矢作直也(やはぎ・なおや)
筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授
著書に『糖尿病診断アクセス革命』(SCICUS)、共著に『糖尿病NICEBOOK』(SCICUS)など。
「糖尿病食」というと、味気ない・おいしくないといったイメージが先行しがち。しかし近年、おいしい病院食や健康食を取り上げたレシピ本が人気を集めています。12月19日発売の「筑波大学附属病院とクックパッドのおいしく治す「糖尿病食」(講談社+α新書)」もまた、おいしさとヘルシーさにスポットライトを当てた一冊。おいしい健康に掲載中の「筑波大学の安心献立」が誕生した経緯や、献立作りのやり取りが記されています。このたび、著者である筑波大学准教授の矢作直也先生にお話を伺いました。
−−どのような内容の本ですか?
糖尿病や予備群(※脚注)の方々は、日々の栄養摂取に気をつけなければなりませんが、そこには「食べる楽しみは失いたくない」という思いももちろんあります。食事をおいしく食べたいというのは、人として当たり前の欲求です。ですから、血糖値が気になる方でも楽しめるような、美味しくヘルシーな食事を提案できないものかと考えていました。その結果として誕生したのが、おいしい健康の「筑波大学の安心献立」です。
本書では、この安心献立を紹介するとともに、これらのメニューがどういう想いとプロセスで誕生したかを描いています。安心献立では、クックパッドで人気のレシピを選び、それに専門家が栄養バランスの調整を加えた上で、最適な組み合わせを考えて献立にしています。もとのレシピには、その作者さんの想いやこだわりが込められています。私たちはそれらを尊重しながら、糖尿病や予備群の方でも楽しめるように工夫しています。
−−どういった方々に読んでもらいたいですか?
まずは糖尿病や糖尿病予備群の方、またはそのご家族に読んで頂けたらと思って書きました。しかし、現代は誰でも糖尿病になりうる時代です。現時点では検査値に異常のない方であっても、普段から食事や栄養に気を配って頂きたいですから、幅広く多くの方々にお伝えしたいと思いました。つまり健康的な食生活は、本来は全ての人に関係があるものと考えています。それはカロリーだけでなく、塩分やコレステロールなど様々な栄養成分にも及びます。バランスよく食事をとって頂くことが、全ての人にとって大切です。
矢作直也(やはぎ・なおや)
筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授
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