くらしの栄養学

がん治療中の食事|食欲がないときに食べやすいものと食べ方の工夫

4678

治療を続けながら「食欲がない」「何を食べても気持ちが悪い」……そんな状態が続くと、食事がつらくなってしまいますよね。

がんの治療中は、抗がん剤や放射線治療などの影響で、食欲不振・吐き気・口内炎・味覚の変化といった症状が現れることがあります。栄養が大切だとわかっていても、「食べたくない」「食べられない」という日が続くのは、決して珍しいことではありません。

今回は、そんなときでも少しでも食べやすくなるための工夫を、具体的にお伝えします。まずは「食べられるものを食べる」というところから、一緒に考えていきましょう。

なぜ、がん治療中は食欲が落ちるの?

がん治療中の食欲不振には、いくつかの原因が重なっていることがほとんどだと言われています。

食欲が落ちる主な原因

  • 抗がん剤・放射線治療による吐き気・嘔吐
  • 口内炎や口の乾燥(唾液の減少)
  • 味覚・嗅覚の変化(食べ物の味やにおいが変わって感じる)
  • 治療の疲れや精神的なストレス
  • 消化管の動きの変化による胃もたれ・便秘・下痢

これらの症状は、治療の種類や個人差によって大きく異なります。「なぜ食べられないのか」を知っておくと、自分に合った対処法を選びやすくなりますよ。

また、食欲不振が続くと体重が減ることがあります。体力維持のためにも、「食べられるときに、食べられるものを少しずつ」という意識が大切です。

※ 治療中の栄養管理は、病状や治療の内容によって個人差が大きいため、食事について不安なことは、主治医や管理栄養士にご相談ください。

食べやすくするための工夫

ポイント1:「少量×高エネルギー」を意識する

一度にたくさん食べられないときは、1回の量を少なくして、食べる回数を増やすのがおすすめです。1日3食にこだわらず、食べられそうなときに少量ずつ食べる「分食」のスタイルにしてみましょう。その際、少量でもエネルギーを補いやすい食品を選ぶことがポイントです。

少量でエネルギーを補いやすい食品の例

  • 卵(茶碗蒸し・温泉卵・卵豆腐):やわらかく消化しやすい
  • 豆腐・豆乳:植物性たんぱく質が手軽に摂れる
  • ヨーグルト・プリン:冷たいものが食べやすい時期に◎
  • バナナ・アボカド:エネルギーが高く、噛まなくても食べやすい
  • チーズ:少量でたんぱく質とエネルギーが補える
  • ゼリー飲料・栄養補助食品:食欲がまったくないときの補助として
  • アイスクリーム:口当たりがよくエネルギー補給にも役立つ

ポイント2:においが気になるときは「冷やす」「においを抑える」工夫を

治療中は、食べ物のにおいに敏感になることがあります。においが気になって食べにくいときは、次のような工夫を試してみてください。

においを抑えるための工夫

  • 温かい料理より、冷たいまたは常温で食べる(においが立ちにくい)
  • 魚や肉の調理時は換気扇をしっかり回すか、調理者に任せる
  • しょうが・レモン・酢などでにおいをマスキングする
  • 缶詰・レトルト食品など、調理のにおいが出ない食品を活用する
  • 食事中は部屋の換気を心がける

※ 口内炎がある場合は、レモンや酢など酸味の強いものは刺激になることがあります。

ポイント3:口内炎があるときの食事の選び方

口内炎は、特に抗がん剤治療中に起こりやすい副作用のひとつです。痛みがあると食べることがつらく、ますます食欲が落ちてしまいます。

▶ 食べやすいもの

  • やわらかく煮たうどん・お粥・雑炊
  • なめらかなポタージュスープ・コーンスープ
  • 茶碗蒸し・卵豆腐・プリンなどのなめらか食品
  • ヨーグルト・豆乳・バナナ

▶ できれば控えたいもの

  • 熱いもの(痛みを刺激するため、人肌程度に冷ますとよい)
  • 酸味が強いもの(柑橘類・酢・梅など)
  • 辛いもの・刺激の強い調味料
  • 硬いもの・パサつくもの(パン・せんべいなど)

温度は「人肌程度」が口内炎にはやさしいです。熱すぎず、冷たすぎない状態を意識してみてくださいね。

ポイント4:味覚が変わったときの工夫

抗がん剤の影響で「食べ物の味がしない」「金属的な味がする」「甘みが強く感じる」など、味覚が変化することがあります。治療終了後に改善する場合もありますが、こんなときは、味付けや食材を工夫してみましょう。

味覚変化があるときの対処のヒント

  • 味がわかりにくいときは、だしをきかせると風味が増して食べやすい
  • 金属的な味がするときは、プラスチックの食器やカトラリーを使うと和らぐことがある
  • 甘みが強く感じるときは、塩分や酸味を少しプラスすると食べやすくなることも
  • 何を食べてもおいしく感じないときは、好きだったもの・食べやすかったものから試してみる
  • 食前に口の中をすすぐと、残味がリセットされて食べやすくなることがある

管理栄養士がおすすめする3つのレシピ

食欲が落ちているときでも食べやすく、少量でたんぱく質やエネルギーを補えるレシピを3品ご紹介します。

① 電子レンジで簡単 豆腐と白菜のそぼろあんかけ

豆腐とひき肉でたんぱく質を補える、やさしい味わいの一品。電子レンジで作れるので、調理の負担を減らしたいときにもおすすめです。

② 豆腐のたまごあんかけ

豆腐に優しい味わいの卵あんをたっぷりとかけた、心温まる一品です。とろみをつけることで、飲み込みやすく食べやすい仕上がりに。口内炎があるときにも◎。

③ カステラでプディング

カステラで手軽に作れる、やさしい甘さのプディング。少量でもエネルギーやたんぱく質など必要な栄養がとれ、無理なく食べやすい一品です。

難しく考えなくて大丈夫です。市販のレトルトのお粥や、スーパーで買える豆腐・卵を使うだけでも十分ですよ。

おいしい健康アプリの活用法

① お悩みからのレシピ検索

「食欲がない」「口内炎」など、今の状態に合ったレシピを探すことができます。

② プロフィール設定による最適化

「がん治療中」「飲み込みにくい」「味の感じ方が変わった」などをプロフィールに登録すると、登録情報に合わせたレシピが優先的に表示されます。

③ 食事記録でエネルギー・たんぱく質を確認

食べた内容を記録すると、1日のエネルギーやたんぱく質の摂取量が確認できます。「今日はこれだけ食べられた」という小さな安心にもつながりますよ。

おいしい健康いまなら30日間無料おいしい健康いまなら30日間無料

まとめ:食べられないときも、自分を責めないで

がん治療中に食欲が落ちるのは、治療の副作用としてよくあることです。「もっと食べなければ」と自分を責めないでください。まずは「今日、口に入れられたもの」を大切にしながら、少しずつ工夫を重ねていきましょう。

今日から試してみたいこと

  • 1回の量を減らして、食べる回数を増やしてみる
  • においが気になる食品は冷ましてから食べる
  • 口内炎があるときは、やわらかくなめらかなものを選ぶ
  • 味覚が変わっているときは、だしをきかせたり食器を変えたりしてみる
  • 栄養補助食品やレトルト食品を上手に活用する

食事に関して困ったことがあれば、ひとりで抱え込まず、主治医や病院の管理栄養士に相談してみてくださいね。一緒に無理のない方法を見つけていきましょう。

参考

  • 国立がん研究センター「がん情報サービス:がんと食事」
  • 日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)「がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 総論編」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。疾患の診断・治療・食事管理については、必ず担当の医師や管理栄養士にご相談ください。

あわせて読みたい関連記事

最新の記事をもっと読む

編集:おいしい健康編集部
監修:おいしい健康管理栄養士