【骨粗しょう症の基礎知識④】骨粗しょう症を防ぐ、食事や運動などの生活習慣
公開日: 2026年4月28日

監修:東京慈恵会医科大学 整形外科学講座主任教授 整形外科部長 斎藤充先生
日常生活でも食事や運動などで、骨の強さを守り、骨粗しょう症を防ぐことが期待できます。また、骨粗しょう症の方は治療と一緒に生活習慣の改善を続けていくことが大切です。この記事では、生活習慣のポイントを紹介します。
この記事のポイント
・塩分や加工食品のとりすぎはカルシウム吸収を妨げる
・喫煙、お酒の飲みすぎ、睡眠不足は骨代謝に悪影響
・女性は閉経後、男性は60歳になったら、年1回の骨チェックを
骨は毎日の食事でつくられる
骨の主材料であるカルシウムをとれるだけでなく、骨の中のコラーゲンの質に関わるのも食事になります。毎日の食生活を整えて、骨の健康を維持しましょう。
※具体的な食品や食べ方などは「骨粗しょう症と食事」ページ参照
カルシウムはビタミンDと一緒に
骨量を維持するために必要な栄養素として、骨の原料であるカルシウムが必要です。また、カルシウムを腸管からしっかり吸収させるにはビタミンDが欠かせません。両方を意識してとることが大切です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、男性750〜800mg、女性600〜650mgがカルシウムの推奨量(年代により異なる)とされています。
また、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」では、骨粗しょう症の治療のために推奨されるカルシウムの摂取量は700〜800mgとされています。
・乳製品
・小魚
・大豆食品
・青菜
不足しているビタミンDの補い方
カルシウムと一緒にとりたいビタミンDですが、厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査報告によると、ビタミンDの摂取量の平均値は6.9μgであり、これは骨粗しょう症の治療に推奨される15〜20μgの半分以下です。
ビタミンDの量は食品表示にも記載されていないことが多く、含まれている食品を知っておくことがとり方の目安になります。
・さば、あじ、鮭、まぐろ、さんまなどの良質な脂質が多い魚
・卵
・しいたけ、エリンギなどのきのこ類
サプリメント摂取の注意点
カルシウムはサプリメントでとる方法もありますが、過剰摂取は不整脈、腎機能不全、血管・軟組織の石灰化からの心臓病の発生など、健康へのリスクが報告されています。そのため食べ物でとれるのが理想です。
また、ビタミンDのサプリメントもありますが、薬物治療中の方はビタミンDの薬を処方されている場合もあるので、治療中の方は医師に相談してください。
骨の強化に関わる栄養素は様々
骨のために必要な栄養素は、カルシウムとビタミンDだけではありません。骨の形成、骨のコラーゲンの質を高める、骨折予防などにおいて、食事から骨の強化をサポートすることができます。
例えば、骨の鉄筋にあたるコラーゲンですが、骨のコラーゲンの成分がたんぱく質です。たんぱく質は体重1kgあたり1g程度の摂取が必要とされています。ちなみにコラーゲンだけをたくさんとればいいというわけではありません。
骨のコラーゲンのサビ(酸化)を防ぐためには、酸化ストレスの原因となる「ホモシステイン」という物質の血中濃度を下げることがポイントです。そのため、ホモシステインの代謝に関わるビタミンB6,12、葉酸なども一緒にとりたい栄養素です。
・たんぱく質:骨のコラーゲンの成分 肉、魚、大豆食品、卵、乳製品などに含まれます。骨の強化にはカルシウムやビタミンDも含む魚を積極的にとると◎。
・ビタミンK:血中のカルシウムを骨に沈着させる 納豆に多く、手軽にとれるのでおすすめ。ほうれん草や春菊などの緑の野菜にも含まれます。
・ビタミンC:骨のコラーゲンの合成に必要 ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類などに含まれます。
・ビタミンB6:骨代謝をサポート 鶏ささ身、赤身の魚、バナナなどに含まれます。
・ビタミンB12:骨代謝をサポート レバー、貝類などに含まれます。
・葉酸 骨代謝をサポート レバー、ほうれん草、枝豆、ブロッコリーなどに含まれます。
・マグネシウム:骨代謝をサポート 大豆、ひじき、アーモンドなどに含まれます。
これらの栄養素を全部意識して、毎日の食事に取り入れるのは難しいでしょう。
食事のポイントは、主食ばかりに偏らないように、肉、魚介、大豆食品、野菜、海藻類など、いろいろな食品を取り入れることです。栄養バランスの良い食事にすることで、自然に補えるようになります。
続けることが大切なので「肉が続いているから魚にしよう」「野菜を多めにしよう」「納豆をプラスしよう」など、無理なくできることから試してみましょう。
塩分や加工食品はカルシウムの吸収を妨げる
骨の健康のために、注意したいのがカルシウムの吸収を妨げる塩分や加工食品のとりすぎです。日本人は塩分とりすぎの傾向があり、その他の病気の予防のためにも意識したいもの。
また、加工食品に含まれるリン(リン酸塩)は、カルシウムの吸収を阻害するので、食品表示を見て確認するのがベター。ハムやソーセージ、練り物などに含まれています。
自分に必要なエネルギー量の食事も大切
やせすぎや肥満は骨折のリスクにもつながるので、自分に必要なエネルギー量をとり、栄養バランスの良い食事により体重管理ができると良いでしょう。
家庭でもできる骨粗しょう症予防の運動
運動は、骨を強くすることと、骨折予防において有効です。運動には、骨のコラーゲンの悪玉架橋®︎を増やさずに善玉架橋®︎を増やすことがわかっています(悪玉架橋、善玉架橋については骨粗しょう症の基礎知識2参照)。中でも骨に体重をかけるような運動が骨質を改善するといわれています。
運動で注意したいのが、転倒による骨折。たとえば、かかとを刺激する「かかと落とし」のような、骨に衝撃を与える運動は、衝撃やバランスを崩して転倒するなどの骨折リスクもあるので、転倒しないよう配慮が必要です。
また、転倒を防ぐ点では、バランス運動、筋力トレーニングも行うことがすすめられます。
家庭でできる簡単な体操からはじめよう
短時間で行え、簡単で安全に取り入れやすい体操が続けやすくておすすめです。
①うつぶせ背筋体操
★背筋を鍛えて「いつのまにか骨折」を予防
中高年になったら背骨が曲がらないように背筋力を維持することを意識したいものです。※背骨の曲がりが強く、うつぶせになれない方は「じわじわ10秒背伸ばし」を行ってください。
1.うつぶせになって、胸の下あたりにタオルや座布団などをはさむ
2.気をつけの姿勢で背筋を使い、上半身をゆっくり10cmぐらい持ち上げる
3.そのまま5〜10秒キープし、ゆっくり下ろす。1日10回を目安に行う

考案:秋田大学 宮越尚久教授
②じわじわ10秒背伸ばし
★背骨と背筋のストレッチ
背骨を勢いよく伸ばすのではなく、じわじわと時間をかけて曲げることがポイントです。背筋を伸ばす効果だけでなく、腰痛の軽減にもなります。
1.背もたれのある椅子に深く座り、背もたれに背中をつけて、両手を天に向けてまっすぐ伸ばす。上から引っ張られているイメージで行う
2.10秒を2〜3セット、朝昼晩行う

③ダイナミックフラミンゴ体操
★転倒しにくい足腰をつくる
片足で立つことで負荷を与える荷重運動。バランスが崩れて転倒しないよう、椅子や机などに軽く手をついて行います。
1.自然に立ち、目を開けたまま片方の足を軽く5cmほど上げる
2.1分間キープ
3.反対の足も同様に行う。左右1分間ずつ、朝昼晩行う

考案:昭和大学 阪本桂造客員教授
喫煙、飲酒、睡眠など生活習慣での心がけ
喫煙、お酒の飲みすぎはカルシウムの吸収を妨げるので避ける
喫煙は骨に対してもデメリットがあります。女性ホルモンの働きを悪くする他、腸管でのカルシウムの吸収を抑制して尿への排泄を促します。
お酒の飲みすぎも、カルシウムの吸収を妨げるので、節酒を心がけたいものです。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足や睡眠障害は骨量の減少を招きます。眠らないと夜間の成長ホルモンの分泌低下、メラトニンの低下によって破骨細胞の働きに抑制がかからず、骨量が減少します。
日光浴でビタミンDを生成
適度な日光(紫外線)を浴びることで、皮膚でビタミンDの生成が促進されます。
定期的な検査や受診のすすめ
日常生活のポイントを抑えつつ、定期的に骨の検査を行うのがベスト。閉経後の女性、60歳以上の男性は、年1回の検診を。人間ドックのオプションや、骨ドックといった、より専門的な検査を行える施設を利用するのもおすすめです。
まとめ
骨粗しょう症の予防も治療も、普段の生活でできることはいろいろあります。骨は代謝によって常に生まれ変わっているので、大切なのは継続すること。強い骨を維持するために無理のない方法を探していきましょう。

斎藤充先生
東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授。同大附属病院整形外科・診療部長。1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で世界を牽引する。
参考
「100年骨」(サンマーク出版)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告
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