矢作直也(やはぎ・なおや)
筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授
著書に『糖尿病診断アクセス革命』(SCICUS)、共著に『糖尿病NICEBOOK』(SCICUS)など。
−−健康な献立があっても、なかなか取り組めない方は少なくないと思います。実践するにはどういったことが大切でしょうか。
実際、患者さんに「野菜をもっと食べよう」「お肉よりお魚を食べよう」と話しても、その通りに食べてもらえないこともよくあります。やはり、食事療法は何かと難しいと思われがちな現実があるわけです。適切な栄養価であれば「美味しいものを食べて良いですよ」ということを伝えつつ、それを実際になるべく簡単な方法で実行してもらうにはどうしたらよいか。
そこでクックパッドを活用できないかと考えました。クックパッドには150万品以上ものレシピが投稿されていますが、それはまさに「家庭から生まれた知恵の宝庫」です。実際に健康な食事をとってもらうには、普段から家庭で作れるという目線が大切です。クックパッドの人気レシピは実は手軽さ・簡単さという面からも優れたものが多い。そうしたものをベースにさせて頂くことで、「家庭でごく普通に作れる献立」になっていると自負しています。
−−生活習慣病の患者・予備群は今後ますます増加し、さらには若年化することが予想されます。病気の予防や改善のため、現在取り組んでいることを教えてください。
やはり今はインターネットの活用です。インターネットを通じてより多くの人々に正しい情報を発信していくことは、医療全般にとって今後さらに重要になることでしょう。おいしい健康の安心献立に関しては、実際に学食などで食べられるリアルな機会も作っていきたいです。またスマートフォンで献立を見たい、という声が多いので、早く対応してほしいですね(笑)。
インターネットとは別に「糖尿病診断アクセス革命」として、薬局で微量の血液から糖尿病チェックを行える仕組みづくりにも取り組んでいます。また、遺伝子を解析して生活習慣病リスクを明らかにし、積極的に予防を行う方法も研究しています。いずれも、可能な限り早く病気の兆候を把握し、適切な対策を打つことが大切です。
生活習慣病は自覚症状に乏しいため、健康診断などで注意を促されても、そのまま放置してしまう方が少なくありません。しかし重症化してからでは手遅れですから、少しでも多くの方がしっかりと定期健診を受け、異常が見つかれば早めに生活改善に取り組んでもらえるよう願っています。
矢作直也(やはぎ・なおや)
筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授
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