くらしの栄養学

潰瘍性大腸炎・クローン病の食事管理|寛解期・再燃期の食べ方のコツを管理栄養士が解説

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「おなかの調子が悪い日が続いている…」

「食事のたびに気をつけることが多くて、疲れてしまう」

潰瘍性大腸炎やクローン病と向き合いながら毎日食事をすることは、想像以上に神経を使いますよね。

毎年5月19日は「世界IBDデー」。IBDとは炎症性腸疾患のことで、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの病気を指します。この日は両疾患への理解を深め、患者さんを社会全体で支えることを目的に、世界中でさまざまな啓発活動が行われています。今回は、おいしい健康の管理栄養士が「食事の実践編」として、寛解期・再燃期それぞれの食事のポイントや、日常で意識したい栄養素をお伝えします。

IBDと食事の関係

IBDは「食事が原因でなる病気」ではありません。ただ、食事の内容や食べ方によって症状が悪化したり、逆に腸への負担を減らして体調を整えやすくなったりすることがわかっています。

「この食材は絶対にNG」とはっきり言えないのがこの病気の難しいところ。個人差が大きく、同じ食材でも患者さんによって影響が異なります。

まずは自分の体と相談しながら、少しずつ心地よい食事スタイルを探していきましょう。

寛解期(症状が落ち着いているとき)の食事のポイント

症状が落ち着いている寛解期は、特定の食材を厳しく制限しすぎず、バランスよく食べることが大切です。制限のしすぎは栄養不足につながることもあります。

寛解期の食事ポイント
✓ 主食・主菜・副菜をそろえ、バランスのよい食事を心がけましょう
✓ たんぱく質(肉・魚・卵・豆腐など)をしっかりとり、腸の粘膜の修復をサポートしましょう
✓ 脂質のとりすぎに注意。揚げ物や脂の多い肉類は量を加減してみましょう
✓ 辛い料理・アルコール・炭酸飲料は腸を刺激するため、ほどほどに
✓ 食物繊維は適量を。ごぼうやこんにゃくなど不溶性の食物繊維が多いものは食べすぎに注意しましょう

再燃期(症状が出ているとき)の食事のポイント

腸に炎症が起きているときは、消化しやすく腸に負担の少ない食事を選びましょう。症状がつらいときは無理せず、医療機関に相談することも大切です。

再燃期の食事ポイント
✓ 消化しやすいもの(おかゆ・やわらかく煮た野菜・豆腐など)を選びましょう
✓ 脂質は特にしっかり控えましょう(揚げ物・炒め物・脂身の多い肉は避けましょう)
✓ 食物繊維の多いもの(ごぼう・きのこ・こんにゃく)は一時的に控えましょう
✓ 香辛料・からしなど刺激の強いものは避けましょう
✓ 水分補給をこまめに。下痢が続く場合は脱水に注意しましょう

IBDの方がとりたい栄養素

IBDの患者さんは、下痢や食欲低下などにより特定の栄養素が不足しやすい傾向があります。以下の栄養素を意識してみましょう。

難しく考えなくて大丈夫です。まずは「やわらかく調理する」「脂の少ない食材を選ぶ」といった小さな工夫から始めてみましょう。

  • たんぱく質(卵・豆腐・白身魚・鶏ささみなど)
    腸の粘膜の修復や、体を作るのに欠かせない栄養素です。
  • 鉄(レバー・赤身肉・大豆製品・小松菜など)
    慢性的な出血や吸収低下により不足しがちです。
  • カルシウム(牛乳・ヨーグルト・豆腐・小魚など)
    ステロイド治療中の方は骨の密度が低下しやすいため、とくに意識しましょう。
  • 亜鉛(かき・肉類・大豆など)
    免疫機能の維持や粘膜の修復に関わります。
  • ビタミンD(さけ・まいわし・卵黄・きのこ類など)
    骨の健康維持に加え、免疫の調整にも関わることがわかっています。

食事で意識したい工夫

  • 1回の食事量を少なめにして、回数を増やす(1日4〜5食)と腸への負担が分散されます
  • よくかんでゆっくり食べることで、消化の負担を減らせます
  • 食事日記をつけて、自分が症状を感じやすい食材を把握しておくのもおすすめです
  • 極端な食事制限は栄養不足につながります。主治医や管理栄養士にご相談しながら進めましょう

管理栄養士が選ぶ!IBDの方にやさしいおすすめレシピ3選

腸に負担が少なく、必要な栄養をしっかりとれるレシピを管理栄養士が選びました。

【レシピ1】炊飯器で作るやさしいチャーハン

材料を炊飯器に入れるだけで完成。油を控えめにでき、鉄やカルシウムも補えます。

【レシピ2】電子レンジで作るじゃがいものソテー

電子レンジで下ごしらえするので少量の油でOK。消化しやすくやさしい味わいです。

【レシピ3】ギリシャヨーグルトのティラミス風

脂質を抑えつつたんぱく質もとれるデザートです。電子レンジだけで完成するお手軽さも魅力。

おいしい健康アプリの活用法

📱 こんな使い方ができます

レシピ検索|「脂質控えめ」「やわらかい」などの、体にやさしいレシピを探せます

プロフィール設定|プロフィールを「潰瘍性大腸炎(寛解期)」「クローン病(寛解期)」で登録すると、あなたの状態に合ったレシピが優先的に表示されます

食事記録|脂質・たんぱく質・食塩摂取量などを毎日の記録でチェックできます。数値で見えると、食生活の見直しがしやすくなりますよ

おわりに

IBDと向き合いながら食事をするのは、決して簡単なことではありません。でも、「腸にやさしい食事」を少しずつ取り入れていくことで、体がだいぶ楽になる場合もあります。

一度にすべてを変えなくて大丈夫。今日から1つだけ、試してみることから始めてみましょう。

食事のことで迷ったり困ったりしたときは、主治医や管理栄養士に気軽に相談してみてくださいね。おいしい健康は、みなさまの毎日の食事を応援しています。

参考

  • 厚生労働省「潰瘍性大腸炎」「クローン病」
  • 日本消化器病学会「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士