くらしの栄養学

【痔の基礎知識③】痔にやさしい食事と生活習慣

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監修:松島病院 大腸肛門病センター副院長 松島小百合先生

痔は食事をはじめとする生活習慣と深く関わっています。そのため、毎日の食生活や日常の過ごし方を見直すことで、再発を防いだり、症状を軽くしたりすることが期待できます。この記事では痔の原因である便秘や下痢を防ぐ食事・生活の具体的な方法を紹介します。

この記事のポイント

・1日3食規則正しい食事が基本
・食事では食物繊維や発酵食品を積極的にとろう
・水分補給やよくかんで食べる習慣を意識する

痔を予防・改善する食事のポイント

正しい排便のために、食事でできることはいろいろあります。日常的に無理なくできそうなことから試したいもの。具体的な食事やレシピは「痔と食事」ページでも紹介しています。

ポイント1 1日3食、規則正しく

1日3食規則正しい食事は、健康的な生活の基本です。食事を抜くことは便秘の原因とされており、厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査報告によると、特に働き盛りの世代は朝食を抜いている人が多いことがわかっています。朝起きて何か食べ物を胃に入れることで、胃腸の活動がスタートし、その後の排便へとつながりやすくなることが期待されます。

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ポイント2 野菜やきのこ、海藻、穀物などから食物繊維をとる

食物繊維は便秘の予防や、腸内環境を整えるうえで、痔に悩む方には欠かせない栄養素です。実際、日本人は食物繊維が不足がちなので、食事や間食、飲み物などで意識してとりたいもの。 食物繊維には水溶性、不溶性の2種類あります。

水溶性食物繊維:便に水分を含ませる
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不溶性食物繊維:便の量を増やし、腸のぜん動運動を活発にして排便を促す
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便秘の方は水溶性食物繊維をとるよう心がけます。不溶性食物繊維の多い食材を食べるときは水分も一緒にとるなどの工夫で、いろいろな食材からバランス良く取り入れるとよいでしょう。

主食でとるなら…
・ご飯は麦ご飯にすると食物繊維アップ。コンビニのもち麦おにぎりなども◎
・麺類の中では食物繊維を多く含むそばがおすすめ
おかずでとるなら…
・肉・魚料理なら野菜や根菜、きのこ入りにする
・豆腐や厚揚げなど大豆食品でもOK
あと1品に便利なのは…
・みそ汁やスープの具をきのこ、わかめ、野菜類に
・納豆、冷奴などの大豆食品をプラス
間食や飲み物でとるなら…
・干しいもや焼きいも
・バナナやカットフルーツなど手軽にとれるくだもの
・豆乳、フルーツジュース、野菜ジュース

ポイント3 発酵食品を取り入れる

納豆やキムチ、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌には、腸内環境を整える働きが期待できます。そのまま食べられる食品も多いので、普段の食事に1〜2品プラスする習慣をつけるのがおすすめです。

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ポイント4 よくかんで食べる

よくかんで食べることは、食べ物の消化を助け、便秘解消にもつながります。よくかまないと食べたものがきちんと消化されなかったり、食物繊維の働きも十分に発揮できなかったりします。かむ回数の目安はひと口につき30回といわれていますが、まずは今より多くかむことを意識することからはじめてみましょう。

ポイント5 刺激の強いものをとりすぎない

唐辛子などの辛い香辛料をとりすぎると、便の中に刺激成分が残って、排便時に肛門に刺激を与えることがあります。痔の症状があるときは、激辛メニューは控えるのがベター。

痔の予防・改善につながる日常生活のポイント

食事以外にも、普段の生活で気をつけたいことがいくつかあります。特に水分補給は意識して行うとよいでしょう。

1日1.5リットル程度の水分補給を

体内の水分が足りないと、便に含まれる水分が減り、硬い便の原因に。便通を改善するためには1日1.5リットル程度の水分(食事からとる水分を除く)をとることが望ましいとされています。 水分を一気にまとめてとっても腸では吸収されにくいので、こまめにとることが適度な水分を含んだ便にするポイントです。 飲み物の種類は、カフェインを含まないものを。カフェインは利尿作用があるため、飲んだ以上に尿として排出されてしまうからです。 4512

アルコールの飲みすぎには注意

飲酒も排便に関係します。飲酒により軟便や下痢になることが多いですが、便秘になる場合もあります。痔核や裂肛の方は、アルコールの飲みすぎにも注意が必要と「肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン」には記載されています。

座りっぱなしにならないようにしよう

長時間座った姿勢でいると、おしりに体重がかかり、肛門周りの血流が悪化します。適度に動く、歩くなどで体を動かすようにしましょう。

体を冷やさないようにする

体が冷えると肛門周辺の血管が収縮して、うっ血が起こりやすくなります。冬の寒さだけでなく、夏はエアコンの冷えもあるので、体を冷やさないように意識したいもの。入浴時は湯船につかるようにする、適度な運動で体を温める、保温グッズを使うなどの工夫で、体を冷やさない対策を。

疲れやストレスをためない生活も大切

疲れやストレスは、細菌に対する抵抗力が下がる原因になります。痔ろうなどの肛門の炎症の原因になる可能性もあるので、休息やリラックスする時間をとることを心がけましょう。

まとめ

食事や生活習慣を意識しつつ、改善しない場合には、医療機関による治療が必要です。また、痔ろうのように手術で治療する痔もあります。次の記事では、病院ではどんな検査や治療をするのか、痔の種類別の治療法について解説します。
【痔の基礎知識④】病院での痔の診察・治療について

松島病院 大腸肛門病センター 副院長
松島小百合先生
2014年に北里大学医学部を卒業後、横浜市立市民病院で初期臨床研修を修了。以後、同院の消化器外科で後期臨床研修を経て、2019年より医療法人恵仁会松島病院に勤務。2021年に外来部門長を務め、2025年より副院長・常任理事に就任。

松島病院 大腸肛門病センターホームページ

参考
「痔で悩む人の毎日ごはん」(女子栄養大学出版部)
日本大腸肛門病学会 肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版改訂第2版
松島病院大腸肛門病センター「痔核の保存的治療」
厚生労働省 令和5年国民健康・栄養調査報告
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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士