【骨粗しょう症の基礎知識③】骨粗しょう症の検査と治療のプロセス
公開日: 2026年4月28日

監修:東京慈恵会医科大学 整形外科学講座主任教授 整形外科部長 斎藤充先生
骨粗しょう症かどうか調べたいと思ったとき、どこでどんな検査をすればいいのでしょうか?また、診断された場合の治療法も気になります。この記事では検査の種類や治療法、薬の種類などを解説します。
この記事のポイント
・骨密度だけでなく、骨質も調べるのが望ましい
・軽度なら生活習慣の改善から。必要に応じて薬物治療を併用
・治療を続けることが骨折予防のうえで大切
骨粗しょう症の主な検査方法
病院(整形外科、骨粗しょう症専門外来、内科、婦人科)での検査、自治体の骨粗しょう症検診、人間ドックのオプションなどで、骨粗しょう症でないかを調べることができます。閉経後の女性、60歳以上の男性は、年1回は定期的に調べておくと良いでしょう。
以下のような検査をすると、自分の骨の状態を把握でき、適切な診断や治療を受けやすくなります。例えば、骨密度しか調べていない場合、骨密度は正常でも、骨質の劣化や骨折に気づかない場合などがあるからです。※検査方法は医療機関によって異なります。
検査①骨密度を調べる
骨密度の検査で一般的な方法が、腰椎、大腿骨の骨密度を測る「DXA(デキサ)法」です。その他に手指で測る「MD法」、かかとで測る「超音波法」といった簡易的な検査もありますが、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」の診断手順としてはDXA法が記載されています。
DXA法
腰椎(背骨の腰に近い部分)、大腿骨近位部(足の付け根)にレントゲンを使って測定する方法。
スキャンデータを計算し、骨成分だけを算出。測定値を若い健康な女性の平均値と比べて(Tスコア)分類します。
【Tスコア※の数値】
80%以上 正常
70〜79% 骨量減少(骨減少症)
70%未満 骨粗しょう症
※Tスコア=20〜44歳までの健康女性の平均値(YAM値)を100として、その何%にあたるかを比べた数値。
検査②「いつのまにか骨折」をしていないか調べる
「いつのまにか骨折(椎体圧迫骨折)」とは、背骨がもろくなってじわじわとつぶれるように骨折している状態をさします。痛みを感じないまま、いつのまにか骨折していることから、このように呼ばれています。胸椎・腰椎のレントゲン検査で調べます。
若い頃から身長が2〜4cm縮んでいる方は、いつのまにか骨折の可能性があるので、早めの受診をおすすめします。
検査③骨の代謝の状態を調べる
血液検査と尿検査で調べます。「骨代謝マーカー」を調べることで、骨形成や骨吸収の「骨代謝」の変化や、骨質が推定できます。
検査④骨に必要な栄養素の過不足を調べる
骨に必要な栄養素であるカルシウム、カルシウムの吸収に必要なビタミンD、リンがどれぐらいあるかを血液検査で調べます。
軽度の骨粗しょう症の場合は生活習慣の改善から
骨折がなく、DXA法で骨密度がやや低下している骨量減少の方でしたら、生活習慣の改善が治療の第一歩です。食事、運動や生活習慣の見直しで改善を目指します。
※詳しくは骨粗しょう症の基礎知識④を参照。
骨折の予防のためには、薬による治療も行う
生活習慣の改善だけでは骨密度の低下を防ぎきれない場合や、骨折の有無や過去に骨折をしたことがある場合など、医師が骨折を防ぐために薬を使用した方がいいと判断した場合は、薬物治療も一緒に行います。
薬物治療のポイント
骨粗しょう症の薬にはいろいろな種類があり、中には半年や年1回の投薬ですむ薬もあります。骨は常に代謝により生まれ変わっているので、改善しても薬の治療を続けることが重要です。医師の指示に従って、自己判断でやめないようにしましょう。
骨粗しょう症の薬にはいろいろなものがある
骨粗しょう症の治療の目的は、骨を強くして骨折を防ぐこと。そのために検査で骨の状態を把握し、一人ひとりに合わせた薬を使用します。
骨吸収を抑える、骨形成を促進する、骨に必要な栄養素を補うといった薬の作用と、年齢や持病などを考慮して、医師が適した薬を処方します。
飲み薬、点滴、注射など様々な薬があり、頻度も毎日のものから年1回のものなど、多種多様。医師と相談して決めていきます。
骨吸収を抑える薬:女性ホルモン薬/ビスホスホネート薬/ SERM(サーム)/カルシトニン薬/デノスマブ
骨形成を促進する薬:テリパラチド/アバロパラチド
骨吸収抑制+骨形成促進の2つの働きをもつ薬:ロモソズマブ
骨に必要な栄養素を補う薬:カルシウム薬/ビタミンDおよび誘導体(活性型ビタミンD3薬)/メナテトレノン(ビタミンK2)※ワーファリン服薬中の方には使用しない
薬と上手につき合いながら、生活習慣も意識したい
薬物治療をはじめたら、続けていくことが基本になります。薬の種類も多く、患者さんに合わせた治療が可能となっているので、上手につき合いながら骨折しにくい、強い骨を維持していきたいものです。
ただし、薬を使っているからといって食事や運動などの生活面で何もしなくていいというわけではなく、生活習慣の改善と併せて取り組みましょう。
骨折を伴う骨粗しょう症の場合の治療
検査により骨折がわかった場合や、骨折をきっかけに骨粗しょう症に気づいた場合は、骨折の治療を優先的に行います。骨折が治ってからも次の骨折を引き起こさないよう、予防のための治療は続けます。
いつのまにか骨折の治療の流れの一例
背骨の骨折(いつのまにか骨折)があるときは、手術をすることもあります。
手術をしない場合では痛みが軽くなるまで安静にし、痛みが軽くなる頃からリハビリを始めます。
自宅でも治療はできますが、入院して治療することもあります。
痛みが軽減し、動けるようになるまで1ヶ月程度が目安といわれていますが、その後も2ヶ月間ぐらいは無理をしないように過ごします。3ヶ月経っても痛みが続く場合は薬の変更や追加、手術などを検討します。
ドミノ骨折を防ぐ生活習慣の改善や治療の継続を
骨粗しょう症では、骨がもろくなっているのでいつのまにか骨折がきっかけとなって、連鎖的に骨折が続いてしまうことが知られています。この状態を「ドミノ骨折」と呼びます。次の骨折を予防するための治療を継続することが大切です。
まとめ
骨粗しょう症は軽度で気付けば、生活での対策が立てやすい病気です。また、骨粗しょう症だったとしても正しい治療で強い骨を維持することが可能です。危険なのは気づかず放置しておくこと。閉経後の女性、60代以上の男性は、年1回は定期的な検査を受けて骨の状態を確認しましょう。次の記事では日常生活での骨粗しょう症の予防方法について解説します。
【骨粗しょう症の基礎知識④】骨粗しょう症を防ぐ、食事や運動などの生活習慣

斎藤充先生
東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授。同大附属病院整形外科・診療部長。1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で世界を牽引する。
参考
「100年骨」(サンマーク出版)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版
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