【骨粗しょう症の基礎知識②】骨の役割と強さのしくみ
公開日: 2026年4月28日

監修:東京慈恵会医科大学 整形外科学講座主任教授 整形外科部長 斎藤充先生
骨粗しょう症は「骨がもろくなって骨折しやすくなる病気」とされています。閉経後の女性に多いものの男性や若い世代でも見られ、隠れ患者数は約1600万人ともいわれています。誰でも起こりうる病気として、まずは骨粗しょう症の基本的なこと、原因やどんなサインがあるかを知っておきましょう。
この記事のポイント
・骨の中では、古い骨を壊して新しい骨を作る「骨代謝」が行われている
・骨の強さは「骨密度」と「骨質」の両方で決まる
骨の役割と、つくりを知ろう
人の体には大小200もの骨があり、骨格というフレームとなって体を支えています。その他にも生命を維持するための役割があります。
骨の主な役割
骨の役割を知っていると、骨の健康がいかに大事かに気づくきっかけになるでしょう。
1.体を支える
大小200の骨が全身を支えています。
2.臓器を守る
例えば、頭蓋骨は脳を、肋骨は心臓や肺を守っています。
3.体を動かす
筋肉と連携して体を動かします。
4.血液をつくる
骨の中心部にある骨髄では、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)がつくられています。
5.カルシウムを貯める
骨はカルシウムやリンなどのミネラルが蓄えられており、体内のカルシウム濃度が下がると骨から放出されて調整しています。
骨は「骨代謝」で生まれ変わっている
骨は外側と内側で異なる構造をしています。
・骨皮質:外側の硬い表面部分
・海綿質:内側のスポンジ状の部分
1年間で骨皮質は約7%、海綿質は約40%が入れ替わっています。古い骨は壊され、新しい骨がつくられることを「骨代謝」といいます。
骨代謝は、古くなった骨を壊して吸収(骨吸収)する「破骨細胞」と、新しい骨を形成(骨形成)する「骨芽細胞」が連携して行われます。骨代謝のバランスは年代によって変わります。
加齢や性ホルモンの減少、生活習慣の乱れなどで骨代謝のバランスがくずれると骨吸収が上回って骨量が減り、骨も弱くなってしまいます。

骨代謝はスピードが速く、その分改善効果も早い
1年間で骨皮質は約7%、海綿質は約40%が入れ替わるという骨代謝のスピードは、血管や軟骨など他の組織に比べると速いのが特徴です。そのため、歳をとっても、強くて質のいい骨を作るために意識的に取り組めば、早めに改善でき、維持することも可能なのです。
骨の強さを決めるのは「骨密度」と「骨質」
かつては骨の強さを決めるのは、「骨密度(骨量)」で判断されていましたが、今は「骨質」も重要だと考えられています。
骨密度と骨質の関係
骨密度は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの詰まり具合を示す指標です。一般的に骨密度が高いほど、骨は硬くて強いとされますが、骨質がよくないと折れやすくなることがあります。
骨質とは、骨皮質に並ぶ棒状のコラーゲンの状態で左右されます。骨のしなやかさを担いますが、低下すると、折れやすくなります。
骨のつくりは、下のようなコンクリートと鉄筋の関係に例えるとわかりやすいでしょう。

骨質を左右する「善玉架橋®︎」「悪玉架橋®︎」
骨の中のコラーゲンは、上の図の鉄筋にあたりますが、さびてしまうと骨質が低下し、骨が弱くなってしまいます。
骨の中のコラーゲンは、骨代謝により生まれ変わりますが、コラーゲン同士を梁のようにつなぐ「架橋」という部分に、さびがたまってしまうことが原因とされています。
架橋には「善玉」と「悪玉」の2種類があり、健康的な骨は善玉架橋が多く、悪玉架橋が少ない状態になります。
【善玉架橋】
・秩序正しく形成し、コラーゲン同士を適度につなげる
・適度な弾力を保ちながら骨をしなやかに強くする
・骨形成の骨芽細胞から分泌される酵素の働きでつくられる
・中高年の頃から徐々に減少
【悪玉架橋】
・無秩序に増加し、コラーゲン同士をコチコチにつなげる
・骨を過剰に硬くして陶器のようにもろくしてしまう
・酸化ストレスや血糖値の高い状態が続くことで生じる

骨密度と骨質で判断する骨粗しょう症の3タイプ
骨粗しょう症は、骨密度と骨質の状態によって、3つに分類できます。
1.骨質劣化型
骨密度は高く、骨質が悪い
2.低骨密度型
骨密度が低く、骨質が良い
3.低骨密度+骨質劣化型
骨密度が低く、骨質が悪い
骨密度しか測らない骨粗しょう症検査では、骨質の劣化に気づかない場合があります。骨密度が高くても1の「骨質劣化型」の骨粗しょう症の可能性があるので、骨質まで検査するのがおすすめです。
骨を強くするために!年代別の心がまえ
骨粗しょう症を防ぐために、若い頃は骨量を増やし、骨貯金をしておくことが、将来の骨粗しょう症リスクを減らせます。中高年でも、骨の強化はできるだけ早くはじめ、続けることが大切です。
〜30代
骨密度(骨量)は、20歳前後まで増え続け、20〜30代でピークを迎えます。この時期に、いかに骨量を増やせるかの「骨貯金」をしておくのがカギ。食事や運動などの生活習慣で維持しましょう。また、無理なダイエットで骨量が減ることがあるので注意が必要です。
40〜50代
骨量は維持されていますが、徐々に低下していく頃。女性は閉経後の急激な骨量減少に備え、食事や運動の見直しを。男性も喫煙や飲酒、食生活、運動不足などで骨量が低下することを知っておき、思いあたる場合は改善を。
60代〜
骨量は低下し、骨折のリスクが上がる時期。定期的な骨粗しょう症の検査で自分の骨の状態を知っておきましょう。栄養バランスの良い食事や無理のない運動も、筋力維持による骨折予防のうえで大切です。
まとめ
骨密度や骨質の良い状態を維持することが大切ですが、自分で骨の状態を把握するのは難しいもの。閉経後の女性、60代以上の男性で自分の骨の現状がわかっていない場合は、検診や人間ドックなどで調べておくと良いでしょう。次の記事では骨粗しょう症の検査や治療の流れについて解説します。
【骨粗しょう症の基礎知識③】骨粗しょう症の検査と治療のプロセス

斎藤充先生
東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授。同大附属病院整形外科・診療部長。1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で世界を牽引する。
参考
「100年骨」(サンマーク出版)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版
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