【痔の基礎知識②】痔の予防や改善は、正しい排便から
公開日: 2026年4月1日

監修:松島病院 大腸肛門病センター副院長 松島小百合先生
痔に悩む方にとって「どうやってスムーズに排便するか」はとても重要です。誤った排便習慣は痔を悪化させるだけでなく、痔を治療した後の再発の原因にもなります。また、理想的な便の状態を保つことも大切なので、おしりにやさしい排便についてご紹介します。
この記事のポイント
・良い便を知り、自分の便をチェックしよう
・排便の姿勢や拭き方で痔を防ぐ習慣を身につけたい
・出やすい便の状態にするためには食事が大切
正しい排便とはどんなこと?
排便とは、直腸におりてきた便が出ること。正しい排便とは、無理に「出す」ものではなく、便意を感じたら軽くいきむと便が「出る」状態を指します。正しい排便は、痔はもちろん、そのほかの肛門の病気の予防につながります。
肛門にやさしい「良い便」とはどんな状態?
痔の原因になるのは、硬い便、なかなか出ない便、やわらかすぎる便です。これらの「便通の異常」は、肛門に多方面から負担をかけることに。痔の原因となる便と、肛門にやさしい「良い便」はどのようなものかを知っておきましょう。
硬い便=太い。肛門への負担が大きい
便の太さは自分の親指より太い便が理想的ですが、硬い便は、太すぎることが多いもの。肛門の括約筋は、直径4〜5cmまで広がることができますが、太すぎる便が通ると肛門を傷つけることになります。
【太い便による痔のリスク】
・肛門周辺の皮膚が裂けて裂肛(切れ痔)の原因に
・強くいきむことで肛門周囲の血管がうっ血して痔核(いぼ痔)の原因に
硬い便になってしまう原因は、食物繊維の不足や水分不足などが考えられます。食事で改善することで便の質をやわらかくすることができます。
下痢などのやわらかすぎる便も痔の原因に
泥状や水のような便などで、慢性的な下痢の場合、勢いよく排便されることが肛門への負担になっています。それにより肛門の炎症を引き起こし、痔核・裂肛・痔ろうが起こりやすくなります。
自分の便の形や状態をチェック
痔を予防・改善するためには、肛門にやさしい適度なやわらかさの便をスルッと出すこと。目安としては下の◎の状態が良いでしょう。
◎バナナのような形
▲表面がひび割れている
▲硬くてコロコロしている
▲短くかたまった硬い便
下の表であなたの便をチェックしてみましょう。

①② :硬すぎる便。強くいきむ必要があり、排便しにくい
③④⑤ :正常便の範囲。ただし、3の便だと硬くて出しにくい場合も
⑥⑦ :やわらかすぎて、下痢と判断される
意外と知らない?排便の姿勢や拭き方
排便の姿勢や排便後の習慣も、正しい排便に関係しています。便の状態以外に、日々の習慣で痔を予防できる排便の仕方を確認しましょう。
理想的な排便スタイル
便意をもよおしたら、座って軽くいきむとスルッと出るのが、正しい排便。時間的にも数十秒から3分以内ですむものです。2〜3分経って出ないようでしたら、あきらめて別の機会に。 排便時の姿勢にも正しい姿勢があるので、知っておくと便利です。

一方、下のような行動は痔の原因になるので、注意が必要です。
→直腸と肛門の角度が広がらず、便が出にくい
便意がないのに、無理にいきんで出そうとする
→肛門に負担がかかる
便意はあるが、時間がなくてガマンしてしまう
→直腸に便が長くたまって便が硬くなる
排便後に肛門付近をゴシゴシこすって拭く
→肛門付近の皮膚を傷つけて炎症の原因に
シャワーつきトイレで、強い水圧で長時間洗う
→肛門付近の皮膚を傷つけて炎症の原因に
毎日排便することより、便の状態の方が大切
排便の回数や毎日排便があるかは、気にしなくて大丈夫です。正しい排便ができているか、どんな状態の便が出ているかの方が大切です。
便をつくるのは日々の食生活
食事でとった食べ物から必要な栄養を除いて、不要になったものが便として体外へ排出されます。元をたどれば、便の材料は食べ物であり、食事によって便の状態が変わるのです。 また、1日3食規則正しく食べることで排便のリズムが整い、便意をもよおしやすくなります。 便が出ない・出にくい便秘の場合は、食生活の見直しによって改善できることが多いとされています。下痢を防ぐには、食べすぎや冷たいものをとりすぎないようにすることなどが大切です。
まとめ
痔の予防のためにも、まずは自分の便の状態をチェックし、肛門にやさしい排便を意識することからはじめてみませんか。正しい排便のためには、痔の原因となる便秘や下痢を日々の生活で防ぐことが大切です。次の記事では、日々の生活で何に気をつけた方がよいかを、食事や生活習慣の部分から見ていきましょう。
【痔の基礎知識③】痔にやさしい食事と生活習慣

松島小百合先生
2014年に北里大学医学部を卒業後、横浜市立市民病院で初期臨床研修を修了。以後、同院の消化器外科で後期臨床研修を経て、2019年より医療法人恵仁会松島病院に勤務。2021年に外来部門長を務め、2025年より副院長・常任理事に就任。
参考
「痔で悩む人の毎日ごはん」(女子栄養大学出版部)
日本大腸肛門病学会 肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版改訂第2版
松島病院大腸肛門病センター「痔核の保存的治療」
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