、私たちの食生活ではどうしても塩分が多くなりがちです。高血圧などの生活習慣病の方に限らず、塩分を控えめにしようと意識するのはとても大切なこと。主菜で塩分をとるなら、副菜だけでも抑える工夫をしてみましょう。
塩分の高い塩やしょうゆなどを使わず、食塩相当量が0.2g以下のレシピを考えました。おいしく仕上げるコツ3つを紹介します。
●香りや食感を生かす
「香り」や「食感」があると、人は満足感を得られるものです。塩けがなくても香りのある食材や調味料を加えたり、食感をプラスしてくれるものと合わせるだけで、ぐっとおいしさが増します。
●酸味をきかせる
「酸味」は、塩を控える際の強い味方。少しの砂糖と酢を合わせれば、まろやかな酸味を感じられ、塩がなくともそれだけで十分です。きりっとしたレモン汁を加えるだけでも、味が引き締まります。
●うま味を利用する
「うま味」は「おいしさ」を感じるうえで、とても大切な要素。昆布や桜えびなどのだしの出る食材がとてもいい役目を果たしてくれます。冬に旬を迎える野菜を使っているので、うま味があることで、より食材の味を感じることもできます。
さまざまな工夫が詰まっています
今回「冬野菜の無塩副菜」として考えた5品は、おいしい健康管理栄養士が、頭をひねり、手を動かし、何度も試作してたどり着いたもの。それぞれのポイントについて、より詳しくお伝えします。
●凍らせて作る「大根の甘酢漬け」
いちょう切りにした大根を冷凍させることがポイントです。一般的には「塩もみ」をすると水分を出すことができるのですが、それでは塩分がプラスされてしまいます。塩もみはせずに、凍らせることで大根の繊維を壊し、水けを抜くという方法を取り入れました。大根そのものの甘みと昆布のうま味が感じやすくなるうえに、少しの酢と砂糖でも十分な味わいに仕上がるというわけです。
●香味野菜を取り入れて「春菊のさっぱりあえ」
香りの強い野菜に、ツナのうま味をプラスすることで、塩がなくても物足りなさを感じません。ツナの代わりに鶏のささみ肉でもうま味を加えることができますね。香りの豊かな野菜としては、クレソンやパセリなども無塩の料理におすすめです。
●香りをしっかりきかせる「長いもの青海苔バター焼き」
じっくり焼いて焦げ目をつけた長いもの香ばしさがたまりません。さらに、バターのコクと青海苔がプラスされて、より風味豊かな仕上がりに。食事をする際においしさを感じるためには、味とともに「香り」も重要な要素。しっかり焼いたり、風味の強い調味料を使ったりすると、無塩でも満足感を得やすいです。
●うま味と香りのある食材を使って「水菜と桜えびの中華サラダ」
桜えびとにんにくをじっくり炒めることでうま味をアップさせています。にんにくのように香りの高い食材は、調味料代わりに使えるのでとても便利。みょうがやしそ、しょうがなども同じ役割を果たしてくれるので、意識してみてください。また、桜えびのカリッとした食感もポイント。桜えびの代わりにしらすでもいいですし、ナッツを細かくしてあえるのもおすすめです。
●酸味があれば安心「ブロッコリーの粒マスタードマリネ」
マスタードと酢の酸味をきかせた一品。塩を入れなくても「酸っぱさ」を感じることで、副菜としては十分な一品になります。酸味の効いた調味料は、塩分が少ないのも大切なポイント。他にも、ケチャップやカレー粉なども塩分が少ないだけでなく、香りがあるので取り入れやすい調味料です。
このように、どのレシピにも無塩でもおいしく作ることのできる工夫がたくさん。ぜひお試しください。