くらしの栄養学

短腸症候群(SBS)の食事はどうすればいい?栄養の基本を押さえよう

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小腸の広範囲の切除や、先天性の短小腸により、栄養素の吸収が難しくなる短腸症候群。何を、どう食べればいいのか、基本をわかりやすく解説します。

1. 短腸症候群とは

短腸症候群(SBS)は、手術などにより腸管が大きく切除された結果、栄養素や水分を十分に吸収できなくなる病態です。残った腸の長さや、結腸(大腸)が残っているかどうかによって、食事の注意点が大きく異なります。

患者さんのタイプは大きく3つに分かれます。

Ⅰ型:空腸瘻型
結腸、回腸、空腸の一部を切除して人工肛門があるタイプ

Ⅱ型:空腸・結腸吻合型
回腸と回盲弁を切除して空腸と結腸を吻合したタイプ

Ⅲ型:空腸・回腸吻合型
空腸と回腸の一部を切除して、空腸と回腸を吻合したタイプ

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食事の方針はタイプによって変わるため、必ず医療関係者と相談しながら進めましょう。

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2. 三大栄養素の摂り方

■ たんぱく質
特別な制限をせず、良質なたんぱく質をしっかり摂ることが基本です。エネルギー比率の目安は20〜30%。肉・魚・卵・豆腐・乳製品などが適しています。ただし脂質が多いバラ肉やトロなどは摂りすぎに注意しましょう。※1※2

■ 脂質
脂質はエネルギー比率20〜30%を目安に摂取します。種類によって体への働きが異なります。※1※2

長鎖脂肪酸:
腸管順応★を促す働きがあります。(★腸管順応とは、残った腸管がより多くの栄養素や水分を吸収できるように変化すること。)
・n-6、n-9系脂肪酸<オリーブ油・サラダ油・米油に含まれています>
・n-3系脂肪酸※3<DHAやEPAなどのn-3系脂肪酸には抗炎症作用が期待されています。特に青魚に多く含まれています。>

中鎖脂肪酸(MCTオイル)※2:
すばやく消化・吸収され、エネルギー源になります。熱に弱いため加熱せずに食べるのがおすすめです。少量ずつ摂取しましょう。

■ 炭水化物
エネルギー比率50%※2 を目安に、ご飯・食パン・麺類・いも類・せんべいなど、でんぷんを主体とした複合炭水化物を中心に摂りましょう。

⚠ 砂糖・果糖を使った食品に注意
砂糖やジュースなどの単純炭水化物は、腸管内の浸透圧を高め下痢の原因になります。甘味が欲しい場合はアスパルテーム・サッカリン・アセスルファムK・スクラロースなど下痢を起こしにくい甘味料を活用しましょう。食品パッケージの原材料表示で糖類を確認する習慣も大切です。

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3. 野菜・果物の上手な食べ方

野菜の基本的な食べ方
野菜はやわらかくなるまで加熱し、皮や種は取り除きましょう。 よく噛むか、細かく刻むことも大切です。

■ 避けたい食材
不溶性食物繊維※2が多い食材は、下痢や詰まりの原因になることがあります。
海藻類・豆類の皮・たけのこ など 4736

■ 取り入れたい食材
水溶性食物繊維※2を多く含む食材は、エネルギー源としても役立ちます。
さつまいも・じゃがいも・にんじん・なす・トマト・アボカド・キウイ など
◎結腸が残っているⅡ型・Ⅲ型の患者さんでは、水溶性食物繊維が腸内細菌に利用され、短鎖脂肪酸が産生されます。
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■ 果物の注意点
・果物は栄養が豊富ですが、糖分も多いため、一度に多く食べると下痢の原因になることがあります。
・少量ずつ、よく噛んで食べましょう。
・皮や種は取り除きましょう。


4. Ⅱ型・Ⅲ型の方は尿管結石に注意 ※2

結腸がある患者さんは、シュウ酸が過剰に吸収され尿管結石の原因になることがあります。予防のために、次の2点を心がけましょう。

シュウ酸の多い食品は摂取を少なめに

ほうれん草・たけのこ・キャベツ・ブロッコリー・バナナ・ピーナッツ・アーモンド・チョコレート、また紅茶・コーヒー・緑茶・ココアなどの飲み物も注意。

カルシウムと水分を積極的に摂る
牛乳・ヨーグルト・チーズ・豆腐などのカルシウムを含む食品はシュウ酸の排出を促します。また尿量1200〜1500ml/日を目安に、食事とは別の時間にこまめに水分を摂りましょう。下痢が続くときは経口補水液を。

★ 発酵食品について

小腸で吸収されなかった糖質が腸内細菌により発酵し、D型乳酸が増え血液が酸性に傾く「*D型乳酸アシドーシス」を起こすことがあります。発酵食品(ヨーグルト・漬物など)は症状を悪化させる可能性があるため、摂取量は医療関係者と相談しましょう。

*D型乳酸アシドーシスは、意識がぼんやりする、言葉がうまく出なくなる、ふらつくなど、脳や神経に関する症状があらわれることがあります。

● 安心して食べられる食材や摂取を少なめにしたい食材は患者さんによって異なります。 医療関係者と相談して、食事を楽しみましょう。

参考

※1 Nutr Clin Pract 2000; 15; 306
※2 一丸智美. 学会誌 JSPEN. 2022; 4(4-5): 175-181.
※3 日本人の食事摂取基準(2025年版)厚生労働省
※4 独立行政法人農畜産業振興機構ホームページ砂糖以外の甘味料について https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm

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編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士