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皮ごと食べたい旬のナス

 夏に旬を迎えるナスには、ダイエットやメタボ予防に役立つ、抗酸化成分のポリフェノールが豊富に含まれる。
 ナスの皮に多いポリフェノールが、紫の色素成分のナスニン。アントシアニンの一種だ。「ブルーベリーなど紫色の植物に豊富なアントシアニンには、糖や脂質の利用を促す “AMPキナーゼ”という酵素を活性化する作用がある」と中部大学の津田孝範教授。また、高知県工業技術センターの森山洋憲さんは、「アントシアニン系のポリフェノールの抗酸化力はナスニンが最も強かった」と話す。このナスニンをとるためには、皮ごと食べるのがお薦めだ。

 また、ナスの皮や果肉にクロロゲン酸というポリフェノールも多く含まれる。「クロロゲン酸には脂質分解を速める作用や、血液をサラサラにする作用、副交感神経を刺激して気分を落ち着かせる作用がある」と東京薬科大学の岡希太郎名誉教授。
 さらに、最近ではナスに含まれるオスモチンという植物性たんぱく質も注目されている。オスモチンは、体内での糖代謝を整えるアディポネクチンと同様の作用があり、メタボ予防に役立つと考えられている。

ナス

6〜9月が旬の夏野菜。インド東部が原産地とされ、日本では奈良時代から栽培されてきた。世界中で1000種類を超えるナスが栽培されているといわれ、品種の多さが特徴。日本でも賀茂ナスや熊本赤ナスなど各地に特有のナスがある。生産量は高知県が1位で約10%を占める。