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世界が認める健康食材「ナッツ」でヘルシースナッキング

【連載】食でかなえるステイヤング 第2回(文:山本二季/監修・西沢邦浩)

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若々しく健康に生きるための食を考える、健康医療ジャーナリストで元日経ヘルス編集長の西沢邦浩さん監修の連載企画。第2回は、世界的に注目されているヘルシーフード「ナッツ」です。

ナッツは、世界の食事ガイドラインで推奨されていることも多い健康食材のひとつ。これまで、ナッツと健康に関する研究が世界各地で行われ、寿命や肥満、糖尿病、心血管病、抑うつや認知症などに対する効果などがわかってきました。

しかし日本のガイドラインでは、ナッツの推奨は特にありません。そこで今回は、世界中で認められているナッツの魅力について、栄養素や研究報告とともにご紹介します。管理栄養士のおすすめレシピも、ぜひチェックしてみてください。

ナッツは世界中で推奨されている健康食材

世界の食事のなかでもナッツをしっかり位置付けているのが、健康的な食事として知られる「地中海食」。地中海食の食材を分析して、おすすめの食事頻度で分類した「地中海食ピラミッド」では、ナッツが「毎日食べるべきもの」とされており、毎日適量を取った場合に得られる効果について、さまざまな研究がいくつも報告されています。

また、カナダのフードガイドでは、植物性たんぱく質をとるための食材として、ナッツがすすめられています。

そんな、「毎日食べるべきもの」として世界から推奨されているナッツですが、日本の食事バランスガイドでは特に明記されていません。そのせいもあってか、世界に比べてナッツに関する研究も少ない。しかし世界に目を向ければ、ナッツと健康に関する研究報告はたくさんあります。その栄養素や健康効果を知り、ナッツの魅力を活かして「ステイヤング(若さを保つ)」を目指しましょう。

忙しい現代人に嬉しい、ナッツが持つ4つの魅力とは

ナッツに期待される健康効果は、世界中で行われた研究で多岐にわたることが判明しています。なかでも、ナッツを習慣的に摂取したい理由となる魅力は4つ。

ナッツの魅力 その1
現代人に不足しがちな栄養素を補える

アーモンドやピスタチオには、一価不飽和脂肪酸のオメガ9系脂肪酸(オレイン酸)、くるみには多価不飽和脂肪酸のオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)が含まれています。どちらもLDL(悪玉)コレステロールを下げる効果が期待される栄養素です(※1)。

【ナッツから補えるおすすめ栄養素①】
オメガ9系脂肪酸、オメガ3系脂肪酸
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※クリックすると拡大します

特にオメガ3系脂肪酸は、現代人の健康維持に不可欠なのに不足がちのため、積極的にとりたい成分のひとつ。悪玉コレステロールに対する効果以外にも、万病の元とされる炎症を抑制することなどが期待されています(※2)。

またナッツには、植物性のたんぱく質や食物繊維が多く含まれ、抗酸化作用が期待されるビタミンEやポリフェノールなどのほか、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれます。これらの栄養素をまとめてとれるナッツは、栄養が偏りがちな現代人にうってつけな食材です。

【ナッツから補えるおすすめ栄養素②】
たんぱく質、食物繊維、ビタミンE(α-トコフェロール)、カリウム、マグネシウム
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ナッツの魅力 その2
アーモンドには、メタボ解消と糖代謝改善の可能性がある

ナッツのなかでもアーモンドは、優秀な「メタボ解消食材」になる可能性を秘めています。56の試験を分析した研究(※3)では、アーモンドを食べることで、体重と腹囲が減少することが認められました。

また糖尿病(2型)を持つ方の主食150g分を、アーモンド56gに置きかえた研究があります(※4)。結果は、腸内環境が整い、血糖値を調整する消化管ホルモン(GLP-1)の分泌量が増加し、糖代謝が改善したとのこと。また、糖代謝だけでなく、うつスコアも改善したことが報告されています。

ナッツの魅力 その3
大量に食べなくても、肥満リスク低下などの効果が期待できる

ナッツのとりすぎによる脂質過多が心配という人も多いのでは? しかしナッツは、たくさん食べなくても健康効果が期待できる食材です。

31万人分のデータを解析した研究(※5)では、ナッツを1日28g程度食べると、さまざまな病気による死亡率が低下。肥満の方が多いといわれるアメリカの約2万人分のナッツ摂取量を記録した研究(※6)では、摂取量を1日14g増やしただけで、体重増加が抑えられ、肥満リスクが低下したこと分かりました。

28g分のナッツは、ひとつかみ程度の量です。大量に食べなくても、嬉しい効果が期待できるので、毎日でも取り入れやすいですよね。

ナッツの魅力 その4
間食として食べても効果があるという報告も

腹持ちのいいナッツは、おやつにもぴったり。朝食後、おやつとしてアーモンドとビスケットを食べて比較した研究(※7)では、アーモンドをとった場合のほうが、昼食後の血糖値の上昇がなく、食欲も上がりにくいという結果に。

ほかにも、くるみ29gを食べて、90分後にビュフェ形式の食事をしたときの満腹感や栄養摂取量を、グミと比べた研究(※8)があります。結果は、食前にくるみを食べると満腹感がアップし、グミよりも脂質、食物繊維、ナトリウムが抑えられることがわかりました。

食事でつい食べ過ぎてしまう方や、忙しくて朝昼晩の食事メニューを考えられない方は、間食としてナッツを取り入れるのもおすすめです。

健康のために、ナッツを少しずつでも取り入れてみましょう

海外のガイドラインで「毎日とるべき食材」として推奨され、オメガ3系脂肪酸や食物繊維などの不足しがちな栄養素が補えるナッツ。たくさん食べなくても、さまざまな健康効果が期待でき、気軽に取り入れられる食材です。朝昼晩の食事だったらサラダなどに散らしたり、間食で食べてみたりするのはいかがでしょうか。

管理栄養士おすすめ!ナッツレシピ3選

かぼちゃとアーモンドのサラダ
ビタミンA・C・Eを含むかぼちゃを使ったサラダ。クリーミーでほんのり甘く、アーモンドのカリッとした食感がよく合います。
オートミールで ナッツ入りキャラメルバナナブレッド
ステビアヘルス(ブラウン)の特徴はカラメル化できること。ほろ苦さとバナナの甘さが絶妙な、食物繊維のとれるブレッドです。
ベリーとナッツのヨーグルトバーク
ヨーグルトに、彩りよくフルーツとナッツをトッピングして凍らせるだけの簡単デザート。

[最近、ナッツのアレルギーになる方が増えています(※9)。ナッツを食べて口が腫れたり、違和感を感じたりした場合は、医師に相談しましょう。また、健康のためにと、過剰に食べたりせず、ほどほどの量を食べることをおすすめします]

※1:e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」
※2:長竹貴広, 國澤純:生物工学.2020;98(10):544-548.
※3:Li H, et al.:Nutr Metab (Lond). 2018;15:46.
※4:Ren M, et al.:Nutrients. 2020;12(10):3036.
※5:Aune D, et al.:BMC Med. 2016;14(1):207.
※6:Liu X, et al.:BMJ Nutr Prev Health. 2019;2(2):90-99.
※7:Brown R, et al.:Int J Environ Res Public Health. 2021;18(20):10989.
※8:Wilson T, et al.:J Med Food. 2022;25(1):89-96.
※9:消費者庁(令和4年3月)「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」

<参考>
Queensland Government, Mediterranean-style diet
Canada’s food guide
農林水産省, 「食事バランスガイド」について

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監修
西沢 邦浩さん
早稲⽥⼤学卒業。⼩学館を経て、91年⽇経BP社⼊社。98年『⽇経ヘルス』創刊と同時に副編集長に着任。2005年より編集⻑。08年に『⽇経ヘルス プルミエ』を創刊し編集長をつとめる。2014年⽇経BP総研 マーケティング戦略研究所上席研究員、16年より同主席研究員。2018年4⽉より⽇経BP総研 メディカル・ヘルスラボ客員研究員。ほかに、同志社⼤学⽣命医科学部委嘱講師、⽇本腎臓財団評議員などを務める。 著書に、『⽇本⼈のための科学的に正しい⾷事術』(三笠書房)など。


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編集:おいしい健康編集部
文:山本二季
監修:西沢邦浩
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